現在、がんについてはがん診療連携協議会や地域がん診療連携協議会が設置され、また、がん診療連携拠点病院の整備の促進や地域拠点病院によるがん診療のネットワークづくりに腐心されていますが、他の疾病や、さらには患者の症状に合わせた施設医療から在宅医療までの全体のネットワークづくり、即ち、急性期医療・慢性期医療・リハビリ医療・緩和ケア医療・介護医療・在宅医療、こういったものが地域の中核病院を基軸にしつつ、その地域全体の医療資源を有機的に連携し個々の役割を分担する本来的な地域医療体制を構築していくことが、医療の地域格差が叫ばれる今日、何より必要です。
何もかも一つの病院が総合的に担うことは病院経営上からも無理がありますし、また、医師不足の中で公的病院の再編統合が進み、基幹病院に医療資源が再分配されていくことになれば地域住民の医療機関へのアクセスポイントがそれだけ減少していくわけですから、これまで以上に地域内での連携を強化したネットワークインフラが地域住民の生命線として重要視されることにもなります。
さらには療養病床転換計画が進められ、病院から療養患者が移転を余儀なくされれば益々社会的なニーズは高まるばかりです。
各医療圏域毎に直ちにこうしたネットワークづくりを充実させることが難しいとしても、例えば、患者情報の標準化・共有化のための地域連携クリティカルパス制度の導入や、包括的支援プログラム(ACT)の策定機関の設置、さらには、多様な分野の専門集団が一人の患者を地域全体で支え関っていくための地域ケアの視点をもった地域チーム医療体制の整備促進のための支援策を、県としても積極的に推進していく必要があります。
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『2次救急医療体制の再編整備について』はこちらをご覧下さい。
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『医師確保対策の一環としての女性医師の就業支援について』はこちらをご覧下さい。
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『療養病床転換計画について』はこちらをご覧下さい。