6月県議会定例会で一般質問を行いました。
今回は「県都長崎市のダム機能の拡充」に絞って、これに関連する具体の課題について質問しました。
以下に、この質問についての新聞報道記事と、質疑応答について紹介します。是非ご一読下さい。
質問項目一覧
1.子どもを産み育てやすい社会環境づくりについて
・ 婚活サポートサービスの拡充
・ 子育てに係る経済的負担の軽減策
・ 乳幼児の子育て支援策の拡充
・ 子育て家庭への住宅政策
2.若者の転出超過数の解消について
・ 若者の志向に合った働く場の創設・拡充
・ 可処分所得の向上対策
・ 新たな大学の立地と専攻科目の拡充
3.産業振興と雇用の拡大について
・ 域内経済循環を最大化するための政策
・ 地場中小企業の体質強化策
・ 地場経済を牽引する多様な基幹的産業の創出
・ クレインハーバービルの利用促進とオフィス系企業の立地促進
4.賑わいの場づくりについて
・ 三菱幸町工場跡地のジャパネットの計画への対応
・ 市のMICE計画とIR構想との関係
・ 県庁舎跡地活用
5.長崎市の特長を活かした観光の振興について
・ 資産の顕在化・付加価値化の対策
・ 観光産業の振興
・ 国際クルーズ船対策
県都長崎市のダム機能の拡充について
1.子どもを生み育てやすい社会環境づくりについて
【比良議員】 我が国では、このまま何もしなければ、男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯未婚のまま一生を過ごすと見込まれております。社会の再生産機能を維持していくためには、子どもは、いわば社会の公共材であり、国は、結婚・出産を希望する若い世代を積極的に支援するとともに、国民全体で子育て世帯を支えていく必要がある。すなわち、総合的な家族政策が求められているという、私としての基本認識のもとに、具体策として幾つかお尋ねをいたします。
まず、
婚活サポートサービスの拡充についてです。
情報の提供にとどまらず、多様な出会いの場づくりや婚活サポーターによる相談支援、サポートサービスの普及・啓発、婚活サポートセンターの設置、民間の主体的な集いの場、機会の紹介など、仮に長崎市が今後積極的に取り組むとした場合、県として、どういった支援が可能か、お尋ねをいたします。
【園田こども政策局長】 県では、長崎県婚活サポートセンターによる相談業務や、お見合いデータマッチングシステムの運営のほか、地域の仲人さんである縁結び隊によるお引き合わせや、結婚イベントによって出会いの場を創出するながさきめぐりあい事業などの婚活支援事業を実施しております。
こうしたことから、長崎市に対しては、データマッチングシステム端末の貸与による婚活サポートセンターの窓口整備でありますとか、縁結び隊の養成講座を県、市が共同で開催することによって、婚活サポーターの効率的な育成を図ること、あるいはまた多様な出会いの場づくりにつきましては、ながさきめぐりあい事務局による婚活イベントの情報発信に加え、運営ノウハウの提供などの支援が可能と考えております。
このような県と連携した取組も含めて、新たな婚活支援策には、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用することができますので、その際には市と協議を行ってまいりたいと考えております。
【比良議員】 国の新たな制度設計に伴うところのいろいろな支援活動について、県、市ともに積極的に取り組んでいこうというお話だと思います。
子育てに係る経済的負担の軽減策についてお尋ねをしますが、幼児教育の無償化や西暦20年4月からの大学の授業料減免などの国の措置とあわせて、0−2歳児の保育料の減免枠や私立高校の授業料の減免枠の拡大、あるいは大学の給付額奨学金の拡充等について、仮に長崎市が今後上乗せ、横出しをするとした場合、県として、どういった支援が可能か。また、県独自の、これらについての現行制度の拡充はできないか、あわせてお尋ねをいたします。
【園田こども政策局長】 市町による保育料の上乗せ減免に対する県の支援につきましては、国からの特段の財政支援等がない現状においては、困難であると考えております。
なお、現行制度において、既に各市町では、独自の取組により保育料の減免等が実施されており、今回の国の無償化措置に伴い、その財源が余剰となります。国は、この財源により子育て支援のさらなる充実を図るよう促す方針であるとお聞きしており、その財源を市町の判断で有効活用していただくことも可能であると考えておるところでございます。
【古川総務部長 】 私立高校の授業料の減免枠の拡大についてでございますが、私立高等学校の授業料は、平成32年度から年収590万円未満の世帯について、実質無償化が実現されることとなっております。ただ、年収590万円以上の世帯については、依然として保護者負担が大きく残っているという状況になります。
また、年収590万未満の世帯については、これまで所得が高くなるに従って、徐々に減額されるように設定しておりました助成額が一律となって、年収590
万円を境として保護者負担の格差が大きく広がることとなります。
議員のお尋ねは、この格差が拡大する点について、市の上乗せ措置への県の支援、あるいは県独自の支援措置についてのお尋ねでございますが、高校教育における経済的負担の問題については、基本的に国の制度の中で検討すべき課題と考えております。
このため、先般の政府施策要望におきましても、重点項目として、高等学校等就学支援金のさらなる拡充の要望を行ったところでございます。
県といたしましては、引き続き、国に対して働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。
【池松教育委員会教育長】 大学の給付型奨学金は、日本学生支援機構において平成29年度から実施されており、住民税非課税世帯や社会的養護が必要で、学力、資質等の要件を満たす学生に対して、月2万円から4万円の支給がなされております。
また、現在、国においては、非課税世帯に対する大学授業料等の減免や給付型奨学金の増額、また年収380万円未満の非課税世帯に準ずる世帯に対しての収入に応じた段階的な支援の検討がなされているところです。
