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平成28年2月定例月議会一般質問 (平成28年3月掲載)
 平成28年2月定例月議会の本会議で一般質問を行いました。

 質問事項は以下のとおりです。

質問事項一覧
  1. 経済振興のための本年の重要な取り組みについて
  2. 九州新幹線西九州ルートについて
  3. 海洋再生可能エネルギーの開発について
  4. 基幹企業である三菱の活用について
  5. 大雪、低温による露地びわ被害対策について
  6. 港湾・漁港区域内の廃船の撤去について
 なかでも、九州新幹線西九州ルートについてはフリーゲージトレインの開発の遅れにより、平成34年の開業時にはリレー方式となることから、将来的には全線フル規格を目指し、新幹線整備スキームに位置付けるよう主張して、知事と長時間論戦を行いました。この件については新聞記事(読売新聞3月4日版)で右のように取り上げられています。

 以下、議事録(語句を一部修正)を掲載しますので是非お読みくださり、ご意見等いただければ幸いです。



1.経済振興のための本年の重要な取り組みについて

 まず、ものづくり産業への本年の主要な取組についてであります。
 昨年は円安や人件費上昇に伴うコストアップに直面している先も見られ、操業度、繁忙度は相応に継続しているものの、利益が高まっていない状況にあります。
 主力の造船では、客船の建造に手間取り、高額の損失額を計上せざるを得ない状況になっています。鉄鋼や窯業、土石等の資材関連では、収益悪化や公共投資の弱さなどの影響を受けて、業況がさえない先が見られております。
 さらに、食品製造業では、人手不足、コストアップ、販路の問題等に悩んでいるところが多いと言われております。
 こうしたことから、日銀長崎支店が行った長崎県企業短期経済観測調査(短観)の製造業の業況判断は、昨年は年の初めから年末にかけてマイナス水準の悪化が続き、12月もマイナス9%のまま越年をいたしております。
 こういった状況を踏まえて、本県としてとりわけ力を注ぐべき製造業、ものづくり産業について、特にどういったことに注力して振興の施策を推進していくのか、まずお尋ねをいたします。

知事答弁

 ものづくり産業の振興について、どういう方針で臨むのかとのお尋ねでございます。
 グローバル競争の激化、人口減少による国内市場の縮小、働き手の減少など、県内のものづくり企業を取り巻く環境は厳しさを増してきているものと考えております。
 こうした中、県内企業の持続的な発展を図ってまいりますためには、規模の大小を問わず、意欲ある全ての企業を対象に、技術力や生産性の向上等によるさらなる競争力の強化を図ることが必要不可欠であると考えております。
 こうした基本姿勢のもと、
 ・ 工業技術センター等による技術高度化や、
 ・ 産学官連携による新技術の開発、
 ・ 産業振興財団による取引マッチング、等
の支援施策を引き続き推進してまいりますとともに、来年度からは新たに
 ・ 提案型補助制度の創設や、
 ・ 国のプロジェクト等の獲得支援体制の充実、
 ・ 工業連合会の競争力を高める活動への支援、等
戦略的な施策を積極的に展開することによって、本県のものづくり産業の底上げを目指してまいりたいと考えております。

 これまでも地場企業の振興には取り組んできているわけでありますけれども、なかなかに成果の発現は難しいと、そういった状況になっています。
 企業の努力はもとよりですが、本県の場合、個々の企業の努力のみでは、もはや限界があるのではないかと思っています。同業種間、あるいは異業種間の連携マッチング、共同事業化、企業合同、こういったことを促進する。また、後でも述べますけれども、ものづくりの各分野で技術が本当にわかる技術系のシンクタンクの設置、そういったことが不可欠であると思っていますので、こうしたことにもぜひ注力をしてほしいと思います。

 次に、観光の振興についてであります。
 昨年は観光施設等への入場者数や、ホテル等の宿泊者数、宿泊単価は堅調に増加をしておりますし、土産品等の観光消費額も伸びており、総じて好調だったと言えると思います。
 また、今年も年後半にはデスティネーションキャンペーン(大型の観光キャンペーン)が実施されるなど、引き続きチャンスに恵まれた年になるのではないかと思うわけであります。しかしながら、その一方で宿泊施設の新設を含めた環境整備、あるいは観光客のさらなる増加対策としてのマーケティングやインフラの整備、こういったものを進めていく必要があると思います。知事としては特にどういったことに注力をして振興の施策を進めるのか、お尋ねいたします。

知事答弁

 観光動向については、ご指摘のとおり、近年堅調に推移しつつあるところであります。
 こうした中、今後は、量のみならず、質の向上を図ることが重要であると考えており、好調を維持している今であればこそ、より付加価値の高い、長崎ならではの旅を提供することによって観光客の満足度を高め、リピーターにつなげ、さらには観光消費額の拡大を図っていかなければならないと考えております。
 そのため、
  • 本県ならではの歴史や文化、自然、食、体験といったさまざまな素材を活かしたプレミアムコンテンツの商品開発による富裕層の獲得、
  • あるいはクルーズ客への新たな周遊ルートの提案と消費拡大、
  • 海外の各市場特性に訴求する旅の提供、など
観光客に選んでいただけるような多様な長崎の旅を創出していかなければいけないと考えております。
 また、観光客を受け入れる宿泊施設においても、質の高いサービスや生産性の向上など、付加価値を高める取組を新たに支援してまいりたいと考えております。
 さらに、また、先ほどらいご議論をいただいております観光による経済効果を、それぞれの地域が持続的に享受できるように、観光関連業者にとどまらず、多様な関係者が参加する形でのDMО(Destination Marketing/Management Organization:観光地のマーケティングや管理を行う組織)の構築を目指していかなければならないと考えております。そうした取組に力を注ぎ、今後とも、本県観光産業の高度化を目指していきたいと考えております。

