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療養病床転換計画について

 政府与党の強行採決により成立した医療制度改革関連法に基づき、2012年(平成24年)3月までにわが国全体として、現行25万床の医療療養病床を15万床に削減し、13万床の介護療養病床を全廃する計画が進められています。

 これを受けて本県では、5648床の医療療養病床を4581床に削減し、2175床の介護療養病床を0にする計画です。そしてこれらの療養病床から移転を余儀なくされる人たちの受け皿として、その多くが介護老人保健施設で、計画では2308床分、特別養護老人ホームの受け入れが373床分として計上されています。
 この計画は平成19年度から23年度までの5年間で実施される計画ですが、現時点で、例えば前述の介護老人保健施設への移転は僅か10床分でしかありません。また、全国的には厚生労働省が定めた各都道府県の削減目標を設定できない都道府県もあります。

 慢性疾患を有する高齢者を病院から追い出し、介護保険事業所等に引きとってもらうというねらいですが、そもそも介護保険の施設はどこも満杯で入所待ちの状況にあり、今後はさらにその需要が高まる傾向にあるという実態にかい離しています。また、診療所等が新たに介護保険事務所を設置しようとする場合でも、診療報酬と介護報酬では前者が高く後者が低いという現在の制度においては新たな受け皿づくりが簡単にできるとは思えませんし、仮にそうした施設ができた場合も、従前の病院での治療水準が確保されることは報酬の格差により困難であると思います。
 そのため結局、家族が自宅で療養の世話をするということになれば、仕事や生活に多くの負担がかかることは目に見えていますし、家族がいない人はどこにも行きようがありません。
 結局、介護難民・医療難民が多く発生することになります。

 介護保険制度の改訂で、給付抑制のために在宅介護の利用が制限されることになったこともこうした事態の発生に拍車をかけることになります。

 この療養病床転換計画は、ひとえに医療費をおさえることをねらいに実態を無視し、削減ありきで進めようとしているものであることから、計画を廃止し、直ちに抜本的な見直しを行うことを訴えてまいりたいと思います。

『2次救急医療体制の再編整備について』はこちらをご覧下さい。
『医師確保対策の一環としての女性医師の就業支援について』はこちらをご覧下さい。
『地域医療ネットワークづくりについて』はこちらをご覧下さい。

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