お尋ねがありました、市が奨学金を上乗せした場合については、市独自の実情を踏まえて取り組まれることであり、県からの支援は現在のところ考えておりません。
また、県独自の奨学金制度の拡充については、多額の財源が必要となるため、困難であります。なお、県育英会においては、県内就職者への半額減免制度を検討した経緯がありますが、返還金を貸与原資としており、ほかからの財政支援なしには県育英会単独での実施は困難であるとの結論に至っております。
給付型奨学金については、国において制度拡充が図られていくことを期待しているところであります。
【比良議員】 保育料の減免のさらなる追加といったことについては、実質的に現状が6割の減額という取扱いになっているから、そこの財源をうまく活用してやるのではないかというご示唆をいただきました。
高校、あるいは大学の分についての対応ということについては、なかなか所要財源が多額に上るというようなこともあって、現行制度をどう維持するかといったことについても、これは文教厚生委員会でかなり論議をしてきましたけれども、県の財政事情から見れば、難しい。このことは十分承知をしています。
ただ、国が今回、消費税を上げると言った、その財源をもって、今までなかなか難しかった高等教育、家庭としては一番金がかかるという、そのことについて思い切った措置をしていこうという流れにあるといったことから考えてみると、ここは何らか自治体としても、そこに言ってみれば共同歩調で取り組むような、そういう施策というものを今後十分検討していく、そういう課題があろうと認識をしています。
いずれにしても、市が仮にやった場合に、それに単独の市に対して県が特別に措置をするといったことはなかなか難しい話でしょうから、県全体としてどこまでできるか。
私の質問の意図というのは、長崎市がいろいろ検討した上でやろうとした場合どうかという話でありますから、基本的には第一義的には長崎市の取組の問題であると承知をした上でお尋ねをさせていただきました。
ところで、
乳幼児の子育て支援策の拡充についてですが、我が国は、かつて各家庭は経済的に貧しいながらも、多くの子どもたちを生み育ててきたわけですが、その時代の家庭、地域の子育ての在り方に学ぶべきことはないかどうか。ここは知事にお考えをお尋ねしたいと思います。
【中村知事】 近年では、核家族化、あるいは地域のつながりの希薄化等による育児の孤立化など、地域の子育て、あるいは家庭を取り巻く環境が大きく変化してきているものと考えております。
こうしたことから、かつて家族や地域集落が担っておりました子育ての機能を補うために、保育所、幼稚園、認定こども園、放課後児童クラブの充実などに取り組んできたところでありますが、依然として不安感、負担感を持つ子育て家庭は数多くいらっしゃるところであります。こうした、かつての子育ての在り方に学ぶということでは、地域の実情が大きくさま変わりしておりますので、現状に見合った地域での支援がますます重要になってくるものと考えているところであります。
そのため、地域における育児の相互援助活動や、子育て中の親子の交流の場づくりなど、地域の中で支え合う取組を進めているところであります。
県としては、引き続き市町と連携して、社会全体で子育てを応援する機運の醸成に努めてまいりますとともに、誰もが安心して子どもを生み育てることができる社会環境づくりに力を注いでいかなければならないと考えております。
【比良議員】 今、知事から一定ご答弁をいただいたわけでありますけれども、私なりに考えてみますに、まずひとつは、子は社会の宝と考えるような子宝思想の普及・啓発に国として取り組んでおったんではないか。さらには、農耕を中心とする社会にあって、大家族中心に地域社会全体で担う共同養育が行われていた。今、この点については、ちょっと知事の方からも触れられました。さらには、親から子、子から孫へと家系をつなぎ、家を守り、家を継承していくということが社会通念とされている。さらには、子育てにおいて、今日と比べると経済的負担が少なかった等々が考えられるのではないかなと思うんですね。
ですから、そこはその時代における子育ての在り方であったろうと思うんですが、私としては、現代の社会システムにこれらをアレンジをしていく中で、新たな施策を立案をしていく必要があるんではないかなと考えるところであります。
次に、
子育て家庭の住宅政策なんですが、良好な子育て環境や子育て世帯の経済的負担の実態を見る時に、住まいの問題が非常に大きいと思います。子どもの一定の成長時期までを考えた住まいを、借家を含めて取得できることが大切であると思いますが、残念ながら長崎市内のアパート等の賃貸料は、一般的に高いと言われています。
このため、子育て家庭に対し、現行の公営住宅の特定優良賃貸住宅以下の低廉な賃貸料で貸し出せる公営住宅を可能な限り整備することや、空き家を自治体で借り上げて、一定の改修費の負担と合わせた低家賃での貸し付け、あるいは持ち家取得についての資金の無利子貸付制度等、子育て家庭のための住宅政策を仮に長崎市が実施するとした場合、市とともに県としての支援が可能か、この点についてお尋ねをいたします。
【岩見土木部長 】 子育て世帯に対する低廉な家賃の住宅の供給は、重要な課題であると考えております。既存の県営住宅の募集の際には、子育てを主な目的とした優先入居枠を一定程度確保しており、特に長崎市内においては毎回20%程度の枠を確保するなど、子育て世帯に配慮した募集方法を工夫しており、これらについては、他の入居世帯とのバランスも考慮しながら、今後も可能な範囲で枠を広げることも検討してまいります。
民間の空き家等を活用した子育て世帯向け住宅の供給につきましては、空き家の所有者に対し、新たな住宅セーフティネット制度について説明をし、積極的な活用を促進してまいります。
また、持ち家取得に対する無利子貸し付けにつきましては、近年は民間融資も充実しており、低金利でもあることから、現時点では考えておりませんが、現在、3世代同居・近居促進事業により、親世帯と同居または近居する場合の新築住宅の取得やリフォームに対して補助を行っているところでございます。