  いろいろ誘客のために手を打っていこうとしておられるわけでありまして、この取組についての議論は委員会の中で行いたいと思います。ただ、今、知事から答弁があったことと合わせまして、一方で観光の振興のための本旨に返って、まちに磨きをかける、あるいは歴史や文化の資産に磨きをかけると、そういった取組も加速をさせる必要があると私は思っております。

 最後に、人手不足対策についてであります。
 昨年12月の短観、雇用人員判断はこの10年間で最高のマイナス水準で、マイナス30%を超えていおり、地域経済の活性化を支える人の力が明らかに不足をしています。
 水産と名前がつくだけで従業員が集まらないと言われておりますし、建設業の現場従業員、トラックの運転手、警備員、さらに保育士、看護師、介護福祉士、管理栄養士、こうした資格を有する人も大きな売り手市場になっております。これまでの従業員や新卒者の多くが、県外に流れてしまっているわけであります。
 この人手不足の状況は大変深刻でありまして、もちろん個々の企業等の努力は必要でありますが、それだけではなく、産業界、教育界、行政、金融機関が結束して取り組むことが重要であり、その必要性は一段と高まっていると考えております。
 この喫緊の重要課題である人手不足対策について、どう取り組むのか、お答えをいただきたい。

知事答弁

 この人手不足対策につきましては、いわゆるミスマッチの解消と人材の県内定着の促進、この両面で取り組んでいく必要があるものと考えております。
 ミスマッチの解消につきましては、まずは求人側における賃金水準、あるいは休暇等の労働条件が一つのネックになっている傾向も見られますことから、力強い産業を育てますとともに、経営層の意識改革も進め、正社員化、あるいは処遇改善、働きやすい職場環境づくりに取り組む企業を増やしていく必要があると考えております。
 一方、また求職者側においても、企業が求める資格、スキルが不足するという指摘もありますことから、そういったさまざまな特性に応じたきめ細かな支援ができるような公共職業訓練、民間事業者を活用した訓練、人材育成支援策をさらに充実させてまいりたいと考えております。
 一方、また、人材の県内定着を促進してまいりますためには、県内各企業の魅力や就職情報等を積極的に県内の高校生、大学に提供し、マッチングを強化していかなければいけないと考えております。
 併せて、UIJターン希望者等の県外からの定着を促進するためにも、そうした取組を強化してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、こうした基本的な考え方のもと、産学官コンソーシアムを立ち上げておりますので、それぞれの産業の分野、地域的な課題等に応じて関係者が知恵を絞って、人手不足の解消に全力を注いでまいりたいと考えております。

  この人手不足対策、人材の確保育成対策というのは、もう全庁挙げて取り組まないととんでもないことになってしまうと思っています。また、県庁はもとより、業界、経済界、教育機関、その他関係団体の総力を挙げた取り組みについて、知事の強いリーダーシップを発揮してもらうことを求めて次の質問に移ります。

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2.九州新幹線西九州ルートについて

 フリーゲージトレインの開発遅れで、開業目標の平成34年に量産化が間に合わないということが明らかになりました。
 これを受けて、与党プロジェクトチームの下の検討委員会は、「リレー方式で開業する」という方向性を示したところであります。まだ正式決定はしていませんが、現実的にはそのようなことに落ち着くということのほかはないと思います。
 しかし、そうであれば、開業時及びその後の一定期間、時間短縮効果ほか、西九州ルートとしてこれまで5,000億円を投資し、うち本県も真水で約670億円(これは県民の税負担によるもの)でありますが、そうした負担をする新幹線建設の意義は大きく減退すると言わざるを得なくなったと思います。
 新幹線と在来特急を組み合わせたリレー方式の場合、一度か二度、必ず乗り換え手間や待ち時間が生じます。武雄温泉と新鳥栖で二度乗り換え、仮に待ち時間なしとしても、在来特急と比べ時間短縮効果は20分あるかどうか。仮に新鳥栖で乗り換えないとすれば、時間短縮効果はもっと薄くなるわけであります。料金が上がることも考えれば、これを利用する人は極端に少ないのではないでしょうか。何のためのルート開発かということになることが目に見えていると言わざるを得ないと思います。
 そういうことが十分予想される中で、本県の主張として、開業時期を間に合わせろということだけでいいのかということであります。
 整備新幹線のスキームをどうつくるかは、国の決定によるところではありますが、沿線自治体も多額の地元負担金を拠出するわけでありますし、そもそも沿線自治体の利用者のことを考えての建設にほかならないと思うのであります。そうであれば、地元として、主張すべきは堂々と国に訴えていかなければならないと思います。
 そこで、国に主張すべきことについてであります。まず、フリーゲージトレインの開発はもうやめるということであります。現時点で国は、フリーゲージトレインについては平成34年から3年後には量産車ができると言っておりますが、開発のプログラムが全て順調にいくのか、本当に安全な高速車両ができるのか、何の担保もないわけであります。これまで、400億円を投資してきたということはあるでしょうが、60万キロの耐久走行試験のクリアが課せられる中で、約3万キロの走行で部品の摩耗や欠損が見つかり、試験が1年以上中断をされている。今後、改良が加えられたとしても、本当に大勢の人を乗せて高速で安全に走行できる車両と太鼓判を押せるものになるかどうかは、全く不透明であります。
 そもそも17年前からフリーゲージトレインの機能開発に取り組んできたと言いながら、耐久走行試験が2年前からしか行われていないというのは、本気でフリーゲージトレインの確立を目指そうとしているのか、専門家からも批判があります。
 動いているもの同士の間で起こる全ての現象を把握し、問題を解決する技術をトライボロジーというそうですが、この際、フリーゲージトレインのトライボロジーの確立は不安であるとして、後世に研究開発を委ね、西九州ルートにおいては中断すべきだということを申し述べるべきだと思います。
 その上で、開発の一定期間後、具体的にいつまでかということはありますが、一定期間後にはフル規格で運行するということを申し入れるべきだと思うのであります。財界をはじめ多くの県民がそのことを望んでおります。
 新幹線の本来の建設意義が発揮されることについては、知事も承知をしているはずであります。
 ひるがえって、フリーゲージトレインでは、博多までの時間短縮効果が余り生まれないばかりか、山陽新幹線の車両と比べて運行速度が遅いので、本当に新大阪まで乗り入れられるのかどうか、JR西日本の同意が得られるのかどうかは、はなはだ疑問です。「できない」と明言される国会議員もおられます。そうすると、新幹線と言いながら博多までしか行けないわけです。
 また、そもそも西九州ルートは、当初はフル規格で考えられていたわけで、長崎〜博多間の環境アセスメントも行い、いよいよという時に並行在来線の問題や建設財源の問題やらで現在のスキームになったというわけです。
 即ち、フル規格ということが、これまで計画の俎上に上がったことがないものではないのであります。もとより、武雄温泉〜新鳥栖間を新たにフル規格にすれば、5,000億円程度の追加財源が必要になり、このうち佐賀県の負担がJRの使用料収入が一定見込まれたとしても、真水で900億円程度になると言われているわけです。この財源問題をクリアしなければならないわけでありますが、フリーゲージトレインの計画がつまずいた今、国の責任で財源の負担割合を見直し、佐賀県の負担割合を圧縮するよう訴えていくべきであると思います。
 まず、そこまでについて、知事の所見をお尋ねいたします。

