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6月定例月議会本会議一般質問 その4:建築・土木一式の発注方式の改善 (平成25年6月掲載)
 建築・土木一式の発注方式の改善について、次のとおり質問しました。


  1. 受注機会の一定平準化に対する取り組み

     建設・土木一式の発注のあり方については、格付け基準の見直しや総合評価方式の見直しなど多岐にわたって検証し、論議し、また業界の皆さんとの意見交換も含め、県議会・県政改革特別委員会で相当精力的に取り組んできたことはご案内のとおりである(※)。

     その結果、抜本的な改革も含め諸般の見直しについて、概ね議論が収練された矢先に、政権交代により公共事業予算が拡充され、現行の枠組みにおいても業界として受注機会・受注量が増え、企業の経営改善につながっていくことが期待されるのではないかとの思いから、各種の見直しの実施時期を当面先送りするということで現在に至っている。

     土木部としては、業界からの要望が端緒になっていることはそうであっても、こうした公共事業費のパイの拡大によって、見直しをすべき問題点が一定薄れる、あるいは業界全体として経営的に一定持ちこたえられるとの判断によって、我々と詰めてきた改革の実行を一定先送りしたものである。

     そうであれば、現行の発注方式を見直すべしとする大きな要因、あるいは背景となったことが一定改善され、結果的に見て業界の経営改善につながっているかどうか。とりわけ問題となっている会社の経営規模・能力に応じた受注機会の平準化を図るということについて、現状をどのように見ているのか、また、そのためにどういった努力をしているのか先ずお尋ねする。

  2. 労務賃金の引き上げに対する取り組み

     次に、新たな制度設計をしていこうという中で、受注機会の問題と併せて最も大きな改善を要する問題となったのは労務賃金の引き上げの問題である。

     最低制限価格の引き上げの問題や、労務費調査のあり方の問題、設計労務単価以上に支払うことを誓約させることの取扱いの問題等、多様な議論をしてきた。

     これまで公共事業費の右肩下がりの中で、現場で作業を担う人達の労務賃金の改善を進めることができなかった。その結果、特定専門業種の人達が減少し、後継者も確保できなくなってきた。強い危機感があったわけである。

     そうした中で、昨年、需給バランスの関係から労務賃金が実態として上がってきた。加えて国交大臣が今年度から労務賃金を10%以上上げるといった。その国の取り組みに後押しされる形で本県も今、前年度に比べ表面上の数字の上では13%程度上がっていると思う。

     しかし、実態はどうか。
     先ず、建設・土木一式関係の全ての発注において、設計労務単価は間違いなく上げているかどうか。
     また、元請が設計労務単価あるいはそれ以上の賃金の支払を確実に行っていることについて調査し、実態把握は行っているか。
     併せてお尋ねする。

  3. 実勢価格の反映に対する取り組み

     次に、最低制限価格の問題と併せて取り上げた問題で、設計積算が実勢価格を反映しているかということ。

     これについては、現場の監督者等の意見も取り入れて不足のないようにするといった見解や、請け負い者が最低価格で仕事をしても必ず利益は出ると、執行部においては繰り返し答弁していたが果たしてどうか。

     私のところに相談にくる事例をいくつか挙げれば、

     第一に、現場事務所の諸設備について、以前はかかっていなかったものが現在は不可欠になっているにも関わらず、これが考慮されていない。
     また、伐採費や段差解消といった円滑な施行を行う上での諸経費が含まれていない。即ち、直接工事費に一定の率をかける共通仮設費では賄えない。更に交通誘導員の作業時間が実際と歩掛が合っていない。
     安全費に対する請負業者の負担増についても何ら措置されていない。

     第二に、現場管理費にしても、現場代理人に対して給与の他に諸手当が必要だがこれが反映されていない。また、品質管理や事務手続きのため複数の人数が必要なのに、そうしたことが同じく直接工事費に率をかける現場管理費では賄えない。

     第三に、直接工事費についても、日当たりの作業量が現場の実態と合っていないため大変厳しい。

     第四に、JIS規格以外のコンクリート二次製品や特殊材料の取引価格は設計単価を大きく上回っているため大幅赤字。

     第五に、法面工事での伐採などについては、運搬・処分のみで手間賃の計上がないため請負者の負担が大きい。
     また、法面工事の昇降設備について、国は設計変更の対象としているものの、県では対象としていない。また、山の上までの材料の運搬費は設計に計上されていない。

     第六に、急傾斜地工事について人力での土工事に関する工事は、設計金額に対して2割から5割増しになる。また、型枠工や鉄筋工は作業効率や材料の関係から補正後の単価でも合わない。

     第七に、河川工事の水替えポンプについて、据付台数と運転日数が設計数量と大幅に違い、実際に20倍から30倍の費用がかかったが設計変更しない。
     更に、潮待ちについて、締切排水として大型土嚢が計上されていたが、実際に土嚢を据え付けても水を締め切ることが出来ず、潮待ちのため大幅に作業が遅れ、経費がかかりすぎたが、これについても設計変更がなされず多額の損失が生じた。

     第八に、経費率について、河川工事や道路改良工事は進捗が遅く工期が長くなり経費がかかるため、諸経費区分で選択する経費率では採算がとれない。

     第九に、橋梁補修・補強工事の材料費のうち、建設物価や積算資料に掲載されていない材料については、メーカー見積りと経済調査会等に依頼し、安い方を計上しているが、請負者はメーカーまたは販売店を経由して入手する他はないことから採算がとれない。
     また、施行費についても、コンクリート工事においては橋梁ではボリュームが小さいので採算が合わない。
     更に、コンクリートポンプ車で下部工のコンクリート打設を行う場合、積算価格と実際の支払価格との間で大きな隔離がある。

     第十に、土木一式工事のアスファルトコンクリートを使用する工事においては、アスコンの納入単価について県の単価と実際の支払単価が大きく違うだけでなく、納入業者の運賃や夜間出荷基本料が計上されておらず、大きな赤字になっている。
     更に、納入業者の出荷の取扱いが最低出荷量0.5トンから0.5トンきざみになっているため、例えば使用量が0.6トンの場合でも1トンを買い入れなければならないものの、設計積算ではこれらが全く配慮されていない。

     まだこの他にも、いろいろあるがいちいち挙げつらういとまがない。  県議会・県政改革特別委員会でひとつひとつ取り上げて、徹底的に審査してもいいと思っているが、発注者において言ってることと、やっていることが、こんなに大きく違う実態は放置できない。発注者としてきちんと改善すべきであるが、一体これらについてどう取り組んでいくかの明確な答弁を求める。


※ 本件に関するこれまでの記事については以下をご覧ください。
  県内建設業界の格付け基準・発注基準の見直し (平成25年1月掲載)
  土木・建築に関する入札制度の抜本改革 (平成24年9月掲載)
  入札等県の発注方式の抜本的な改善を求める決議 (平成24年3月掲載)
  県建設業協会役員の皆さんとの意見交換会 (平成24年1月掲載)
  入札制度等県の発注方式の改革 (平成23年11月掲載)
  入札制度等、県の発注方式の改善 (平成23年10月掲載)

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