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政治倫理審査委員会での審議について
野口県議の事務所職員が九州新幹線西九州ル−トの大村保守基地の建設場所について知り得た情報の提供と併せて政党の政治資金パ−ティ−券を販売していた問題に関し、これまで8回、政治倫理審査会を行い、情報を提供した県土木部の担当室長や野口県議の事務所職員、野口県議本人等を招致し、事実解明やそれについての認識等を質してきましたが、実質的な審査は終了し、今後、委員会としてどのように取りまとめ、議長に対する報告と公表をするかという最も大切な最終局面を迎えます。

この倫理審査委員会は、当初非公開を原則として行なうとしていましたが、当初の野口県議本人からの聴取と事務所職員からの聴取を除いては公開して行なわれ、特に、情報を提供した県土木部の担当室長をはじめ土木部長、総務部長、関係職員等、執行部側との審議は報道機関も多数入り各紙で記事が取り上げられました。

そこで、この公開された部分に関して、この問題のポイントについて私の見解を述べたいと思います。

第一に県は野口県議に特定の用地買収に関する図面の交付という形で行った情報の提供について、それ以前に別途説明会で行なわれた図面から類推されるものであり、かつ、用地買収に関し出してはいけない図面そのものではないことから、非公知の事実に当たらない、また、情報を提供した本人には故意がない、として地方公務員法第34条の守秘義務違反には該当しない。

その一方で、用地買収の範囲であると誤解を生じかねない図面を提供したことは不適切であり、議会の混乱を招いたことは同法第33条の信用失墜行為に当たり今後処分を検討するという見解を示しました。

しかし、守秘義務違反の問題に関しては、野口県議に渡された図面はそれ以前に説明会で使われた図面から大村保守基地の用地買収範囲を類推されるものよりは基本的に異なり、買収範囲がより特定しらすものであるとともに、かつ、出してはならない図面と突合の上提供されたもので、その中には真実の内容が80%以上含まれている、さらには、野口県議に提供された図面をもって国土調査の成果図と突合せすれば、具体的な所在地番や所有者・個々の面積等が特定される等の理由から、外形的・形成的には守秘義務違反に該当する行為であると言えると考えます。

しかし、この守秘義務の成立要因である本人の故意に関しては、行為当時出してもいい資料だとの認識であったとの主張からして、故意を類推することが困難であるため、結果的に守秘義務違反を問うことはできないと考えられますが、地公法第33条の信用失墜行為の内容は単に「用地買収の範囲であることを誤解せしめるような不適切な行為」であることにとどまらず「外形的には守秘義務違反に当たる行為」がなされたことが、公務員の職務に対する県民の信用を失墜させたとして認定されなければなりませんし、処分内容が検討されなければなりません。

第2に野口県議自身に対しては、情報を提供した県当局が提供した時点では公表しても差し支えないと思っていたが、現時点では公表すべきではなかった、即ち、提供すべきではなかったとの見解を示しているにも関わらず、情報を得た側としては、その当時も現在もその情報は公開しても何ら差し支えないものであると考えていると述べていることから情報の取扱いに関する慎重さの認識に欠けると言わざるを得ないと思いますが、その点は別としても、本人の説明では社会通念から見て不自然と思われることがどうしても拭えません。

それは、用地買収という利権にからみかねないような情報が県側の独自の判断で一方的になされる、かつ、野口県議にだけ特定の図面が交付されるということは考えにくいこと。
野口県議は事務所に置いていた図面を事務職員が独断で活用し、パ−ティ−券の販売に利用したものであり、自らの関与がなかったと主張しますが、パ−ティ−券の販売を命じたのは野口県議であり、かつ、販売の仕方についても雇用関係からみて何らかの示唆があるのが普通であることから、普通でないことへの疑問がこれも拭えないのです。

こうした状況において、即ち、守秘義務違反に形式的に該当するような行為によって情報が得られ、その情報を利用してパ−ティ−券販売を秘書=事務職員が行なったということについて、特に政治倫理の遵守が求められる議員という立場にあって、社会的・道義的な監督者責任が問われないか慎重な判断を要すると思います。

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