知事答弁

 この九州新幹線西九州ルートの現在に至るまでの経過は、先ほど議員もお触れになられましたけれども、もともとはフル規格の新幹線で構想がスタートされたところであります。しかしながら、昭和62年に国鉄が民営化され、早岐回りのフル規格では収支改善効果があらわれないということから、平成3年当時、佐賀県知事から提案を受け、博多〜武雄までは在来線を活用するスーパー特急方式とするということにされ、その後も協議、調整が重ねられた結果、現在フリーゲージトレインを運行するという前提で認可・着工が得られているところでございます。
 佐賀県におかれては、先日の与党の検討委員会においても、このフリーゲージトレイン方式だからこそ、実質約225億円の負担を受け入れたという旨主張されているわけであります。
 もちろん、長崎県は、フル規格をこの間一貫して希望してきた経過がある中で、さまざまな佐賀県の事情等もあり、現在に至っているわけであります。
 また、こうした経緯に加えて、全線フル規格化を直ちに目指すということになりますと、当然ながら財源問題、投資効果の検証、並行在来線の諸課題の解決、あるいは相当の期間を要するというさまざまな課題が生じてくることから、慎重に対応していかなければならないと、これまでも繰り返し申し上げてきたところであります。
 当然ながら、フリーゲージトレインの安全性については、これは国において責任を持って太鼓判を押していただかなければいけない課題であり、国土交通省、あるいは鉄道運輸機構においては、実用化に向けた技術開発を進めるという方針が示されているわけでありますので、まずはこれまで申し上げてまいりましたように、開業効果が早期に発現される必要があるという考え方から、当面はフリーゲージトレインの動向を十分見極めていく必要があるものと考えているところであります。

 これまでの経過があるということは十分承知をしています。そして、現在の認可というのが、フリーゲージトレインをベースにしたものであるということについても十分承知をしているわけであります。ただ、国の方針に基づいてこれまでやってきたことの結果が、こういう本当にみじめな状況になってしまっているわけであります。県民にとっては、本当に不都合な、ある意味ではダブルパンチのような、そういった状況を甘受せよといったようなことに陥ってしまっているわけであります。
 ですから、あまり事務的な話ではなくて、ここは長崎県の百年の大計の話でありますから、政治的に、県民の意向を踏まえて、知事としてリーダーシップを取りながら佐賀県としっかり協議をする。そしてまた、国に対して訴えていく。そのことを私は強く求めたいと思うのであります。
 新幹線問題の与党プロジェクトチームの座長である稲田さん、彼女もフル規格化については、「結局、地元がどう考えるのか、地元の意見がどれだけ集約されるのかにかかっている」と言っているわけであります。
 本県選出の与党検討委員のメンバーである国会議員も、「知事には県民のために佐賀の理解を得る努力をもっと泥臭くやってほしい」、「やっぱりトップが努力しないといけない」、「必死さがあるかどうか」と言っているとの新聞報道であります。
 県民の多くはフル規格を望んでいる、このことは間違いない。難しいことはありますけれども、百年の大計をもって全力で頑張ろうじゃありませんか。「上海につなぐ夢の新幹線」というキャッチフレーズを掲げて、これまで何十年も新幹線の整備に本県は取り組んできました。時間も労力も金も、他に例のないほどかけてきました。その結果が先ほど申し上げるような、県民にとって、県政にとってダブルパンチのようなそういう状況になってしまっているわけであります。
 多額の金は負担をしたけれども、乗り換えでかえって不便になり、時間もあんまり変わらない。加えて料金も上がると。そして、その不便がいつ解消されるか、確実なところは何もない。ずるずる延びる可能性はある。
 知事は、国において太鼓判を押してもらえるようなそういう取組をしてもらわなければならないと、期待をするとおっしゃいましたけれども、ずるずる延びる可能性があるわけであります。
 やっとフリーゲージトレインができたとしても、博多どまりで終わって、そしたら、今とあんまり変わることがない。しかし、FGTにこだわるということは、あるいは国のスキームがそうだからということでとどまる限りは、「県民の皆さん、これを我慢してください」ということを県民に言っていることであります。
 そうではなくて、「国の取組の遅延により、一定期間我慢することを余儀なくされるけれども、その一定期間後はフル規格で必ず新幹線の建設効果が発揮されるようにする。だから、理解してください。当面のあり方を甘受してください」、そう県民に述べるのが知事のあるべき姿勢ではないかと思うのですが、再度いかがですか。

