市長の市勢振興の基本的な考え方について、とりわけ選択と集中の手法によって効果的な政策を推進すると述べられているので、それでは一体、その選択と集中のメルクマールは何か、換言すれば、政策分野毎の市長のポリシーと政策推進手法について尋ねました。
【高比良元質問】
(1)選択と集中ということを掲げても、効果的な政策投資を行っていくには、原動力となる装置が組み込まれていなければならない。原動力となる装置とは、第一に、行財政改革の推進、第二に、総合的な、業績評価システムの確立、第三に、市民と行政の協衝と役割分担による新しい時代にふさわしい地域運営のシステムづくりである。先ずはこれら三点についての取り組み如何。
(2)長崎市の一人当たり民力水準は、全国平均を100とした場合、91.8。全国平均以下となっているこの最大の要因は、年間工業出荷額が人口の割には少ないことにある。平成15年の工業出荷額は3,076億円で、平成8年と比べると52%も減少している。従業員数も25%の減少である。雇用機会の拡充、産業力の強化が、緊要の課題であるが、選択と集中の手法で何に焦点を当ていかなる成果を引き出そうとしているのか。
(3)今般の合併により、長崎市は野母崎の樺島から外海の神の浦まで大変大きな行政区域となったが、行政投資の地域バランスを欠けば、地域格差が生じる。どこの地域にいても同じ長崎市であり長崎市民であれば、行政が行う居住環境の整備水準はおおよそ平準化され、ある程度均一な行政サービスが享受できなければならない。新市の均衝ある発展という政策課題についての選択と集中のメルクマールは何か。
(4)観光統計によれば、平成2年に630万人あった観光客の入込数は年々減少し、昨年度は493万人になった。この14年間で22%もの減少である。観光という切り口で市政全般を運用するというぐらいの取り組みが必要であるが、観光の振興についての選択と集中のメルクマールは何か。
【答弁】(市長)
平成7年5月に就任し11年目になった。この間、長崎市の財政力について道筋を立てることが大切だと思って取り組んできた平成元年が市政施行100周年ということで1,000億円もの事業が計画され負債が多く残った。こうした中で行政改革についての方向性を打ち出し10年間で835人の職員定数を削減し、業務も見直した。節約しながら選択と集中の手法で取り組んでいる。
長崎の民力度の問題はあるが、さるく博は、市民自らがプロデュースし、多数の人がボランティアで参加している。こういうことを大切にしていく限り長崎は捨てたものではないし、まちは良くなっていくものと考えている。
【答弁】(企画部長)
今年度、今後の長崎市の市政運営の基本指針となる第三次総合計画の後期計画を策定することとしているが、政策評価システムと連動させ、実効性の高い内容として組み立てることとしている。
また、新市の均衝ある発展を築くために市内を17地区に分け、振興計画を策定しこれを着実に実施するとともに、今日の合併町に対しては、体系的な道路整備や公共下水道の整備等に取り組んでいく。
【答弁】(総務部長)
本市においては厳しい財政状況にあり、行政運営全般にわたる徹底した見直しとともに民間でできることは民間にやってもらい、効率的な執行体制づくりを行っていく必要があると認識している。今後引き続き、民家委託の推進、定員管理や給与の適正化などを図りながら一層の行政改革に取り組んでいく。
【答弁】(市民生活部長)
市民と行政の協衝の取り組み方について、本市においては、多様なコミュニティ活動を支援し、市民活動団体が成長する行動を支援している。特にさるく博においては市民自らがプロデュースし、自らが参画し楽しむという仕組みで行われている。また、市民団体が実施する公益的な事業に対する補助制度を創設した他、パートナーシップ型行政を推進するための基本指針を策定することとしている。
【答弁】(商工部長)
産業振興については地域経済の発展と市民生活の向上に直結しており重要な課題であると認識している。工業統計調査によると各種の数値が近年大幅に減少している。このため新しい産業の創出が急務であり、物づくりの維持向上の観点から、長崎大学等との連携によるベンチャー企業の創出にも努めている。
【答弁】(観光部長)
まち歩き型の観光振興に取り組んでおり、それを具現化したものがさるく博であり、この成功に向け全力をあげている。魅力ある観光地づくりは住んでいる人が誇りとするまちづくりであり、そのためには全庁的な取り組みが必要なことから体制の強化を図りながら鋭意推進していきたい。
長崎市は人口45万人を超える益々大きな行政区域となりました。
しかし、産業力が弱いため雇用機会は少なく、都市基盤や居住地周辺の身近な環境の整備の遅れ、地域福祉や地域の教育力を一層高めることの必要性など、まちづくりの課題が山積しております。
これまでの手法や枠組みだけにとらわれず、新しい視点や発想も取り入れながら、大胆な行財政改革を推進し、新しい時代にふさわしい地域運営の仕組みを構築していかなければなりません。
私は、これまでの行政経験と政治経験をもとに、市民の中にこそあるまちづくりの原動力を活かしながら、もっと元気のある長崎、気概と存在感のあるふるさとづくりに、先頭に立って邁進する決意でありますので、皆様のさらなるご指導とご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。
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