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たかひら元の県政リポートをご報告します。

平成26年3月定例月議会一般質問 (平成26年3月掲載)
 中村県政2期目のスタートにあたる平成26年3月定例月議会の本会議一般質問で、改革21・新生ながさき会派の代表質問を行いました。

 原稿と知事他執行部の答弁の概要を記しますので是非ご覧いただきますとともに、ご意見等お寄せいただきますようお願いいたします。



質問事項一覧
  1. 知事の政治姿勢について
      ・ 戦後最低の投票率と膨大な無効投票数について
      ・ 自民党まるがかえ選挙の県政運営への影響
      ・ 公約実現についての説明責任の果たし方

  2. 通年議会の評価について
      ・ 通年議会に係る執行部の加重業務負担の実態と議会の審議・審査の拡充についての評価
      ・ 議会との緊張関係についての認識

  3. 数字に表せる雇用拡大策について
      ・ 県内就職者の数値目標と雇用拡大の基本的な戦略
      ・ 正規社員の採用促進

  4. 長崎駅前交通産業ビルの建て替えについて
        (本文)

  5. 被爆地域拡大のための主体的な取り組みについて
        (本文)



戦後最低の投票率と膨大な無効投票数について

 改革21・新生ながさきの比良元です。我が会派のトップバッターとして、知事の政治姿勢をお伺いしますが、先ずは選挙結果についてであります。

 先の県知事選挙において中村知事は共産党の候補に大勝し、投票数の相対において圧倒的多数を占め、ゆるぎない支持を集めておられます。しかし、その一方で本県の知事選としては、平均40.72%という戦後最低の投票率、県都長崎市では33.74%の投票率、加えて10,000票を超える無効票が投じられております。こうした選挙結果をどう受け止めているか、率直な所感をお尋ねします。

知事答弁
 さまざまな要因があると思う。
 有権者にとって選択の幅や際立った争点が少なかったことも手伝ったのではないか。

 しかし、それだけかというと、投票率の低さと無効票の多さの原因は他にもあると思います。
 例えば、知事は県内どこに行っても住民に同じ話ばかりしていると聞いています。
 その地区の住民は、自分たちの地区をどう良くするのかという話を期待しているのに、一般的な話に殆どがさかれているというのでは必然的に関心が薄れてしまいます。
 それは、知事が各地の現場に足を運ぶ機会が少ない、住民と意見交換をする機会が少ない、ということの表れではないでしょうか。
 また、そもそも県政がよく分からない、何をやっているのか分からない、伝わってこない、ということで県政への関心が薄い、即ち県政が県民に身近なものとなっていないのだと思います。県民の県政への参画機会が不足しているということの表れではないでしょうか。
 こういった中村県政1期目の取り組みの結果が、戦後最低の投票率という結果に影響しているのではないかと思います。
 2期目は、是非、県政が県民により身近なものとなるよう、知事には腐心してもらいたいと思うところです。

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自民党まるがかえ選挙の県政運営への影響

 次に今回の知事選は、自民党丸がかえの選挙といっても過言ではないと思います。とは言え、選挙は選挙であります。そのことが、不偏不党、中立公正を旨とする中村知事の県政運営の足かせになってはならないでしょう。
 換言すれば、知事は地方自治体の首長として、いかなる時も一党一派の政治圧力におもねることなく、自らの責任と権限において、かつ確固なる信念のもとに、いわば県民党の立場において、公平公正な県政運営を行わなければならないことは言を待ちません。この私の基本的な認識のもとに、確認を含め2〜3お尋ねをしたいと思います。