知事答弁

 先ほど申し上げましたように、新幹線の認可・着工に至るまでの経過で、長崎県の立場としては、終始一貫してフル規格で整備を進めたいと、これは歴代の知事が熱い思いを持って懸命の努力を重ねてこられたわけです。その中で、佐賀県としても、どうしてもそれを受け入れられない、負担ができないと。さまざまな課題が顕在化する中で、最後は新幹線を整備するためにはこういう方法しかないということで、スーパー特急方式で合意がなされ、そして今、それがフリーゲージトレインに変わってきているわけであります。
 もちろん、そのフリーゲージトレインそのものが、現状において実現できないということであれば、そういう判断をすべきだろうと思います。しかしながら、国は、今、具体的な開発に向けて、再度検討委員会の審査等を経て取り組んでいくとされているわけでありますので、私どもの認可・着工の前提もそうだったわけであります。長崎だけがおりるわけにはいかないと思っているのであります。当面は、したがってフリーゲージトレインの今後の道行き、国から示されておりますのは、今年の秋ぐらいまでにはその走り込みに着手できるかどうかと、その前には恐らく技術評価委員会が開催されるものと考えておりますけれども、そうした動きをしっかりと見極めて対応していく必要があるものと考えているところであります。

 いや、過去の経緯にとどまる限りは何も変わらないんです。そういったものを踏襲して、そういったことで取り組んできて、そして期待をし、待ってきて、その結果として、こういうつまずきになってしまっている。だから、それを逆にばねとして、今後、本当に信頼性の高い、あるいは本当に県民が期待をするものをより実現していくためにどうするのか。そのためには、ハードルは非常に高いけれども、本来あるべき、知事がそもそもおっしゃった、もともと本県はフル規格を望んできたと、そこのところを再度議論の俎上に上げて訴えていく努力をする必要があるのではないかと私は申し上げているんです。
 そうしたら、今後のフリーゲージトレインについての開発プログラムというか、いろんな課題がたくさんありますよ。それが全て順調にいけば、それは知事がおっしゃるような話に、おのずから全体の世論はそうならざるを得ないかもしれない。しかし、どこかでそこの計画が一定ずれ込むとすれば、一定いろんな課題がさらに生じてきて、いろんな問題が、具体的なことが、技術的にも検証しなければいかんことがさらに出てきたとすれば、それでも知事は、国がフリーゲージトレインを開発しようということ、そこに委ねるという考えですか。

知事答弁

 現在、国から示されております概略行程、これはさまざまな技術課題が必要最小限の期間で解決されたという前提での行程は示されているわけでありまして、したがいまして、それはまだまだ予断を許さない状況にあると考えているわけであります。
 しかしながら、今後の道行きはまだわからないわけでありますので、それがはるかに多くの課題が顕在化し、なかなか難しいということになれば、それはその都度具体的な説明を求めていきたいと思っておりますので、そうした時点でしっかり判断をしていかなければならない課題ではなかろうかと考えております。

 先ほど申し上げましたように、仮にフリーゲージトレインでやろうとしても、新大阪までの乗り入れが本当に可能かどうか、そういったことについて、ここも併せて現時点から詰めていかないと、これを先送りにしたまま、技術開発のことだけを議論されても困るんですよ。これは利用者のことを考え、そして建設費のことを考えれば、併せて、もう現時点からそのことも確約を取るような、そういう取組をしないと、いつまでもこの議論は再燃をすると思います。
 私は、そういうことが整理をできなければフル規格を訴えていくべきだと思っているのです。今直ちに、これまでのことを、経緯を捨象して、全部フル規格に変えるんだというようなことで全面的に主張するのは難しいかもしれない。しかし、そのことは腹にしっかり据えて、知事がおっしゃるように、一定開発動向を見極めつつも、必要な時にはそのことを勇断を持って、先ほど言った計画の俎上に上げてもらう取組を、まずは本県から訴えていくということが必要だと思います。いかがですか。

知事答弁

 先ほどから申し上げておりますように、国はフリーゲージトレインを開発すると言っているんです。もちろん、そこに期間の問題等、一定危険性は残っているものと認識をいたしております。
 山陽新幹線への乗り入れにつきましても、もともとこの整備新幹線の費用対効果、当然ながら乗り入れることを前提に効果測定がなされておりますし、また、これからのさまざまなシステム開発、改修、そのこともスケジュールの中には盛り込んであるわけでありますので、当然ながら我々は、山陽新幹線に直接乗り入れる前提でシステム自体も組み上げられてくるものと理解をいたしているところであります。
 しかしながら、議員がおっしゃるように、まだまだ現時点で本当にフリーゲージトレインが可能であるのかどうか、予断を許さない状況にあるわけでありますので、それは今後の動向をしっかり見極めながら、適時適切な対応をしていかなければならないと考えております。

