中村県政の目玉のひとつとしてアジア・国際戦略本部を庁内に立ち上げ、東アジアのマ−ケットや経済力をタ−ゲットにして、観光や物産の振興、企業活動の海外展開の促進等を全庁的に取り組んでいこうという方策が示されています。
これまで各部局毎に実施してきた施策を一元化してプロジェクト方式として実施するとともに、経済活動を担う民間や市町とも緊密に連携する仕組みもつくると意欲的です。
その趣旨は歓迎するところですが、しかし、これまでも本県は中国や韓国の市場に対して一定のアプロ−チを重ねてきています。例えば、
・上海事務所も置き、かつてはソウル事務所も置いていた。 ・水産物の海外戦略を立て、輸出額がこの5年間で500万円から1億4500万円に伸ばしている。 ・物産についても北京や上海で大がかりな商談会も開催している。 ・観光も中国・韓国からのインパウンドの活動はエ−ジェントが日常的に行っている。 ・クル−ズ客船の誘致対策もこれまでに強力に進め長崎市の松ヶ枝には国際観光埠頭も整備した。
そこでこうした実績をもとに取り組みを更に拡充するというねらいは総論としてよく分かるわけですが、要は従来からの海外展開の取り組み方の違いは何か、そしてそれを動かしていくいわば原動力となる装置づくりをどのようにやっていくのか、ということが明確に示されなければなりません。
例えば、県産品の輸出拡大というテ−マでいえば、輸出環境の整備や相手先の状況に即した戦略的な輸出対策、意欲ある輸出業者や生産者の支援、さらに輸出予定先での需要開拓というようなことがセットとして進められなければなりません。
そうであれば、それぞれの柱に即して、それを担っていくにふさわしいマンパワ−や組織をそろえてそれらをうまく稼動させるシステムをつくらなければなりません。
私はこれをプラットホ−ムと呼んでいますが、それをどれだけしっかりつくれるかが成否の分かれ道だと言っても過言ではありません。 県庁内だけでの取り組みではどうもならないのです。
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