【質問】
市長は、これまで何度も住民が合併して良かったといえるまちづくりをやっていくと発言されているが、意気込みは正に良し。しかしながら、具体的にどう取り組むのか、その方策や手法が体系的に示されていない。
そこで、次の項目について答弁願いたい。
(1)『市町村建設計画』の推進とこれを上回る事業の企画、立案および実施についてどのように考えているか。
(2)合併特例債のほかに、国の制度として、特別交付税、合併市町村補助金があるが、これらの旨みのある制度を積極的に活用していくべきと考えるが、見解を求める。
(3)県の合併支援特別交付金をどのように活用しようとしているか。
(4)地域審議会と各行政センターの位置づけと役割についての考えは。
【答弁】(市長)
合併に伴う新年度の予算編成で合併特例債が幾らあるから、それを早く使おうとは思っていない。
6町の建設計画は、しっかり引き継ぎ実行することは約束事項である。
6町の方々が合併して良かったと思っていただくために、テーマ毎に市民委員会を立ち上げ協議して頂くのが第一歩と考える。
国や県の特例を使って急いだ方が良いという議員の意見は理解できるが、物事には順序がある。
初年度は方向付けをし、早い時期に問題点を整理し、地域審議会ほか関係者の知恵を借り英知を集め、残りの9年間ですばらしいまちづくりはできると考えている。
(地域行政部長)
長崎市第3次総合計画と旧6町の重要課題をもとに、優先度、緊急度を勘案しながら順次市町村建設計画の推進を図り、新しいまちづくりが具体化するに従って、合併の成果を挙げられるものと思う。
合併特例債は、平成17年度予算では、各地区のコミュニティーバスの導入、新消防庁舎等に活用することにしている。
又、県の市町村合併支援特別交付金の活用は、平成17年度予算において、地域振興に資するソフト事業に充当する。
地域審議会は、一部の委員から、委員の活動や審議会の具体的な内容が定まっていないとの率直な感想も頂いている。
今後は、日常生活に密接に関わる福祉、廃棄物の処理など各種施策の実施状況に関する提言、助言などをもらえるものと考える。
(財政部長)
合併に伴う財政計画は、10年間に113億円の赤字が生じるという試算を行った。
国からの支援策は、ソフト面での充当を当初予算の中で順次行っている。
いずれにしても10年間の経過の中で考えるべきであり、後年度の中で十分検討していく。
【再質問】
市町村建設計画の中の財政計画は100億円くらいの赤字が発生するとの答弁があったが、これは乱暴な話である。各町の物件費、人件費、事業の見直し、公債費の償還計画の整理などをせずに、出てきた事業計画のアバウトを単純に増分した財政計画をする自治体はどこにもない。
市長は物には順序があり、まず市民委員会を立ち上げ、英知を集めて収斂されたものをもって合併の効果を引き出すと言われた。私はこのことについて否定はしない。
しかし、テーマを絞らないで、自由な発想で皆で議論をし、収斂させていくその中で新しいアイデアが出てくるだろうし、テーマ外のアイデアも出てくる。そんな知恵を持った人はたくさんいる。
例えば三和地区で与えられているテーマとしては、地産地消振興公社の機能強化と深堀三和線の整備促進と物流の振興策であるが、前者については、既にレールが敷かれており、後者については、どうして住民の皆さんの協議が行政上の判断を決定づけ得るものになるのか理解しがたい。
地域審議会の委員は、識見豊富で、住民の代表としておられた方が就任しているのであり、市民委員会の委員は現在の地域審議会の委員こそがふさわしい。
色々な方法を検討せずに別個に市民委員会を作ることは、屋上屋を重ねるといわざるを得ない。
【答弁】(市長)
県道深堀三和線は、法定協の中で市町村建設計画に上げたが、県の事情で計画に載せないことになった。しかし、国道499号の代替道路として県道深堀三和線は整備すべきであることから今度の市町村建設計画に載せ、市民委員会に出したい。
市民委員会の役割は、今の道路をどういう形に拡げたら良いか、地権者の協力が得られるか。そういう問題を委員会で協議していただき、協議が整ったところで合併特例債を活用するかどうか地域審議会を含めたところで方向性が出てくる。これをしないことには深堀三和線は進まない。
地域審議会と市民委員会の絡みについてであるが、地域審議会の委員さんは、永年、議員としてベテランで地域のことに精通され、色んなご苦労をされた方々で、私は大事にさせていただく。市民委員会を立ち上げさせていただく問題は、各町には、色んなテーマがあり、まだ走り出していないテーマを選択して委員会をつくることで、地域審議会と重複することはないと考えている。
【再質問】
私は、深堀三和線のことを言っているのではなく、一般住民が、道路を作るときに素材の整理や位置づけに絡んで、できるかということを言っている。道路については、行政が主体でやらなければ出来ない。
合併して良かったと実感できるものは新幹道路の整備であり、野母崎、三和地区にとっては国道499号の整備である。県の道路予算も縮減されていく中で、なかなか進捗しない。そこで事業執行の仕組みを変え、合併特例債の旨みを活用し、早期の完成を目指すことを提案したい。それは、合併特例債を活用して長崎市が代行事業として執行することで市は市民の税金である一般財源を使わなくて済み、県は、従来方式よりも負担が少なくてすむ。規制緩和の中で構造改革特区としてのメニューを申請することで可能であると考える。この提案に対する見解を求める。
【答弁】(財政部長)
県に代行して市がやるということで現行の制度では難しいが、規制緩和が認められるとの前提であれば、道路の整備が早くなること、又、一般財源の計算もその通りと考える。ただ、合併特例債の枠があり、市町村建設計画の中で優先度等を再度検討する必要がある。
【再質問】
国道499号線の整備については南部住民の悲願であり、ぜひ実現してもらいたい。
次に、行政センターの現状は、窓口業務、行政手続上の定型的なサービスに限定されているといわざるを得ない。
本来、前者に加えて公共事業者としての必要な地域振興に関する公共サービスを実施するという住民サービスが相まって初めて住民サービスの水準が低下しないといえるものである。
従って、後者について当事者能力を発揮できるような仕組みを作らないと住民と行政の間の意思疎通が粗くなることが懸念される。
いろんな声を自分たちで咀嚼し、政策立案し、一定の執行ができる仕組みにすべきと考える。かつて県庁の出先機関の組織機構の見直しとして、地域振興戦略プロジェクトの事業に取り組んだ。これは出先機関の管轄する区域の地域振興について出先機関自らが、企画立案実施をするもので、このことによって出先機関の役割位置づけがより高まった。こうしたことを例に市役所としても各行政センターの体質強化に努めるべきと考える。見解を伺いたい。
【答弁】(市長)
市民委員会が居住区域の中のテーマを協議する中で、行政センターの職員が入り、弾力的な組織運営を行うことによって効果的に一定の方向付けが出来ると思っている。
(総務部長)
行政センターで地域審議会や住民団体等からの意見や要望等を集約整理し、地域行政部が本庁各部と連携し、政策形成を行い個々の事務事業に反映させる形をとっている。合併地区の事情に配慮した政策形成は可能であると考える。
【再質問】
そういう形式論や枠組み論では、ものごとは全然旨くいかない。そこを踏まえて再検討をお願いしたい。
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