 少し溝が埋まったような気もするんですが、私は本県の県民の代表としての知事、そして、この問題については本当に一番リーダーシップを発揮し、腹をくくって取り組まなきゃいかん。そういう立場にある知事ということからは、国が言っていると、あるいは、佐賀県の実情がこうだといったことに配慮をするということも必要ではあるけれども、どのことをどうすることが本県として一番望ましいのか。そこに軸足を置いて、いろんな問題に対して常に注視をしつつ、一定の時期においては積極果敢に、次の本来的な意義が発揮できるような取組を本県としてしっかり訴えていく、その腹づもりだけはぜひお願いをしたいと思います。
 ちょっと視点を変えますけれども、この武雄温泉と肥前山口間の14キロ。これは新幹線整備スキームの中で、在来線を複線化するということが位置づけられておりましょう。  しかし、沿線自治体の中のある自治体は、在来線の複線化には強く反対をしている。そうであれば、果たして用地買収ができ、竣工できるかどうか、これもまた非常に不透明であるというのが現実なんですよ。
 しかし、その自治体も、高架で走るということについては了解をしているそうであります。そうであれば、そもそも整備スキームの中に入っている武雄温泉〜肥前山口間も、新幹線規格の高架を建設して長崎までつなげる、これができないと武雄温泉〜肥前山口間は、単線のままに終わってしまう。まさに時間調整もしなければならないような、こんな新幹線なんてあるんですか、ということになってしまうわけであります。このことについてはどうお考えですか。

知事答弁

 当然ながら、今の整備構想は、肥前山口〜武雄温泉間は複線化するという前提で計画が進められているわけであります。しかも、高架化するという事業費を恐らく見込まれてないものと理解をいたしております。

 どうも礼譲期待というか、国の方で示した枠組みというものはこうだからという答弁で、いつも知事の答弁が終わってしまっているような気がしてならんのですよ。
 今言いましたように、沿線の自治体の中で強く反対をしているところがあるんですよ。これを、国といえども、そこはどうやって説得をするのか。できなかったらどうするのか。単線のままに終わってしまうんです。そしたら、それに代わる最良の手段として善後策を考えるというか、よりそのことを踏み台として建設費が出るような、そういう取組を本県としては訴えていくというのが、私は、いろんな事業を促進していくという意味において、知事の立場においては必要ではないかと思います。どうも知事の礼譲期待をするような姿勢が、私は合点がいきません。
 しかしながら、このことに時間をかけてもほかの質疑ができませんから、今日はこの程度にとどめますが、冒頭言いましたように、専門家はフリーゲージトレインについては、トライボロジーはもう成り立たんというようなそういう主張をされる方も多いんですよ。
 そして、60万キロの走行試験をしなきゃいかんということは課題として明確にありながらも、わずか2年前からしか着手せずに、果たして3万キロの時点でこういう大きな事故といいますか、欠陥が露呈したと。これをこれからのいろんな開発をしていく中で、全てのプログラムを順調にこなして、多くの人員を大量に乗せて安全に走る交通機関としてフリーゲージが本当に大丈夫なのか。このことは、まだ誰も言えないんですよ。
 そうであるなら、これからの開発プログラムをしっかり注視しつつ、先ほども申し上げましたけれども、時宜に応じて、方針を新たな角度から新たに策定する、その時には財源の捻出問題についてもどうするのか、スキームをどうするのかといったことも含めて、再度見直しをするといったことを訴えていく必要があると私は思います。答弁がありますか。

知事答弁

 先ほどから申し上げておりますように、全線フル規格を求めるにしても、長崎の思いとして、そういう思いでこれまで一貫して取り組んできたというのは十分理解しているわけでありますけれども、こと問題の本質は佐賀県の問題なんです。
 今おっしゃったように、肥前山口〜武雄温泉間の複線化の問題も、長崎県がどうするのかと、こう言われますけれども、佐賀県がどうされるのか、負担の問題も併せて検討していただかなければ結論に至らない課題なのであります。
 例えば、フル規格の整備新幹線の地元負担を全て長崎県が肩代わりするということにでもなれば、佐賀県は了解されるかもしれません。しかしながら、それが現実的にできない以上、佐賀県に負担をしていただく決断を得ないといけないわけであります。その点を十分頭に入れて対応をしていかなければいけない課題であると考えているところであります。

 それはおっしゃるとおりです。ですから、佐賀県の理解を得るような努力を、本県としてどういうふうな理屈を組み立てつつ、あるいは、一定負担も必要でしょう。国会議員のどなたかがおっしゃっていました。走行距離に応じたところでの負担だけではなくて、一定の受益に応じたところでの負担の割合というものを、そこの財源の負担の中に組み込んで考えるべきだというような話もありました。
 あるいは、ことここに至った原因というのは、国がこういう原因をつくってしまった。そうだったら、国に対しても責任を一定求めていく。北海道や北陸や、そういったところの財源スキームの問題と同様に扱われるのではなくて、こういう状況になって本県はダブルパンチになってしまっているというそこの責任の端緒は、国の開発の取組のこの問題が一番の大きな原因になっているわけです。そういったことも訴えていく。こういったことを合わせて知恵を出しながら、総力を挙げて取り組んでいくべきだと私は申し上げさせていただいているんです。
 知事も、そのことは一定の理解をしていると思います。これ以上話をすると堂々めぐりになりますからやめますが、どうか私の意のあるところについては、ぜひご理解をいただきたい。そして、本県としては、フル規格でしっかり主張すべきだという世論がもっと大きな広がりになるように、私としても努力をさせていただきます。