【比良議員】 子育て家庭のための公営住宅の枠を広げていきたいと。あるいは空き家の活用を積極的に行っていきたいと。非常に積極的なご答弁をいただいたと思います。
持ち家関係についても、3世代の同居・近居について新たな制度をつくって、そのことをまずは推進していきたいという話でありました。ぜひ、同居・近居に限らず、参入枠を広げてもらうようにお願いを申し上げたいと思います。
2.若者の転出超過の解消について
総務省の人口移動報告によりますと、昨年の長崎市の転出超過数は1,888人で、全国市町村のうちでワーストスリーの状況になっています。北九州市が全国ワーストワンで、2,248人となっているわけでありますが、しかし、北九州市は、長崎市の人口の倍以上はおるわけでありまして、そういう意味では、長崎市の転出超過は、全国の中でもとりわけ深刻であるといったことがうかがえると思います。
そこで、その転出超過の大きな要因になっているのは、まさに18歳から23歳までの若者の流出でありまして、その解消策が喫緊の課題となっているわけであります。
そこでまず、
若者の志向に合った働く場の創設・拡充ということについてお尋ねをいたします。
若者にそれぞれの職業の大切さを教える、多くの選択肢を選択の俎上に上げることが大事でありますが、その一方で、時代のトレンドとも言える職業が、長崎市内にはそもそも立地をしていない、あるいは数が少ないといった職種の企業を多く立地させることが、若者が定住するために大切だと思います。
例えば、情報関連企業、先端技術系企業、ファッション関連企業、大手企業のアウトソースの受け皿となる企業などなど、いろいろあると思いますが、こうした企業をどれだけ誘致し、また育てるかについて、長崎市との連携も含めた、県としての取組方はどうか、お尋ねをいたします。
【平田産業労働部長】 長崎市における企業誘致につきましては、保険会社などの事務センターに加えまして、金融システムの保守開発を行いますIT部門、あるいは自動車などの制御を行う組み込みソフト開発、製造業の研究開発などの企業を対象に誘致に取り組んでおり、産業振興財団に長崎市から職員2名の派遣を受けまして、連携して誘致に取り組んでいるところでございます。
こうした分野の企業は、高度の専門人材や協力企業を求めており、大学などと連携した専門人材の育成、地場企業の技術習得等を図りながら、積極的な誘致活動を行ってまいります。
加えまして、柔軟な発想を持った学生の起業も含め、革新的なサービスを創出するスタートアップ企業などの集積を図るため、出島交流会館に新たな交流拠点を整備し、長崎市とも連携した育成支援及び誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
【比良議員】 今、部長が最後に言われたスタートアップ事業、これについては相当力を入れないと、なかなか長崎県内からの実績というか、そういうものが他県と比べると少ないという状況にあると思うんです。ここは、例えば、中小企業基盤整備機構に配置をされておった、いろいろ企業のマッチングをするについての専門的なそういう人材とか、それに類するような人を、より多く産業振興財団とかに配置をすることによって、いろいろなネットワークというか、相互の情報の互換というか、そういうものを通じた中でのベンチャー等の創出について、なお一層力を入れていく必要があると思いますが、今、答弁の趣旨の大宗としては、そういうふうなことで、県としては取り組んだといったことが承知をするところであります。
そこで、働きたいと思う職種というか、企業がなかなか少ないと、魅力ある企業が少ないということとあわせて、都会と比べて賃金が低いということで、県外に転出をしてしまうというようなケースがあるんですが、私は、賃金そのものよりは実質的な
可処分所得を向上させていくということが何より大切だろうと思っているんです。
都会の企業と比べて、県内の一般企業の賃金は低いと言われているわけでありますが、その可処分所得において、例えば、長崎から東京に働きに出る新東京人と、長崎で就労する長崎人との間でほとんど差がなく、これに加えて定性的な住みよさというものが加わって、長崎で暮らすということが、いわば得をするといった状況をつくり出すということが大切だと思うわけでありますが、そのためには、家計費の支出として大きい住宅関係費を圧縮してやることが一番だと思います。
先ほどの子育ての関係についても重複するところもあります。このため、企業において、例えば、社員住宅の整備についての財政支援、あるいは独身者のための低廉な住宅の整備、その他雇用の確保の観点から、住宅政策を仮に長崎市が実施するとした場合、市と連携して推進する考えはないか。知事いかがでしょうか。
【中村知事】 議員ご指摘のように、所得、あるいは生活に要する費用等の面を比較した場合、本県並びに福岡県、東京都の世帯当たりの生涯収支を比べてみますと、ほとんど差がないところでありまして、県では、こうした情報をパンフレットに取りまとめ、学生やその保護者の方々に配付するなど、あらゆる機会を通して本県の暮らしやすさを紹介してきたところであります。
そうした中、長崎市は、確かに民間賃貸住宅の月額の家賃が全国的にも高いということもありまして、この負担を軽減することは、若者の地元定着を図る対策として、選択肢の一つではなかろうかと考えているところであります。
しかしながら、この社員住宅の整備への助成、あるいは住宅手当の支援などについては、行政の直接的な施策としてはなかなか難しいと考えているところでありまして、既に県内企業の中には、若年層の雇用確保のために社員住宅、あるいは独身寮等を開設されたり、住居手当の創設、ボーナスの増額等について、自社努力で対応しておられるところも出てこられているわけであります。
こうした中、県におきましては、就職の際にひとり暮らしを余儀なくされる離島・半島地域出身の新規高卒者に対して、来年度から県が所有する空き校舎を提供することができないか、準備を進めているところであります。
今後とも、その収支バランスの向上を図り、若者の流出を防ぐためにどうした対策が効果的であるのか、長崎市とも十分協議をしながら研究を進めてまいりたいと考えているところであります。
