県議会文教厚生委員会での議論
―スプリンクラー等の整備に係る老人福祉施設管理費―
去る2月8日の長崎市東山手町のグループホーム ベルハウス東山手で起きた火災事故を受けて、スプリンクラー等整備特別対策事業予算として1億8252万円が計上されました。
スプリンクラーについては、補助単価として平米900万円、自動火災報知設備は補助単価として1施設100万円、消防機関へ通知する火災報知設備は補助単価として1施設30万円とし、これらの設置義務のない施設についても補助対象とすることとしています。
先の大惨事を2度と繰り返さないためにも、消防設備の設置はもとより、建築基準法や消防法等に基づく施設整備を行うことは、多数の特に自力では緊急避難が困難な人たちを預かる施設においては絶対条件ともいえます。
県は補助金を用意したことや、建物査察における指導徹底を図ることによって、施設設置者・管理者の取り組みを促進することとしています。
しかし、それではこれまでの行政の姿勢と何ら変わることはありません。
そうした姿勢にとどまっていたからこそ、必要な改善が行われず、結果、大惨事につながったのです。
どの施設設置者も人命の安全確保のための措置は十分に行いたいと考えているはずです。
それが出来ないでとどまっているのは、必要経費についての自己負担分が厳しいという財政上の理由が大半であると思います。
例えば、スプリンクラーの設置においては、端末の設備経費については一定補助金が支出されます。しかしながら、防水が十分に行われるために水道管の敷設替えや、屋外タンク等の設置が必要な場合は、これらの経費は補助対象とならず、実際、これらの必要経費が多額に上がるのです。
こうした現実をそのままにして一定補助金を措置しているから、あとは施設設置者が何とかせよ、といった姿勢では問題は解決しません。
こうしたことから、私の提案により、予算審査に関して文教厚生委員会として執行部に対し、次のような申し入れを行うこととしました。
スプリンクラー等の設置に係る老人福祉施設管理費に関する
文教厚生委員会申し入れ
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スプリンクラー、自動火災報知設備、火災報知設備等の整備に関し、一定の補助金が措置されているものの、施設設置者において自己負担額の確保が困難等の理由により、所要設備の整備が遺漏なく実施されるかが懸念される。
このため、県においては、市町等と連携して全対象施設のうち、所要の設備の整備等が行われていない個々の施設等に具体的な原因を特定するとともに、設備の完備のための隘路を払拭するため、具体的な対応策を明確にし、施設設置者がその責任において、主体的に取り組める環境を設備すること。
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一方、施設設置者においては、必要な設備整備等について、一定財政的に支弁が可能でありながら、その取組みを懈怠していると思料されることもあることから、必要な設備の整備や施設の改修等の指摘にあたっては、施設設置者の財政状況を確認の上、厳正な指導を行うこと。
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上記の取り組み内容については、平成25年6月定例月議会の文教厚生委員会に報告すること。