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3.海洋再生可能エネルギーの開発について

 海洋再生可能エネルギーの開発については、本県は国から実証海域として選定をされ、既に洋上風力発電の実験が開始されるとともに、潮流発電に関するデータも集積されつつあります。
 また、ご案内のように、民間の自主的取組として、「長崎海洋産業クラスター形成推進協議会」が結成され、今般、フランスのオープンハイドロ社から、大規模な潮流発電の実証設備の建設が打診をされております。
 自然の特性を活かし、地域で蓄積してきた技術力を発揮できるという点で、本県にとって潮流発電は非常に有望な分野ということができますし、将来的には、長崎に潮流発電関連の産業や研究機関が集積して、アジア地域に技術や製品を発信していくような産業拠点を目指すことも期待できないわけではないと思います。
 オープンハイドロ社からの打診については、協議会の会員企業や県が製造を受託できる企業の選定や見積もりをするための詳細な情報の提供を受けながら、実証実験の受け皿となる組織の設立や、陸上施設などのインフラ整備を急ぐと報じられておりますが、長崎でヨーロッパ企業の実証装置の製造を受託して実験を受けられるとすれば、日本版のEMEC(European Marine Energy Centre:ヨーロッパ海洋エネルギーセンター)の実現に大きく近づくことにもなるわけであります。
 しかしながら、海洋再生可能エネルギー分野の産業を長崎に集積し、発展させていくためには幾つかの課題があります。その代表的なものは人材の確保・育成、第2にインフラの整備、第3に海洋利用の新たなルールづくりの3点であると思います。
 海洋再生可能エネルギーの分野では、海洋の調査から発電機の設計・製作、ケーブルの敷設、発電機の設置作業、作業船の設計・製造、電力系統への接続、保守・運用など、非常に幅広い分野の人材が多く必要となるわけです。
 このためには、企業同士が互いに切磋琢磨しながら、新しい産業分野への進出を本気で進めていくという気概を持って、自ら技術者のエキスパートをそろえていくという取組が重要であります。その一方で、関係する大学や研究所等の知恵を結集させ、県も中に入って、地域全体の知識の底上げと専門性の高度化を図っていく必要があると考えます。
 これは海洋再生可能エネルギーの分野だけに限らず、海洋産業、プラント、環境産業、海洋・宇宙探査産業など、今あるものを手がかりにしても幅広い展開を進めようとすれば、非現実的なものではないわけであります。しかしながら、そのためには、大学や研究所、地域のベンチャーが活発に活動し、成果を出し得るようなコミュニティーが必要で、そのような仕掛け人、技術参謀の居場所をつくる。すなわち、指令塔になり、目ききや知恵袋になる技術系のシンクタンクをつくる必要があります。
 幸いなことに、総科大学の木下学長のように、海洋産業の全国区のエキスパートもおられるわけです。この関連する分野ごとに、本当に技術がわかるエキスパートをそろえ、研究開発と産業と人を育成するプラットホームをつくる。そのために県としても必要な予算措置や人材の確保・育成に取り組んでいくということが、長崎から我が国の海洋再生可能エネルギー開発の新たな海洋産業モデルをつくることを目指す上で重要だと考えますが、これについて副知事のご回答をいただきたい。

副知事答弁

 海洋再生可能エネルギー関係につきましてご質問いただきました。
 海洋再生可能エネルギーを中心とする関連産業を育成するために、これまでも、全国レベルの有識者、あるいは大手企業を含めたいろいろな技術者の方にご意見をいただきながら構想もつくりました。現在も引き続き意見を伺って、拠点形成に向けた施策を展開しているところではございます。
 そのような中、議員ご指摘のように、人材育成は大変重要でございます。地元の方では、議員がお触れになりましたように、海洋産業クラスター形成推進協議会が立ち上がっておりまして、セミナーや先進地視察等を通じて、徐々にではございますけれども、人材の育成が進んできております。
 さらに、研究とか、技術開発の面、まだまだ未開拓の分野ではございますけれども、ご指摘にありましたような総科大学、長崎大学を中心としまして、それ以外の大学、あるいは国の研究機関との連携も含めまして、実証フィールドを活用した技術開発、そういうプロジェクトづくりの検討を進めているところでございます。指令塔というお言葉もありましたけれども、そういうものを県がしっかり束ねて、有識者のアドバイスをいただきながらやっていくということになろうかと思っております。
 それから、3つ重要という中での2つ目、インフラの整備ということでございます。いろいろな発電のための装置をつくろうと思いますと、港湾の活用が重要だということだと思いますけれども、そういうものは既存の港湾、長崎にはいろいろ港湾がございます。そういう活用を前提としまして、利用者のニーズ、頻度、それから岸壁等の強度、こういうものについて調査をしていきまして、行政としてどのようなサポートが必要となるのか検討していきたいと考えているところでございます。
 それから、3つ目に言われました漁業者、あるいは海域利用のルールの点でございます。現在は、長崎県では海域の管理条例というものの許可手続というものしかございませんけれども、漁業関係者との円滑な合意形成、あるいは海洋エネルギーとの協調の仕組み、いろいろ検討すべき点があると思っております。
 県では、実証フィールドに関係する2市1町で実証フィールドの整備・運営検討会議を設けておりますので、そのような会議の場において運用ルールの明確化等の議論を重ねまして、国の方との相談を行いながら、海洋関連産業の集積・発展に向けた基本的なルール、あるいはインフラというものを整備していきたいと考えているところでございます。

 マンパワーの確保については、これはこれまでにないような大胆な、本当に本腰を入れた取組をぜひお願いをしたいと思います。
 そして、インフラの整備もそうですけれども、やはり一番大事なのは、海域利用に当たって、副知事が言われたように、漁業者と事業者の間でわかりやすい明確なルールをしっかりつくっていくと。そして、その適正な運用を図っていくというそのことがとりわけ重要でありますので、関係者を含めたところで調整についての加速的な取組をぜひお願いをしたいということを申し述べておきます。