【比良議員】 ありがとうございました。1点目の可処分所得において、あまり差がないといったことについては、これは徹底して普及・啓発というか、意識醸成を図るような取組をぜひさらに追加してお願いをしたいと思います。
それと、県の空き校舎の活用といったことに触れられたわけでありますが、そういったことを長崎市としても独自に考えていくということが必要であろうと認識をいたします。その際、いろいろ協議をするといったようなこともご答弁いただきましたので、そういう取組ができればなと思う次第であります。
次に、
新たな大学の立地と拡充についてです。仕事で離れるという人もおりますけれども、今度は学びのために離れると、県外に出ていってしまうといったような若者も非常に多いと思うんです。
そこで、学びのために一旦ふるさとを離れると、その地でそのまま就職をして定住するという若者も多数に上るわけでありますので、そういう現実からは既存の大学の専攻科目をもっと広げて、学びの選択肢をさらに増やすとか、あるいはかつて大分県が立命館大学を誘致して多くの学生が集まったというように、特色ある学科を持った大学を誘致するとか、こうした取組を促進したり、主体的な働きかけや財政支援をするということも必要だと思います。仮に今後長崎市がこういったことに動き出そうとした場合、市との連携も含めて、県として、どういう取組をされるか、考え方をお尋ねいたします。
【柿本企画振興部長】 進学、就職に伴う若年層の県外転出は、本県にとって重要な問題であり、これまでも若者の県内定着促進に向けて、関係機関と連携しながら、さまざまな施策を講じてきたところでございます。
議員ご提案の大学の誘致につきましては、県内高校生の地元進学の促進が期待できるものと考えておりますが、一方で、全国的に少子化が進み、18歳人口が急激に減少する中、定員割れや他県では誘致後に撤退した事例も見受けられるなど、課題も多いものと認識をしております。
このような中、県内では、県立大学や長崎大学において、社会のニーズに対応した新たな情報計画部の設置が進んでおりますが、県としても、県内産業の活性化に貢献できる専門的な人材の育成を担う学部等の存在が、若者の継続的な県内定着につながるのではないかと考えております。
今般、国においても、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」の中で、地域における大学振興と若者の就学就業を促進する方向性が示されたところであります。
今後は、さらに県内大学の活性化や学部学科の在り方などについて、長崎市を含め関係自治体や大学関係者等と協議を行ってまいりたいと考えております。
【比良議員】 積極的な協議をお願いしたいと思いますが、夢を語れば、私としては、グローバル企業とグローバル大学をセットで誘致をする。韓国なんて、まさにそういうことをやっているんです。ほかでもやれるわけですから、そういうものに向かって、歩を進めるというような思い切った取組も必要であると、私としては思っています。
3.産業の振興と雇用の拡大について。
まず、
域内の経済循環を最大化するための対策についてであります。
県民所得や市民所得を向上させたり、地元雇用を伸ばしたりするためには、県民経済計算上からも、生産から最終商品に至るまでの域内での経済循環を高めることが最も効果的であるといったことが、これはもう理論的にわかっております。外貨を稼ぐ取組とあわせて、域内の消費拡大や生産資材の調達、あるいは企業内の連携等をもっと拡大する必要があると思いますが、県の考え方はいかがですか。
【平田産業労働部長】 県内の経済循環を高めていきますことは、県民所得の向上を図る上でも重要な視点であると考えております。域内消費を拡大するため、例えば、農林水産分野におきましては、ながさき地産地消こだわりの店、長崎県の魚愛用店などの認定、PRにより、飲食店、小売店等での取扱いの拡大を図っております。
また、加工用原材料の域内調達につきましては、産地と食品企業とのマッチングや1次加工業者の紹介による商品開発支援など、6次産業化や農商工連携の促進に取り組んでおります。このほかの物づくり企業につきましても、これまで中堅企業が外貨を獲得し、県内企業へ波及させる取組を進めてまいりましたが、さらに企業間連携によるサプライチェーンの強化や新技術開発に対する支援を行うこととしております。
今後とも、域内の経済循環を高めることで、県民所得向上につなげる施策を推進してまいりたいと考えております。
【比良議員】 域内経済循環を最大化するという中でネックになるのが、そもそもいろいろな生産資材の調達ということで考えた場合に、その技術がなくて賄えていない。したがって、県外に頼らざるを得ない。あるいはいろいろなものはあるんですけれども、県外よりもコストが高いといったもので、コスト競争に負けている。
言ってみれば、次の質問をさせてもらうんですが、
地場の小規模の企業の体質強化をいかに図るかといったことが一番肝要なことで、先ほど言われたサプライチェーンといったことも有力な取組方だろうと思いますので、そういう認識を持った上での取組をさらに加速をさせていただきたいと思う次第であります。
そこで、今言いました地場の中小企業の体質強化策についてでありますけれども、本県は、製造業の出荷額が少ない。そのことが県民所得の伸び悩みの原因となっているわけであります。1事業所当たりの平均出荷額も、他県の半分程度にとどまっている。
そして、県が今後、力を入れていこうとしているICTやAI、あるいはロボット産業等で、長崎市内で先駆的に操業をしている優良事例を、私としては勉強不足も手伝ってか、承知をしておりません。
また、食品産業やサービス産業一般にしても、県外に大きな販路を持つ事業所も、長崎市内に本社を置く事業所は数えるほどしかありません。
そこで、地場企業の新事業展開や新分野開発などを通じた体質強化が喫緊の課題であるわけでありますが、そのために、市とも連携して、県として、どういったことに注力をすべきか、どのように考えているかお尋ねをいたします。
【平田産業労働部長】 小規模な事業者が多い地域の商工業やサービス業の振興のため、県内全体で17地域の商工団体が主体となりまして、地域産業活性化計画というものを策定し、事業者と商工団体、県、市町等が、地域の産業特性に応じた目標を共有して、販路拡大や付加価値向上に取り組むという取組を進めております。
