県内私立幼稚園のこの10年間の推移をみると、平成13年は園数が136、在園児数が15,310人、定員に対する充足率が62.2%だったのに対し、本年は園数が133、在園児数が11,951人、定員に対する充足率が51.0%と、いずれも右肩下がりになっています。
これに対し、私立の保育所は10年間で逆に右肩上がりで、本年の県内の保育児童数は26,225人、定員に対する充足率は99.3%になっています。
まさに保護者の保育所志向が表れているわけで、幼稚園を敬遠する理由はいろいろあるもののやはり、家計の負担の問題が1番大きいのではないかと思います。
このままでは、私立の幼稚園はバタバタと倒れてしまう。
しかし、幼児教育については、平成18年の教育基本法の改正でその重要性が法的にも位置づけられており、幼児教育は、人間形成の基礎が培われる大切な時期に、発達や学びの連続性、生活の連続性を大切にし、幼児一人ひとりの望ましい発達を促していく重要な役割があります。
子どもたちのため、幼児教育を受ける機会を十分確保していかなければなりません。
こうした現状においては先ずは私立幼稚園の経営を安定させ、その機能を拡充するとともに、保護者負担を軽減していかなければなりません。
幼稚園の経常費に対する財政支援として、教育振興費補助の制度がありますが、その多寡は各都道府県によってまちまちです。
本県の場合、園児一人あたりの補助単価が平成21年度の168,529円に対し、本年度172,215円に増額し全国で25位になっていますが、私立中学高等学校に対する補助の全国順位と比較すると低く、これをもっと伸ばしていく必要があります。
また、保護者負担を軽減するための就園奨励費についても今般、国の制度改正により、子ども手当てとの関係で最も多い所得階層への奨励費が減額になっていることから、この復元も求めていかなければなりません。
この他、認定子ども園を促進するための助成費のあり方を改善するなど、幼稚園の経営の安定化と保護者負担の軽減のためにやらなければならないことが山積しています。
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