県議会文教厚生委員会での議論
―フッ化物洗口推進事業費―
保育所・幼稚園・小学校で実施するフッ化物洗口によるむし歯予防対策を支援し、県内の子どものむし歯を低減するとの目的で、計9,726千円の長崎県フッ化物洗口推進事業費が予算計上されました。
保育所・幼稚園では1人750円を、小学校では1人500円を薬剤等経費として補助しようとするものです。
このフッ化物洗口は定時的にフッ化ナトリウム水溶液を口に含んでうがいをすることで、歯質そのものを強くし、むし歯になりにくくするもので、国や歯科医師団体が推奨してきたものですが、洗口で使うフッ化物も濃度を誤って一度に多量に取れば吐き気、嘔吐、腹部不快感などを示すことがあり、導入には一部に根強い反対があります。
導入自体は保護者の同意を得て学校などが決定し、希望者のみに実施することにしていますが、これまでに既に実施している施設や説明等を受け、新たに実施を希望している施設の合計は、保育所で49%、幼稚園で38%、小学校で6%にとどまっています。
また、特に小学校では現場の教師から導入に反対する意見も多数提出されています。
こうしたことから、文教厚生委員会において、予算執行については慎重な取扱いを求める意見が相次ぎました。
本来、政策的予算は税金を形を変えて納税者に還元するものですから、この事業のように、そもそも事業そのものを反対だという受益対象者がいる中で、希望者のみに予算を投じるというのは、事業の公益性や公平性の観点から疑問なしとするものではありません。
更に、先に記したとおり、実施希望施設は小学校で6%にとどまっているなど、事業内容についての理解が十分得られているとは言えない状況にあると考えられます。
また、実施現場での担当者の協力が不可欠であるとともに、責任体制を明確にすることが必要です。
このため私の提案により、事業予算は承認するものの、執行にあたっては、次の事項を遵守すべきことを委員会として附帯決議を附すこととし、本会議で可決されました。
今後、事業の進捗状況について十分留意していきたいと思います。
第1号議案「平成25年度 長崎県一般会計予算」に係る長崎県フッ化物洗口推進事業費に関する附帯決議
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長崎県フッ化物洗口推進事業実施要綱(案)に掲げる関係者間の説明会及び保護者説明会と各施設現場での協議等を通じて、事業内容について理解醸成を図るとともに、実施に当たっての責任の明確化と円滑な事業執行の環境を整備し、併せて、実施希望者施設の増加等、事業ニーズ・必要性を明確にすること。
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上記1の説明会等においては、事業推進の立場に偏ることなく、フッ化物洗口に係る問題点・留意点を明示し、賛否両論者の意見が開陳されるよう開かれた説明会等とすること。
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上記1の取り組み内容及び執行状況については、県議会文教厚生委員会に報告するとともに、市町への補助金交付決定については、事務の慎重な取扱いを行うこと。