長崎商工会議所におきましては、交流人口の拡大を背景として、飲食店等のサービス産業やかまぼこなどの食品製造業などを注力する分野として定め、年間100事業者の売り上げ増といった具体的な目標を設定して、事業者の経営分析を踏まえた事業計画の策定、商談会への出店、地元企業が連携した観光土産品の開発等に対する支援を進めていくこととされており、県、市、商工会議所が連携をして、それぞれの施策を活用しながら一体となって支援していくこととしております。
【比良議員】 この問題は、もうまさに命題でありまして、そう簡単に成果がすぐには出るものではない。それは十分承知をしています。
今言われた、県内各地域で地域産業活性化計画を策定して、関係機関、団体が一つになって取り組もうとしているというお話がありました。これは、政策評価じゃありませんけど、その取組状況と成果がどこまで具体的に顕在化していくか、ここはしっかり把握をしながら、あの手この手長崎の総合力で取り組んでいただくよう、強く要望したいと思います。
そこで、
地場経済を牽引する多様な基幹的産業の創出についてです。長崎市の基幹産業というのは、言うまでもなく、造船、重機であるわけでありますが、時代のトレンドや国際的な価格競争の中で、地域経済の自立的発展を展望する時に、これのみに頼っていてはなかなか難しいと私は思います。もとより、造船、重機にさらに頑張ってもらえるように、行政としても手を打っていくことも必要でありますが、その一方で、造船、重機に比肩するような新たな基幹的産業を創出していくということが何より大切だと思います。
県内でも、他の市町には大きな雇用吸収力を持った優良企業が立地をしているわけでありますが、長崎市内には残念ながらそういう状況にありません。こうした状況から、先に進むために、仮に長崎市がこうしたことに今後積極的に取り組むとした場合、市との連携も含め、県としてはどう取り組むか、そのことについてお尋ねをいたします。知事、答弁をお願いします。
【中村知事】 さまざまな産業構造上の問題に直面する中で、これからはより付加価値の高い、先駆的な産業を強化していかなければならないと考えているところであります。これまでの経過について見ます時に、長崎市においては、どうしてもやはり内陸部に競争力の高い工業団地がないということで、製造業等の誘致に非常に制約があったところでありますけれども、これから、長崎市としてどのような産業構造の達成を目指そうとされるのか、そういった点についても十分意見交換をさせていただきながら、新たな産業の創出に向けた取組もまた必要になっているものと考えておりますので、十分協議していく必要があるものと考えております。
【比良議員】 ありがとうございました。まずは、長崎市が基本的な地域経営の戦略ということをしっかり立てた上で、県としっかりと協議をしていく。そのことについては、窓口を開いているというようなお話であります。
ぜひ、そういった施策の推進についての展開が図られるようにやっていく、このことが何より大切だろうと思います。
ところで、
クレインハーバービルの利用促進とオフィス系企業の立地促進についてのお尋ねでありますが、まず、クレインハーバービルについて。
これは、建設の時の市場の背景とか、必要性、緊急性、そういったことについての説明とは裏腹に、現在、市内からの県外企業の移転とは別といたしまして、県外からの新規の入居企業はゼロの状態になっています。この原因は一体何か。
そこで、あわせてクレインハーバービルへの入居に限らず、オフィス系企業の長崎市内への立地はそもそも難しいのでしょうか。あるいは立地を促進するために、地元として補うべき、あるいは揃えるべき課題というのは何か。
今後、市内中心部でオフィスビルを建設しようとする計画も多々あるわけでありますが、うまく活用される見通しは立てられるのか、あわせてお尋ねをいたします。
【平田産業労働部長】 昨年12月に完成したクレインハーバー長崎ビルは、現在5フロアのうち1フロアが入居済みで、先般もう1フロアの入居が決まりました。いずれも平成26年度に誘致した企業が、事業拡大して移転したもので、新たに200名の雇用が創出されます。
全国的に人材確保が難しくなっている中、確実に人材を確保するため、既に進出した拠点を中心に事業拡大を図る傾向があることから、県、市、大学などでしっかりとこのような人材確保、事業の推進を支援することが大切でありまして、そのことがさらなる誘致の促進につながるものと考えております。
さらに、現在、力を入れておりますITでありますとか、組み込みソフト研究開発部門等の分野では、高度な専門人材、あるいは技術力のある協力企業を確保するということが必要とされておりますので、人材の育成及び地場企業のマッチングに取り組んでいく必要があると考えております。
もう1問、長崎市において、民間事業者によるオフィスビル整備が進み、良質なオフィスフロアが増えますことは、今後の企業誘致の強みになりますので、民間事業者や長崎市と連携を図り、ビルの供用開始時期を見据えながら誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。
【比良議員】 オフィスビルの建設計画が進んでいることは、企業誘致にとっての大きな戦力になるというお話ですから、それぞれの建設時期等をにらみながら、県として、率先した取組をぜひお願いしたい。
それにあわせて、長崎市も今、産業振興財団に2名職員を配置しているということでありますが、そこに甘んじることなく、より積極的な誘致活動をさらに展開していかなければいけないと思うんです。
企業誘致と一言に言うけれども、例えば、この間、産業振興財団の職員からレクチャーを受けましたけれども、もう訪問企業数というのは山ほど上っているわけです。そこの中で、しかし、実際に長崎ということを検討の俎上に上げるという企業も非常に限られている。そこの中から、さらにふるい落とされて、実際誘致をするというのは本当に厳しいというか、そういう状況にあるわけでありますので、ここはもう本当に長崎の総合力で、さらに鉢巻き、ねじを巻いてやらなければいけないと思います。あの手この手で、もうみんなで一緒になってやるという、そういう機運、体制をつくっていく必要があると思っています。