 先ず、知事選挙に際し、中村候補を自民党が推せんするのにあたり、自民党長崎県連の会長である谷川弥一衆議院議員は、「他の政党や会派から推せんを受けるなら向こうと組め、自民党県連は一切応援しない。今後国への陳情は受け付けない」と知事を恫喝しています。加えて「同じ推せんなら力が入らんからさ。他の政党や会派からの推せんはダメだ。通ったあと、皆でお手てつないでじゃ、政治はできない。それぞれの党と議員はつながっているんだから。反対するのが野党の仕事。一緒に自民党県連のところに陳情にきて意味があるか。党利党略に見えるかもしれないがそれが筋」また「会派が無条件に出て下さいというのは見たことがない。おかしなことさせちゃならんよ、ということも確認した」と発言しています。
 まさに自らの党利党略のために知事を傀儡せんとするような言動を平然と吐いているのであります。
「今後、国への陳情は受け付けない」というような発言は本県選出の国会議員として聞き捨てならない本末転倒の暴言ではないですか。

 県民党を自認する中村候補であれば本来、これをはねのけて自らの自負をもって選挙戦に臨んで欲しかったわけでありますが、結果として中村候補・知事は自民党のいわば丸がかえのような選挙で勝利をおさめたわけであります。したがって、選挙戦での経緯、実態からして、今後の県政運営において不偏不党というのは表向きで、実際は自民党議員、特に自民党の国会議員におもねるとまでは言いませんが、県政への不当な介入を許してしまう、あるいは少なくとも自民党議員団の考え方、発言ありきの県政運営に把われてしまうのではないかと危惧するわけでありますが、明確にお答えいただきたい。

知事答弁
 県政の推進のためには一人でも多くの県民が力を合わせて取り組んでいかなければならない。
 そのためには県民本位の公平公正な県政の実現を目指すことは基本。

 知事選を前にした昨年12月20日に、我々当時の連立会派は所属議員一同で知事に申入書を手交しました。
  「今後とも一党一派に組みせず、県民主役の中立・公正な県政運営を行うこと」
  「次期県議会議員選挙においては、事前の活動も含めて何ら関与しないこと」
  「県政の推進にあたっては、連立会派議員の意見・提案についても十分斟酌すること」
  「国への陳情等に際しては、事前に議長と可能な限り調整を図ること」
 以上の申入れ内容でありますが、知事はこの申入書を受け取られました。
 そこで確認も含めて再度質問しますが、この申入れ内容については間違いなく遵守すると理解してよろしいですか。
 最近はこの県議会の中で、会派間でお互いに約束し署名・押印までして書面を交わしたにも関わらず、平然とこれを反故にする、信義にもとるような、県民が見ればあきれて物が言えないことが行われているのですが、知事は決してそういうことはしないと断言できるかお尋ねします。

知事答弁
 県政運営にあたっての基本的な姿勢は先程申し上げたとおりである。

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公約実現についての説明責任の果たし方

 次に選挙戦を通じて知事が掲げた公約実現についての、具体的な説明責任の果たし方についてお尋ねします。

 中村知事は選挙公報に掲げた公約に、「所得アップを実現するたくましい産業づくり」として、活力ある製造業の振興や、地域資源を活かした観光・サービス業の展開を主要施策としてあげています。
 また、「世界に通用する新たな長崎県づくり」として、国際市場でのビジネス展開の支援、アジアを中心とした観光客の誘致、国際交流に貢献する人づくり・拠点づくりを同じく主要施策としてあげています。この他、「支えあう心を育む社会づくり」という政策をあげています。

 そして、例えば、
  •  活力ある製造業の振興という施策の柱のひとつとして、基幹製造業の振興と地場中小企業への受注量拡大
  •  地域資源を活かした観光サービス業の展開という施策の柱のひとつとして、サービス業などの第3次産業の振興
  •  国際市場でのビジネス展開の支援という施策の柱のひとつとして、航路・航空路の物流体制の強化
  •  アジアを中心とした観光客の誘致という施策の柱のひとつとして、日中韓トライアングル交流の構築
  •  国際交流に貢献する人づくり・拠点づくりという施策の柱のひとつとして、地域ごとの特色を活かした国際交流拠点の形成
ということをあげているわけです。