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4.基幹企業である三菱の活用について

 今の海洋関連産業とも少し合わせ技になります。まず1点目は、三菱そのものは製品化、事業化はしなかったものの、三菱研究所で開発された技術や素材、製品で、長崎の地場企業で事業化できる可能性のあるものが多々あると言われております。
 三菱にこれらの成果物を開放してもらい、地場企業が新たに事業展開をすることに資する取組が行えないのか。過去うまくいかなかったという実例もありますが、取組方いかんだと思います。
 これは、三菱に限らず、大企業の開放特許を地場の中小企業の新事業展開にどう役立たせるかという視点も含め、この点についても里見副知事に答弁をお願いします。

副知事答弁

 三菱重工の特許の件でお尋ねがございました。
 議員ご指摘のように、県内の製造業が特許をはじめとする知的財産を効果的に活用するということは、新たな事業を創出するイノベーション、あるいは地域経済の発展に結びつくということは私どもも認識しております。
 また、大企業が保有する特許のうちで、自ら活用しないものの中には、中小企業に開放されることによって新たな製品開発につながる可能性を持ったものがあるというのも事実だと思います。
 他方、議員もご指摘になりましたように、大企業の開放特許というのは、過去も利用の機運はございましたけれども、利用範囲が限定されていたり、製品市場がニッチであったりという理由がいろいろございまして、なかなか活用できてないという経緯もございます。多くの特許の中から県内企業のニーズに合うものだけを目利きし、マッチングしなければならないという難しい面もございます。
 そうはいっても、今後のことということでございますが、県におきましては、一般社団法人長崎県発明協会に特許の専門家であります知的財産活用推進員というのを配置し、これまでも知的財産を活用した事業化支援を行ってまいりましたけれども、来年度からは新たに、県内企業の新製品の開発、あるいは事業化をさらに進めるために、大企業の開放特許のビジネスマッチング会を開催することとしているところでございます。三菱重工さんの特許についても、利用可能なものを積極的にマッチングを図っていきたいと考えているところでございます。

 先ほど質問いたしました海洋再生可能エネルギー産業との関係ですが、その中核企業として、やはり三菱にその立場に立っていただけるよう、ぜひ促進をしてもらいたいと思います。海洋産業クラスターの中核企業として関連企業等を牽引できるのは、三菱をおいてほかにはないのではないでしょうか。
 潮流発電技術や商品化で先行するイギリスのアトランティス社とか、フランスの先ほど言いましたオープンハイドロ社、これらに追いつけ、追い越せと、そういった可能性を持った取組ができるのは、三菱を置いてほかはないと思います。
 三菱の経営戦略も当然あると思いますが、この分野への一層の進出を促すための県としてのインセンティブづくりと、一層の働きかけが必要かと思います。この点について、副知事いかがでしょうか。

副知事答弁

 議員ご指摘のとおり、海洋産業関係、三菱重工さん、組織としては、今やや様子を見ているという部分はあるかと思いますけれども、ご指摘のように、造船を中心とする非常に幅広い技術を持っておられますので、そういうものを活用していきたいと思っております。組織として難しい部分もあるのであれば、人材、技術者、有識者としていろいろ参加するような形で、先ほど申し上げました大学との連携の中で活用するということも考えていきたいと考えております。

 ほかに、稼働資産でありますけれども、世界遺産を体験観光、あるいは教育観光の側面から活用して、一定の観光収入を上げることについて、三菱の協力を得ながら具体的な方策を講じられないかといったこともあります。
 また、世界遺産に類するすぐれた近代化資産や業績を、例えば体験観光、教育観光の素材として活用することについて、三菱の協力、参画を得るように促進できないか。これについて答弁をお願いしたい。

観光国際部長答弁

 近代化遺産を活かしました産業ツーリズムは、世界遺産の産業革命遺産を中心として、軍艦島クルーズ、グラバー園、炭鉱遺跡等を活用した池島炭鉱さるくなど、既に旅行商品化されており、多くの観光客に楽しんでいただいております。
 また、三菱重工が所有する日本の近代化を支えた造船技術、炭鉱技術に関する多くの資産とその歴史的価値については、三菱史料館において、同社が来訪者や施設の安全管理、情報管理に配慮しながら、展示紹介されており、既に多くの方々が訪れております。
 一方、議員ご提案の現在公開されてない非稼働資産の活用につきましては、公開の可能性も含め、三菱重工の意向を十分踏まえていく必要があると考えているところでございます。

 世界遺産だけじゃなくて、三菱がこれまでに培ってきた資産、これをうまく活用すればどうですか。例えば高島は、全島全土ミュージアム構想というのが成り立つぐらいの、これまでの本県の産業の近代化についての歩みというものを知り、学び、そしてまた、そういったことをもとにして今後の産業の振興について考えていくと、そういうふうなフィールドとして十分つくり得る可能性があると思います。そういう意味では、これは広く三菱と協議をしつつ、活用できるものについてはお願いをし、県としても積極的な取組をぜひお願いしたいと思うのです。
 昨日も同僚議員から質問があっていたやに聞いていますが、三菱の幸町工場がほかに移転をすると。そのことで約7ヘクタールの土地の跡地活用をどうするのかと、三菱と県と市の三者協議が持たれるということであります。
 長崎の中心部の一等地であり、長崎の都市計画にも大きく影響するのはもとよりです。
 そこで、提案ですけれど、土地の一部を三菱に提供してもらう、あるいは建物を含めて提供してもらい、そこに近代化遺産がなぜ世界的に評価されたのかを知り、併せて今後の産業の振興について考えさせ得るような産業技術記念館的なもの、そして、そこでは実際の技術開発の研究や実証試験などもやっていく、そういったものが設置できないだろうか。これは、コンベンション都市長崎を標榜する上で重要だと思うので、ぜひ検討してほしいところであります。
 あるいは、そうではなくて、やはり企業の立地の受け皿として考えるなら、長崎の産業、経済のことを真剣に考え、事業展開をする、本当に長崎のために役立つ企業だけを入れていくというように、県、市で一定の財政負担を含め、この地の利活用にかかわっていくという枠組みをつくるべきだと思います。里見副知事、いかがですか。