ところで、産業の振興、あるいは子育てについて、可能な限り、それをしやすいような社会環境づくりといったことをお尋ねしてきたわけでありますが、そういうこととあわせて、人が残っていくには、住んで楽しいまちづくりというのが進まなければいけないと思うんです。
4.賑わいの場づくりについて
具体的には、
三菱幸町工場跡地のジャパネットの計画への県の対応についてであります。
ご案内のとおり、ジャパネットがサッカー場、マンション、オフィス、ホテル等の建設を行う等の提案をもって、三菱の公募に採択されました。総投資額は、約500億円。外国のディペロッパー企業の参加も含め、市内の町なかの民間投資としては、県都のダム機能の発揮に大きく寄与をするということも含めて、画期的なことだと私は認識をしています。
何としても計画を達成し、成功させるために、県、市連携して、例えば、都市利用規制や道路整備対策などのハードルをクリアしていくことが必要だと思いますが、知事、考え方いかがですか。
【中村知事】 この三菱の幸町工場跡地の活用に当たりましては、これまでも県から三菱重工に対して、良質な雇用の場の確保、交流人口の拡大、あるいは長崎の魅力の向上に寄与する活用策が望ましいと申し上げてきたところであります。
今回の計画は、サッカー専用スタジアムのほか、ホテルやオフィスなどの複合施設を整備する内容でありまして、これまで私どもがお願いしてきた意見に相当程度沿ったものであると評価をいたしております。
こうした計画の発表を受けまして、県においては、既に県庁内の関係部局による連絡調整組織を設け、優先交渉権者との間で情報共有、あるいは意見交換を行っているところでありまして、交通対策をはじめ、想定される諸課題について検討を始めたところであります。
今後とも、長崎市と連携を図りながら優先交渉権者との協議を進めるなど、的確に構想実現に向けて協力してまいりたいと考えているところであります。
【比良議員】 構想の実現に向けて積極的にかかわっていきたいというような強いご主張がありました。
昨日の晩、ワールドカップで日本がコロンビアに勝ちました。日本全国で老いも若きも、男性も女性も一丸となって、歓喜し興奮をしたと思います。ああいう姿を目の当たりにしていますと、もうスポーツの力というのは本当にすごいなと思います。何としても、今回のジャパネットの計画は成功してもらわなければならないわけであります。
そのために、県としても、強い決意を持って積極的な役割を果たしていただくことを、さらにお願いをさせていただきたいと思います。
ところで、
長崎市は、MICE関連予算を6月市議会に計上しておられます。一方、IR関連法案が今国会に上程され、県としては、何としてもハウステンボスに立地決定するよう推進をしております。
IRがハウステンボスに立地をすることになれば、国際的な水準のコンベンション施設やメッセ会場、鑑賞型のホール、大小会議室、宿泊施設、あるいはショッピングモール、それらが一体的に整備されることになります。投資額は約2,000億円と聞いています。
こうした動きや勢いがある中で、長崎市は、市民の税金約150億円を投じて、同じようにコンベンションホールやメッセ会場をつくろうというような計画であります。民間活力の活用によるホテル建設などは別といたしまして、市が直接財政負担をして実施をするコンベンション施設やメッセ会場といったものが、佐世保にできるであろう圧倒的なIR施設と重複をする中で、また、県外に類似施設があまたある中で、果たしてうまく稼働するのか、私としては率直疑問が先に立つわけでありますが、まず、そもそも県として、市のこのMICE計画に対して一定の財政支援を行うのかどうか。
また、仮に計画が実現をした場合、IR施設への誘客対策のほかに、MICEへの誘客に対して、県としても、何か積極的に関与しようという考えはあるのか、お尋ねをいたします。知事、お願いします。
【中村知事】 長崎市のMICE計画は、市が主体となって民間活力の活用を図りながら整備する計画となっているところであり、同計画に県の補助は予定していないところであります。
また、コンベンションの誘致につきましては、その受け入れ施設がどこであるかを問わず、これまでも県内各市町と連携して取り組んできたところでありますので、多様なコンベンションの誘致を進め、観光消費の拡大に結びつけていかなければならないと考えているところであります。
【比良議員】 県の財政支援はないといったことが明確に述べられました。その他、コンベンション関係については、今の知事の答弁ではよくわからないのでありますけれども、多様なコンベンションが展開をされるといったことは望ましいという、そこの話にとどめておったと理解をいたします。
昨日、同僚議員から、IRに関する質問がありました。県の財政への寄与度、あるいは地域経済の振興を考えての、いわば、これは切り札としての県の計画であると思います。
また、民間の営業において相互融通というようなことはなかなかに考えにくいということでもあろうと思います。
そうした意味で、現実的には長崎市が市民の税金を投入してやるという計画は、私としては、よほど慎重にやる必要があるのではないかと思っております。
そこで、長崎市内にある既存の施設を活かして、例えば、町なか全体がコンベンションの舞台というような、長崎市の特色を活かしたコンベンションのやり方が、私としては可能ではないかと思うのでありますが、MICEのような大型の施設がなければ、コンベンションはできないというふうにお考えかどうか、ここはちょっと里見副知事にご見解をお聞かせいただきたいと思うのでありますが。
【里見副知事】 議員ご指摘の、新たなMICE施設によることなく、既存施設や地域の特性を活かした工夫を講じるということによって、コンベンションの誘致を進めていくという考え方も当然あり得るものだと思っております。