 この他にもいろいろあげているわけですが、今、私がここに例としてあげた「受注量の拡大」、「第3次産業の振興」、「物流体制の強化」、「トライアングル交流の構築」、「国際交流拠点の形成」など、こういったことを具体的にどこまで実現し、何がどう変わったのか、良くなったのか、等々、公約である以上、県民に対して説明責任を果たす必要があると思うところです。

 これについていつどのような形でどう表すのか、ここは県民として重大な関心を持って注視する所だと思うので明確な答弁を求めます。

知事答弁
 総合評価や事務事業評価において数値目標を設定して実現を目指していきたい。

 公約が単に項目だけで、具体的にどう取り組むのか、ということが何ら示されていないので言い放しで終わるのではないかという不安があります。
 「拡大する」とか、「構築する」とか、「形成する」とか言っても、何をどれだけ拡大するのか、どういった構築なのか、あるいは、どういう意味合いを持つ形成なのか、何も示されていないわけで、そこを明らかにするためには、やはり具体的なアウトカム(成果)の数値目標を掲げる必要があります。
 そのうえで、事業化の後に、達成度について定量的な評価結果を出す、併せて県民意識調査による満足度等の結果を出す、ということが、果たすべき説明責任だと思うのです。
 公約を出した以上、当然の責務ではないでしょうか。
 これらのことを踏まえて、県民目線での取り組みをよろしくお願いするものです。

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通年議会に係る執行部の加重業務負担の実態と議会の審議・審査の拡充についての評価

 次の質問に移ります。通年議会を廃止するにあたって、さももっともらしく述べられたことについてであります。

 通年議会の導入にあたっては、私が委員長を努める県議会・県政改革特別委員会で、時間をかけ相当な議論を重ねたうえ、加えて県内3か所で県民との公聴会を開催するなどして相当な手続きを経てやってきたわけであります。それに比べると、一片の条例改正案の発議で実質的な議論を尽くすこともなく、まさに数の力だけの自民会派の横暴で廃止が余儀なくされてしまったのであります。

 新聞各社はこうした状況を、「県民不在だけが残った」、「通年議会総括なき廃止」等の見出しで嘆かわしいとの論評を報じています。私には今回の県議会の動きに落胆したという投書や、議員諸君は不勉強を恥じ入って出直してもらいたい、というメールまで送られてきました。また、ある新聞の取材に対して、自民県連幹部は「連立会派に実績は残させない」と語っている記事も載っております。
 まさに廃止の提案は反対のための反対でしかなかったわけであり、県民の負託を受けてこの県議会に身を置く者として誠に慙愧に耐えないところです。

 そこで廃止の理由として、「“議員・職員の拘束時間が余りにも長すぎる”、“職員からは現地に足を運ぶ機会が少なくなった”、“国への要望や情報収集の研修会に参加できない”という声を聞いている」と述べられていますし、「議院運営の場でも311日間の会議に拘束される」と、さももっともらしく主張しているわけですが、それは実態としてそのとおりなのか、明らかにしなければならないわけであります。

 知事や各部局長は通年議会の311日間の会期中、果たして議会のために311日間拘束されたのか、そのため通常業務の執行が阻害されたのか、率直なところをお尋ねします。

 また、通年議会を導入したことに伴って、議会の政策形成機能や監視・提言といった本来の役割を高めることができたと思っています。

 具体的には、執行部の政策形成過程で積極的に論議することで、
  •  県民のためにより成果の上がる施策や事業の組み立てに寄与することができた
  •  予算や事業の審査で県民や関係者を参考人として招致し、議会への県民の参画機会を設けることができるようになった
  •  課題に応じて現場で委員会を開催できるようになった
  •  議会として主体的に本格的な条例を制定することができるようになったし、実践した
  •  議会の広聴広報機能が拡充した
  •  応招旅費等を自ら削減して県民の税金を軽減した、等々
があるわけですが、こういった成果について執行部においてはどのように受けとめているのか、拘束の実態と併せて率直に聞かせてください。
 知事から各部局長全員に順番にそれぞれごく簡潔に一言ずつ答えてください。