副知事答弁

 三菱重工が設置されました幸町工場の跡地の活用検討会がスタートしております。これにつきましては、将来のまちづくりにも貢献する有効な活用策をさまざまな観点から検討し、本年末までには一定の方向性を示す予定となってございます。
 議員、1つ目にご提案にございました新たな産業御殿ということでございますが、検討会におきましては、当面、活用の方向性に向けての基礎的な検討を行うということで、具体的な活用策につきましては、こうした検討が進んでからの議論になると考えております。
 ただ、もう一つご提案がございました長崎の経済に寄与する産業、あるいは企業の受け皿ということにつきましては、県といたしましても同様な認識を持っておりますので、そうした考え方を踏まえ、この検討会の場においてアドバイス、あるいは意見交換を行っていきたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、この跡地の活用策が周辺地域のまちづくりに貢献する土地利用となるよう、助言、意見交換を行ってまいりたいと考えております。

 県として、待ちの姿勢ではなくて、土地の利活用について能動的な取組をぜひ進めていっていただきたい。そのことを強くお願いをして、次の質問に移ります。

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5.大雪、低温による露地びわ被害対策について

 さきの1月23日から25日にかけての大雪、低温により、本県の主要作目である露地びわの本年の生産は壊滅的な状況になっております。
 県全体の被害総額は8億3,686万円ですが、被害の大きい長崎市においては、被害総額7億7,851万円、被害率は平年の94.2%、被害減収量は1,253トンという、まさに目を覆いたくなるような甚大な自然災害に襲われたわけであります。
 このままでは、びわ農家は瀕死の状態に追い込まれてしまう。農家を救済し、本県の特産品であるびわの生産を守るため、県として、この際、特別な支援や対策が必要と思います。
 そこで、具体的な提案でありますが、1点目は、被害農家は、災害による救済資金としてセーフティーネット資金等を新たに借り入れることを余儀なくされると思いますが、過去借り入れた分の償還と合わせての負担となれば、これは家計に相当響くということになります。
 そこで、償還期限が迫る、去る平成18年の台風災害資金について償還猶予措置をとり、償還期限を延長していただきたい。これについては、長崎市は利子補給を行っておりますので、長崎市に措置してもらうことでも構わないと思います。いずれにせよ、対策を講じてもらいたい。併せて、今回セーフティーネット資金の需要が多い場合は、利子補給を行い、無利子の措置を講じていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、本年の生産資材の共同購入経費の農協の引き落としについて、農家負担の軽減を図っていただきたい。
 3点目は、今回、実がやられてしまったわけでありますが、樹体としては生きているわけでありますから、樹体の育成についての技術指導、普及を十分に行っていただきたい。
 4点目は、簡易ハウスの普及対策のための補助制度の活用を積極的に推進していただきたい。
 以上、4点について提言をし、ぜひ積極的な対応をお願いする次第であります。
 自然災害に強いびわ産地づくりについて、いろいろご答弁があっていますが、そのことはそのこととして、今回の被害対策として、直接的な支援策として、以上4点を求めたいと思います。答弁をお願いします。

農林部長答弁

 議員ご提案の1点目の平成18年台風災害資金の償還延長の件でございますが、同資金は、長崎市が融資機関である長崎西彼農協との協調のもと、利子補給制度を設けて農家の経営再建に取り組んでいるものであります。
 市は、農家の強い要望を踏まえ、融資機関と協議した上で、今市議会に2年間の償還期限の延長に必要な利子補給金の予算計上を提案されていると伺っているところでございます。
 また、日本政策金融公庫資金の農林漁業セーフティーネット資金への利子補給による無利子化につきましては、資金需要を調査した上で必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
 2点目の生産資材費に関する農協口座からの代金引き落とし時期の延長につきましては、2月8日に開催されました生産者団体、地元農協、県、市が参加いたします長崎びわ産地活性化推進協議会、長崎びわ部会合同会議におきまして、被害を受けた農家からの要望を踏まえまして協議がはじめられたところでございまして、引き続き協議をしてまいりたいと考えております。
 3点目の樹体の育成に関する技術指導、普及につきましては、農林技術開発センターや専門技術員が対策の技術方針を立て、振興局、地元農協、市町等でびわ寒害対策推進チームを編成し、地区ごとに次年産の生産のための被害果房の切除や防除、枝の整理などの適切な管理を指導してまいります。
 4点目の簡易ハウスの導入につきましては、寒害防止に効果があり、品質・収量の向上につながることから、市町と連携しながら、国の産地パワーアップ事業を活用し、導入を推進してまいります。
 県としましては、生産者が意欲を持って営農を続けられるよう、関係機関一体となり、国の事業も活用しながら、日本一のびわ産地の維持、拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

 一定、積極的な答弁を得ることができたと思います。時を置かずに実行していただきたいと思いますし、新たな対策が必要と思料される時には、びわ農家に寄り添った取り組みをぜひお願いしたいと思います。

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6.港湾・漁港区域内の廃船の撤去について

 港湾・漁港区域内の廃船の撤去について、質問をする予定で通告をいたしておりました。港湾、あるいは漁港区域内の廃船、そして不法占有物、この状況は大変目に余るものがあります。これについては、今まで指導とか、お願いとか、そういうことをやってきておりますが、そういうことではこの問題を解決することはできない。管理者として実効ある取組を本当に腹をくくってやってもらいたい。そのことを質問しようと思っていましたが、時間がきましたので、また別の機会に譲って終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

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