ただ、その一方で、長崎市が予定されているMICE施設につきましては、複数のホールや複数の会議室が併設された計画となっておりますので、分散せず1カ所で分科会を開催する必要がある大規模な学会など、これまでよりも多様なコンベンションを誘致する可能性はあるのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、施設のありようによって、誘致できるようなコンベンションの姿は多少変わるとは思いますが、施設があればあったで、それに適するコンベンションの誘致活動になり、なければないで、それに応じたコンベンション誘致活動になっていくものではないかと考えているところでございます。
【比良議員】 今の副知事の答弁は、全く的を射た答弁であると思います。なければないでやりようがある。あったらあったで、それを活用したやり方というものを工夫して頑張っていかなければならない。当然のことでありますが、コンベンションということを盛んに言いますけど、大事なことは、なんでそこのまちでそのコンベンションをするのかという主催者側の動機付けに対して、しっかり訴え得るインセンティブというか、そういう特徴を持ったまちでなければならないということと、それとあわせて、アフターコンベンションについて、やはりその魅力度が高いまちである、あるいは長崎市でやるとする場合にそこでわざわざやるという意味があるコンベンションの議題の内容である。こういうものでないと、これはなかなかそう簡単ではない話でありまして、この辺を共通認識を持って、いろいろこういったことについては取り組んでいく必要があろうと、私としては考えています。
そこで、あわせて
県庁舎の跡地活用ということですが、旧県庁舎もいよいよ解体をするということですが、跡地対策もこれまでいろいろ議論がありましたけれども、検討作業の現時点での進捗はどうか、簡単にご説明をいただきたいと思います。
【柿本企画振興部長】 庁舎の跡地活用としまして、先行して検討を進めることとした広場と交流、おもてなしの空間につきましては、昨年度、県議会の総務委員会で検討内容をお示しし、ご議論をいただいたところであり、その議論等を踏まえ、備えるべき機能や規模など、さらに検討を進めているところでございます。
一方、文化芸術ホールにつきましては、昨年2月の県議会からの意見書を踏まえ、長崎市が整備を検討しているMICE施設におけるホールとの機能重複に関する調整を確実に行う必要があるものと考えております。
現在、6月市議会にMICE施設関連議案が提出されていることから、その審議の状況を注視し、その動向を見きわめたいと考えております。
【比良議員】 今から質問をしようとすることについても、もう一定踏み込んで今答弁があったやに思いますけれども、もう一度お尋ねをしますが、長崎市の計画の進捗も視野に入れる必要があると。そのとおりであると思うんですが、旧県庁の閉鎖、解体ということが進む中で、周辺のにぎわいも低下をしていると言われています。かつての長崎市のまちの成り立ちに大きな役割を果たしてきた市内の一等地であることから、これは長崎市民の理解を得る跡地活用策がいよいよ求められていると思うのであります。その辺を踏まえた上で、再度答弁をいただきたいと思います。
【中村知事】 県庁が移転した後、周辺地域について、にぎわいが低下しつつあり、関係の皆様方が大変心配をなさっておられるというお話を、私もお伺いしているところであります。
したがいまして、できるだけ早いうちに跡地の活用について方針をお示ししたいという思いがあるところでありますが、先ほど担当部長がお答えしましたように、現在、市議会において、MICE関連施設の議案が審議されているところでありますので、近々一定の方針が出されるものと考えているところであります。こうした審議の動向を見極めた上で適切な時期に判断してまいりたいと考えております。
なお、現状で旧庁舎の解体、発掘調査等を含めると、新たな事業を進めるに至るまで相当の時間が残されておりますので、まずは既存の旧庁舎新別館の活用を急いでいくことといたしておりまして、現在、準備作業を進めているところであります。
【比良議員】 解体に着手する中で、一定全体工事が終了するのが2カ年程度かかるというような話でありますから、その間においては、やはりその次、どう手を打つかといったことについての計画はしっかりと組み立てをし、県民、市民の理解を得るといったことについて、ぜひ取組をお願いしたいと思います。
5.長崎市の特長を活かした観光の振興について
まずは、
資産の顕在化、付加価値化の対策ということについてであります。
長崎市内は、我が国でも特色ある歴史を有しているわけでありますが、残念ながら多くは以前ここに何があったというような石碑でありますとか、掲示板の設置で終わっております。そのほか、観光の目的地となるべきような施設や街並みもインパクトが弱い、もったいないというような状況にとどまっているものが多くあります。
今後とも観光地として生き延びるためには、こうした歴史的資産を顕在化させたり、付加価値を高めたりする必要があると思いますが、こうしたことについて、仮に長崎市が今後積極的に取り組むとした場合、市との連携も含めて、県としてどう取り組むのか、お尋ねをいたします。
【中ア文化観光国際部長】 県におきましては、これまでも歴史に彩られた本県ならではの資産を顕在化させ、観光資源として磨き上げることに力を入れてまいりました。
また、観光資源となり得る歴史的、景観的な価値の高い建造物等については、文化財の指定やまちづくり景観資産の登録を行った上で、保全等の行為に対して、市町と連携して支援しております。
引き続き、市町と連携して、歴史的資産を活用した新たな観光資源の整備、活用を進めるとともに、にぎわいの創出につながる地域や市町の主体的な取組をソフト・ハード両面から支援していくこととしておりますので、長崎市とも、これまで以上に連携してまいりたいと考えております。
【比良議員】 長崎市とも、これまで以上に連携して進めていきたいというお答えをいただきました。あとは、だから、長崎市がいわゆる積極的なそういう取組を主体的にやっていこうとする、その姿勢いかんであろうと思います。
あわせて、
観光産業の振興といったことについてお尋ねをいたします。