知事答弁
 私自身においては一般質問の質問者が増えたが、さほど大きな変化はあっていない。一定の成果については承知している。

各部長及び教育長
 委員会の日数が一定増えたことで「議会への対応が相対的に増えたが実際に増加した日数は年間で16日間、11日間、6日間等である。

 いま、いろいろ答弁がありましたが、311日間も議会に拘束されるという主張がいかにデタラメかが明らかになりました。ここに会議日程の確かな調査表があります。

 本会議と4つの常任委員会並びに予算決算委員会等、全議員が出席しなければならない日数、即ち議会の拘束日数は、通年議会導入前の23年度で52日間。これに対し導入後の今年度は62日間で、実質10日間のプラスでしかありません。これに委員会の現地調査や集中審査の日数が加わっても、最も日数が増えた委員会で年間で20日間の増でしかないのです。
 特別委員会はというと、23年度で計68日間あったのが、今年度は21日間に逆に大幅に減少しています。この中で最も多いのは、私の県議会・県政改革特別委員会で、後は5回とか2回とか1回しかありません。
 審査日数、即ち、議員や職員が議会活動として拘束される日数はこれが実態なんです。

 ちなみに登庁日数が最も多いのは私ですが、議員の努めとして当たり前だと思っています。
 県民の皆さんには是非こうした正しい情報をご認識いただきたいと思います。
 廃止の主張の中に、離島議員は年間200日間も拘束されるという話も出されました。しかも、離島議員といわず議員全員がそうであるかのような歪曲したような言い方まで平気でなされています。それはともかく、今年度の定例月議会における年間の宿泊承認日数は、議会事務局の統計で130日間。この中には土日祝日も含まれているので、これを差し引くと90日間。私の登庁日数よりうんと少ないのです。

 特別委員会もあるので人によってはこれに多少上乗せされることがあると思いますが、県民の皆さんにはこうした実態であることを併せて是非ご認識いただきたいと思います。

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議会との緊張関係についての認識

 そこで知事、この通年議会はまさに自治体の二元代表制の意義を追求するために取り組んできたわけであって、議会と執行部の緊張関係をつくることによって互いに切磋琢磨し、そのエネルギーを県民に還元するということに本来の意味があるわけです。
 通年議会は残念ながら廃止になり、従来の議会運営の形式に戻ってしまったわけですが、しかし、この両者の緊張関係はいつも保たれておかなければなりません。

 しかし、従来の議会運営の中では両者の緊張関係どころか、馴れ合い、でき合いのようなことが行われています。例えば、他会派においては、本会議の一般質問の原稿を自分で作らず、書かず、答弁する側の執行部に作らせ、書かせる一部議員がいるという実態がまさにそれなのです。参考として原稿をもらったり、修正をしてもらったりもする、こうしたとんでもない実態が一部にあります。
 かく言う私も、職員のときに議会に関わるようになってからは、どうしてもということで誰とは言いませんが、他会派の議員に頼まれて議員の質問原稿と知事の答弁原稿の両者を書いたという恥ずべき経験があります。知事も経験からして分かっているはずです。
 もうこういうことは一切やめなければなりません。頼む方は論外ですが、頼まれて書く方も襟を正さなければなりません。

 知事、ご所見を聞かせていただきたい。

知事答弁
 理事者と議会は二元代表制のそれぞれの当事者として、緊張関係の中で適正な関係のもと業務を推進していく必要があると考えている。

 以下の長崎新聞の記事(3月11日)もご覧ください。

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県内就職者の数値目標と雇用拡大の基本的な戦略

 それでは本県の振興のために最も大きなテーマに関する知事の基本的な取り組み方についてお尋ねします。
 先ず1点目は数字に表せる雇用の拡大であります。

 本県において雇用の拡大が図れなければ、知事も我々も行政も最早存在意義が無いというぐらいの覚悟をもって取り組まなければならないと思います。そのためには、目指すべき目標を定量的に示して、そのために有効な戦略、重層的なプロジェクトを果敢に実施していく必要があります。

 ところが、数値目標については、企業誘致によって何人の雇用増を図るということ、 その他個々にいくつかはありますが、県民所得のように全体としていつまでにこうするという目標は掲げられていません。
 ここは知事の職責としてきちんと数値目標を掲げ、そのために奉仕する戦略プロジェクトを配置して年次別の取り組み方針を明確にする、併せて進捗状況を確認しながら目標年次において検証し、成果として表すという、仕事を進めていく上での枠組みを先ずは明確にすべきだと思いますがどうでしょうか。

知事答弁
 全般にわたる目標数値はいまだ設定できていない。
 関係者と意見交換し、実施可能な検証可能な目標の設定や、実効性ある施策の組み立てができるのか、協議を重ねてまいりたい。

 現在の本県の雇用情勢に関する数値として、先ず、有効求人倍率が直近の値で全国平均は1倍を超えているのに本県は0.77倍です。
 一方、高校・大学の今春卒業予定者の1月末の就職内定状況は、県内への就職希望者3731人中、内定者は2981人で内定率79.9%、県外への就職希望者3442人中、内定者は3054人で内定率は88.7%、内定者のうち県内・県外の比率は県内が49%、県外が51%、特に工業高校の卒業生は県内が33%、県外が67%と、折角県内で人材育成しながら全体の2/3が県外へ流出してしまうという状況にあります。
 また、県内への求人数を産業別にみると、常に全体の1/4強が医療・福祉系で、これにサービス業、卸売・小売業が続くという状況にあります。

 こうした状況から脱却するためには、産業全般の底上げを図る必要があることはもとよりですが、先ずは求人構造に即して就業しやすい環境を作らなければなりません。このためには以下のような施策がとりわけ必要だと思いますが、どう考えていますか。
  •  医療福祉系の労働環境の改善を図る
  •  企業誘致による平成23年から5年間での雇用促進目標2100人に対する今年度までの実績592人、達成率28%という現状に対するこれまでの取り組み方を抜本的に拡充する
  •  サービス業の振興のために貸金行政だけではなく幅広く総合的に取り組む
  •  一次産業についても、農業法人や従業員雇用型の水産関連企業等の設置、あるいは企業的経営による協業体作りを強力にバックアップする
知事答弁
 県内の雇用状況の中でミスマッチが多数発生している。
 その意味で、雇用環境の改善を進め県内にとどまっていただけるよう努力をしたい。

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正規社員の採用促進

 次に、本県の有効求人倍率は直近で0.77倍と申し上げました。

 本年1月時点での月間有効求人数はトータルで23,061人で、うちフルタイムは14,026人、パートタイムが9,035人となっています。ところが、フルタイムには4ケ月以上の契約社員や派遣社員、臨時職員のフルタイムを含む数字になっているので、正社員として雇用する求人数はこれから更に少なくなります。

 また、就業構造基本調査によると、本県の正規雇用者数は、平成14年が369,000人で雇用者全体の69.1%であったものが、平成24年は341,000人で雇用者全体の64%に落ちています。
 一方、非正規雇用者数は、平成14年が165,000人で、雇用者全体の30.8%であったものが、平成24年は190,000人、雇用者全体の35.8%と増加しています。
 特に非正規雇用者のうち、15歳から24歳までの若年者が42.5%という高い数値になっています。

 まさに職にありつけても、一時的・不安定・低賃金という人たちが就職者全体の1/3強を占めるという、何とも厳しい労働環境になっており、このために全体としての雇用所得も伸びないという現状にあるのです。
 そこで、フルタイムの正規雇用を伸ばすことが、広い意味での地域振興にとって不可欠とも言えるのですが、知事として具体的にどう取り組むのかお尋ねします。