観光の振興というのは、入り込み客数がどうかということにとらわれず、観光産業の振興でなければなりません。観光の第1次受益者である市内の旅館・ホテルは、厳しい経営環境にあって、従業員の人手不足も深刻な状況にあります。このため、旅行形態に対応する設備投資や高付加価値化への対応も難しいといった状況です。地場の土産品等の販売額も伸び悩んでいると言われています。こういう実態を改善し、観光が地域経済のプラスに役立っているという状況をつくり出すことができてこそ、観光に力を入れる意味があると思うのでありますが、長崎市が今後こうしたことに取り組もうとした場合、市との連携も含めて、県としてはどう取り組むのか、お尋ねをいたします。
【中ア文化観光国際部長】 県では、従来、主に誘客による量の拡大に取り組んできたところであり、観光客数には一定の成果が出ておりますが、産業としての観光の活性化や良好な雇用環境の創出などについては、まだ十分ではないものと認識をしております。
このため、近年では、より消費を高めるプレミアムコンテンツの開発などによる観光の質の向上に取り組んできたほか、観光産業の核である宿泊業の生産性向上への支援を行い、例えば、業務見直しを進め、接客業務の質を高めることにより、顧客満足度が向上している事業者もあります。
今後は、これまでの取組に加え、観光事業者が多様な産業と連携して、地域にお金を落とす取組や優秀な観光人材の育成によるサービス向上への取組などに対する支援策を検討し、観光産業の活性化、高度化を推進してまいります。
【比良議員】 雲仙の旅館・ホテルが大変に苦戦をしています。そういう中で大手資本による企業買収等が進んで、地場の事業所といいますか、これまで地場の資本で運営をしておったような旅館・ホテルというのがなくなっていってしまう。長崎市においても、幾らかそういうふうな傾向が出てきています。かなり厳しい状況にある。
今、生産性の向上という話をされましたけれども、そういったことに取り組むためには、例えば、協業とか、共同とか、幾らかそういったことを、チェーン化を図るというか、そこまでしなくても協業、共同で一体的な取組をやっていくとか、いろいろな工夫が必要になってくる。あるいはインバウンドの対策についても、ここは観光連盟なんかでやっているんだろうけれども、いろいろな受け入れについて可能な旅行・ホテル一体となって進めていって、配分をしていくとか、いろいろな取組があろうかと思うんです。
今までは、第1次受益者のその経営の向上、そのことによって観光産業の生産額を伸ばしていって、県民所得の向上につなげるという、そういう視点が必ずしも明確ではなかったと思っているんです。観光統計の数字だけで一喜一憂するような状況にあった。実際は狙いとするのは、認識は一致していると思いますが、観光産業の振興があって初めて、その地域経済にプラスになるということでありますので、ここは産業労働部と一体となった中で取組をぜひお願いしたいと思います。
あわせて、あと1点、
国際クルーズ船の対策についてであります。
年間105万人が上陸をし、国内でも第2位の寄港地と長崎市は言われているわけでありますが、県内の貸切バスの需要が減少したり、地場の土産品店等での売り上げにあまり影響していなかったり、まして宿泊関係は無縁だったり、長崎の経済浮揚にはほとんど関係のないところで動いていると思います。
県外の中国系ランドオペレーターが大手を振っているというのが実態で、長崎は、彼らにいわば利用されているという状況であると言っても過言ではないと私は思います。こういった状況を改善し、地域経済のプラスにするため、長崎市や観光関係機関との連携も含めて、県としてどう取り組むのか。1泊、2泊するような準母港化を目指すぐらいの意気込みで取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
【田代文化観光国際部政策監】 クルーズ振興の取組につきましては、基本的には県が誘致活動を、地元自治体が客船の受け入れ対応を行っているところでございます。
長崎港に入港するクルーズ船の寄港地ツアーに関しましては、長崎市が、市内におけるツアーの充実等を行い、県は、長崎港から島原半島などへの県内広域周遊対策に取り組むことで、地域経済の活性化を図っているところでございます。
中国からのクルーズ船では、依然として特定の免税店へのツアーが集中していることから、地元の旅行会社と共同で新たな着手型ツアーの造成を目指しているところでございます。
今後とも、長崎市や旅行会社などの関連観光機関と連携をいたしまして、クルーズ客の周遊性の向上を積極的に進めてまいりたいと思っております。
それから、準母港化を目指すぐらいの意気込みということでございますけれども、県産品の客船への供給でございますけれども、船会社との協議を重ねた結果、昨年度から、長崎港等での積み込みが増加をしておりまして、今後の取引拡大に向け、船舶納入業者等と共同で、新たな県産品の紹介を船会社に行うことといたしております。
また、県内での宿泊を伴う乗下船クルーズ商品の開発にも、平成28年度から取り組んできたところであり、その成果といたしまして、昨年度は長崎港において2回実施をされ、今年度においても5回計画をされております。
さらに、中国発着のクルーズにおけるフライ・アンド・クルーズ(航空機と客船を利用した旅行)商品の開発に、今年度から地元の旅行会社と連携して取り組んでいるところでございます。上海から長崎への航空便で訪れたお客様が、県内で宿泊滞在をした後に長崎港から乗船する商品の年度内の販売開始を目指しているところでもございます。
引き続き、クルーズ船の入港を経済的な効果の拡大に結びつけられるように関係機関とともに取り組んでまいります。
【比良議員】 いろんな取組について、今、政策監の方から紹介をいただきました。本当にうまくやっていければいいなと思うんですが、なかなか難しいところがある。それははっきり言うと、マージンの問題とか、そういうことですよ。そういったことがネックになって、なかなか商品企画をしてもうまくいかないとか、こちらの方にお声がかかってこないとかいうことがあるわけで、その辺は総合力を持って取組をよろしくお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。