 また、現在国で審議されている労働者派遣法の改正内容は、正規雇用の枠を逆に縮めてしまうことが指摘されておりますし、本来、国際労働機関(ILO)の三者構成主義(※)によって雇用・労働政策は議論されるべきところを、政府内の一部会議体だけで解雇の金銭解決制度や、限定正社員制度等の導入が検討されているわけです。これらはまさに正社員の確保・安定化に逆行するものとして慎重な検討を求めなければなりません。これらについて知事はどのように考えるか、併せてお尋ねいたします。

知事答弁
 経済界等の皆さんに正規雇用に係る企業の理解が得られるよう努力していきたい。

※ 三者構成主義とは、政府に加え、労働者と使用者の代表が正式の構成員として参加していることである。ILOは、いかなる問題に取り組む時もこの三者(政労使)による協議を根幹としており、労使団体は政府と並んでILOの決定・運営に参加している。

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長崎駅前交通産業ビルの建て替え

 次に長崎駅前交通産業ビルの建て替えについてお尋ねします。

 長崎新幹線の開業時期を天井として、長崎市内では都心部・臨港部の都市再整備に向けて各種の計画づくりが進んでいます。ところがその計画は、長崎駅周辺地区については国道から浦上川に至る一帯が中心であり、国道から西坂方面の駅前商店街を中心とした地元資本により作られている長崎駅前の顔となる区域についての再編整備計画は、実際上殆ど顧みられていないという現状にあります。

 このままでは新幹線の開業に関連してJR等の県外資本が新駅舎に隣接して整備するであろう集客施設等ばかりが賑わう一方で、地元資本により作られた現在のエリアはしぼんでいってしまい、広い意味でのストロー現象が起きるのは間違いないと私は思っています。
 これでは本当の意味での長崎の活力は生まれないのであって、やはり何としてもこの際、駅前商店街を中心としたエリアの再整備を進めることが必要であります。

 そのためのコアになるのは、築50年以上経ち、かつ新幹線開業時に併せて交通ターミナルを全部移転させることに伴い実質的に空洞化する交通産業ビルを建て替え、長崎駅前の顔にすることをおいて他にはありません。
 いま、この中には県や市の事務所、物産協会等と併せて、区分所有により一部のフロアーには民間の事業所も入っているわけですが、県や市の事務所は新県庁舎や新市庁舎の建設によりここに置いておく必要がなくなります。また、老朽化による建物の危険性も手伝って、まちづくりの観点から建て替えによる新しい機能の付加を求める声が益々高まってくるのは明らかです。
 しかし、県や市は、新庁舎の建設やそれに伴う関連施設の整備といった大物の箱物整備のためにそれ以上の金はありません。

 そうすると、当然に民間活力を活かすということの他に途はないわけです。しかしながら、現在の建物利用の形態やまちづくりの観点等から、一定の公共スペース・公用スペースを確保する必要があります。加えて現在の民間の権利者の同意をとる必要もあります。

 こういったことを考えると、私は権利者と資金力のある新たな民間の権利者による共同ビル方式で再開発を進める事業手法が最も適していると思っています。それはとりあえず置くとしても、いずれにせよこの交通産業ビルの建て替えを検討するための県・市・交通局と関係者による協議の場を立ち上げることが必要だと思いますが、どう考えているのか聞かせてください。

交通局長答弁
 交通ターミナル移転後の現在地の利活用については大きな課題であると認識している。
 そのための県・市の担当部局とも協議の場を設けてまいりたいと考えている。

 以下の長崎新聞の記事(3月11日)もご覧ください。

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被爆地域拡大に資する主体的な取り組み

 最後に、被爆体験者を被爆者と認め同様の被爆者援護対策を行えるように被爆地域拡大に資する県としての主体的な取り組みを強く求めたいと思います。

 「新たな被爆者の認定のためには新たな科学的知見を示せ」と国は一方的に言い張っているわけですが、そもそも現在のいびつな被爆地域の指定において、国が科学的知見を求める根拠が一体どこにあるのか、また、国は実際合理的な科学的知見は持ち得ていないのではないかとの強い疑問があるわけであります。

 しかし、この議論の押し問答をやっていてもなかなからちがあかないので、国がそういうなら一定新たな科学的知見を見い出す努力をしようではないかとして、長崎市の方で放射線影響研究会というのが立ち上げられました。研究会のメンバーの人選の問題等いろいろありますが、被爆地長崎の行政の取り組み方としては一定前進であると思います。
 しかるに県はどうかというと、この研究会の事務局の一員として参加するにとどまっているわけであります。研究会の運営規則や段取りは長崎市が策定し、かつ、主体的に行われているので、県は実際上会議の場にオブザーバー的な意味で参加しているにすぎません。

 こうした状況ですが、今般、原爆直後の状況を科学的に最も詳しく記された第一級の資料ともいわれる報告書がアメリカのエネルギー省から公開されました。
 これについて、長崎市の研究所の会長である原爆病院の朝永院長も検証すると仰っています。しかしながら、この報告書は6部に分かれ膨大な内容になっています。日米で約180人の医師らが関わったとされるこの報告書の検証を、朝永氏と数人の人たちだけに委ねるのみでいいのかということです。科学的知見を求める国も検証していない資料です。
 被爆地域をかかえる県としても外野席で傍観するのではなく、一定の枠組みをつくってアメリカの研究者も含めた専門家チームによりこれを検証し、他にも貴重な資料がないか調査するべきではないでしょうか。
 そもそも放射線影響研究所などにある資料について、県としてつぶさに科学的に検証したことがあるのでしょうか。

 こうしたことも含めて、今こそ県として新たな科学的知見を発見する取り組みを長崎市と連携しながら、主体的に行うべきである、いや、その責務があると思います。これについて、知事の所見を伺います。

知事答弁
 長崎市と一緒になって新たな機会を把えて新たな知見が得られないか、専門家の意見を聞きながら検討を進めていきたい。

 この答弁は、今やっていることの枠内にとどまって、それでよしとするような答弁です。

 例示として、ああいった第一級の資料が出てきて、それについてより多くの人間が関わってやってきたと言ったのですが、そうした資料を一部の人たちの解析というか、検証だけに委ねるのではなくて、県としてもより多くの専門家を集める努力をしながら、同じように連携をして多角的にそれを検証し、科学的知見を発見するという、そういう主体的な取り組みをやるべきじゃないかという話をしたんです。
 今の枠組みにとどまっている限りにおいては、これは長崎市が基本的にやっていくわけですから、何も県としての役割は出てこないんです。それでいいのかということです。

 国は、新たな科学的知見を持ってこいと。
 どれだけの専門家を揃えてやっているのか知らないけれども、ハードルは高いんです。それを長崎市だけに任せておって、長崎県は何もしなくていいのかと、ここは、被爆県として、より多くの英知を集める努力をして、前進をする取り組みこそが必要ではないか、そのために一緒になって汗をかこうじゃないか、その責務があるということを私は言っているんです。

 被爆者のみなさんに、あるいは被爆体験者の皆さんに寄り添いながら、国が求めるところに対して、その対応を求めていく、その取り組みはどこがするんですか。県は何もしないんですか。
 福祉部長が答弁したこと、知事が答弁したこと、私としては納得がいかない。今言ってることは、長崎市が主体的にやっていくという中にぶら下がっていくというだけの話でしかありません。

 自ら開拓をしていって英知を集めるという、5人か6人か、そこの中で意見が出されたことについてどういうことができるのかということ、受動的に何か対応していくというだけの話であって、能動的にそこに関わって、そこの議論をより闊達にして収れんさせていく、あるいは、よりその科学的知見の発見のためにいろんな機会をつくっていく、そういうことに積極的に役割を果たそうとするような姿勢が全く感じられません。国のまさに被爆者援護対策の法定委託業務を受けるような機関に、そこにおもねてしまっているから、政策的な主体的な取り組みをしようとしないからそういう答弁になってしまうのです。

 私としてはとても納得がいかない。これは委員会で集中して審査をしたい。

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