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活動トピックス

『未来の国 国の大切な資源を育てるシンポジウム』に参加しました

2017-04-10
 3月4日、活水大学の大教室で『未来の国 国の大切な資源を育てる』シンポジウムが開催されました。私は、パネルディスカッションのコーディネーターとして議論に参加しました。
 
 このシンポジウムでは、国連が“世界一幸福な国はデンマークだ”と発表しましたが、何故デンマークはそう評価されるのか、どういったことに軸足を置いて国づくりを進めればそう評価されるようになるのかということを念頭に置きながら、特に子育てのあり方を中心に議論をしました。
 
 デンマークから子育て政策を担当している専門家やノーマリゼーション(障害者に,すべての人がもつ通常の生活を送る 権利を可能な限り保障することを目標に社会福祉をすすめること。デンマークの取り組み から生まれた理念)を提唱し、普及に努めたデンマークのバンミケルセンの財団の理事長を招へいし、講演をいただくとともに、私が進行役を務め、前長崎女子短期大学長の浦川氏や活水女子大准教授の前田氏、長崎県こども政策局長の永松氏等による「安心して子育てができる社会づくり」について、パネルディスカッションを行いました。
 
 経費は全て民間の企業が負担し、約200名が職講に来ていただきました。

 『未来の国 国の大切な資源を育てるシンポジウム』では、以下2つの講演とパネルディスカションが行われました。
 
 (講演1) 安心して子育てができる社会(デンマークの保育と幼児教育)
    講師 Citte Kristensen
 
 (講演2)「幸せな国づくり」(世界一幸せな国、デンマークの社会、学校教育)
    講師 千葉 忠夫
 
 (パネルディスカッション) 安心して子育てができる社会づくり
 
これらの内容について概要を以下に紹介します。
 


(講演1) 安心して子育てができる社会(デンマークの保育と幼児教育)
 
 講師 Citte Kristensen
 
デンマークの家庭:デンマークの家族は99%別居で三世代同居家庭は皆無と言っても過言ではない。したがって核家族家庭であり、夫婦共稼ぎが殆どであるためデンマーク政府は乳幼児の保育、育児の場を100%保証している。待機児童0の徹底は国の方針であり確実に実践している。
 
子供たちの親(保護者)は子供を保育園/幼稚園に朝託し午後迎えに来る時に、子供に何ら問題がなかったことを保育士から聞くことに喜びと、信頼感、連帯感を感じている。このことから家庭教育と保育/幼稚園での教育は大きな共通点を持っていることが伺える。
 
即ち子供が不安なく安心して過ごせる時間帯が家庭でも保育/幼稚園の中でもあるということ。
 
保育園/幼稚園には運営委員会(理事会)があり保護者、職員、施設の所長等で構成されている。理事会が施設に一番期待することは子供が施設に安心して受け入れられ個が最大限に伸ばされていくことである。理事会は他に当然施設の経営、運営等について検討する。
 
また、理事会の他に施設には親の会もあり、親の会から理事を選出している。親の会は職員や子供たちと共に四季折々の行事を催しデンマークの伝統文化を引き継いでいる。
 
子供の行動に関して問題が生じた場合は、問題解決のために臨床心理士、理学療法士、作業療法士、スピーチセラピスト等が派遣される。
 
地域管轄生活指導教員は特別支援を要する問題を持つ児童に対応する特別教育を受けている者であり複数の施設を担当している。
 
保育/幼稚園の他に家族の家というものがあり子供と親を同時点で問題解決のために支援する施設である。
 
以下デンマークの児童福祉について出産時から順を追って説明する。

・出産:妊娠から出産まで以下の診察が全て無料で行われる。
 
妊娠11週目と13週目にヌーシャルスキャン(Nuchal Scan)
 
19週目と20週目に異常妊娠、染色体の異常の有無の検査
 
妊娠期間中家庭医と助産医が出産に至るまで産婦(並びに配偶者)に対して適切な助言(と診察)を行う。
 
・出産退院直後に自治体から保健師(児童担当)が家庭訪問に来て乳児並びに家族への育児指導を以後約1年間にわたって行う。
 
・乳児にも出産の登録時にマイナンバーが与えられ、同時に保育施設希望の受付がなされる。
 
・乳児は通常生後約10か月から日中は保育園あるいは保育ママ(家庭委託)に託され2年10ヶ月が保育期間となる。
 
・保育ママは地方自治体職員として採用され、自宅で1日4人までの乳幼児を保育できる。保育ママは保育士(padagog)の資格を持ってない者が多い。
 
・保育園では通常約12人が一組となってグループを編成する。保育園の職員はほとんどが保育士の有資格者である。
 
・生活指導教諭(padagog)の教育機関は3年半で教育期間中に子供の障がいの有る無しにかかわらず物心両面の発達について学ぶ。教育期間中3回にわたり、保育園または幼稚園で、大学で受けた講義について検証するため実習をし立証する。実習は全教育機関の3分の1を占めるほど重要視されている。
 
・子供が2歳10ヶ月になると保育期間を終え、就学年齢(6歳)に達するまで幼稚園に通園する。大多数の幼稚園教諭は生活指導教諭の有資格者である。
 
・幼稚園児は8月の新学期0年生学級が始まる年の3月から当該学校の学童保育に移籍する。幼稚園の担任生活指導教諭は夏休み前の7月1日まで子供に付き添って学童保育に行く。
 
・デンマークでは昔から両親が家の外で仕事中は子供たちを保育/幼稚園に預けるのが習慣であり、子供たちは保育/幼稚園で諸々体験し、学び成長して行くのである。就学前教育の徹底は国の政策である。2004年から就学前教育に6つの骨子が明確にされた:多様性、個々人の発達、社会的能力、言語の発達、身体機能の発達、自然節理と文化的価値の理解。
 
・インクルージョン:以前は特別支援施設に所属している子供も一緒の施設へ。保育/幼稚園でも精神的、肉体的に障がいを持つ子供たちだけを隔離せず、障害を持たない子供たちと身近で安心感を持てる環境で一緒にすることがベストである。ノーマリゼーションと同じことである。
 
・保育/幼稚園ではかかる費用の3分の1を保護者、3分の2を自治体が負担する。
 

 
(講演2) 「幸せな国づくり」(世界一幸せな国、デンマークの社会、学校教育)

    講師 千葉忠夫
 
 2016年、国連は世界一幸せな国はデンマークと発表した。
 
・幸せな国は生活大国であり社会福祉国家である。

・社会福祉国家の基盤は民主主義にある。

・民主主義は自由、平等、博愛(共生、連帯)の言葉で表されるが、言葉だけで理解するものではなく、身に着けて理解しなければならない。

・日本の国を幸せにするためには、全ての日本国民が真の民主主義を理解しなければならない。

・この真の民主主義を国民にしっかりと理解してもらう場が義務教育である。
 義務教育とはその国に必要な国民を育成する教育と理解する。

・真の民主主義を理解する国民を育成するためには真の教育を国民にしなければならない。

・真の教育とは?教育の本質、学問とは?未来の日本のために国民みんなで国を考える時が今なのである。
 


(パネルディスカッション) 安心して子育てができる社会づくり
 
  コーディネーター  長崎県議会議員      髙比良 元
  パネラー      前長崎女子短期大学学長  浦川 末子
    〃       活水大学准教授      前田 志津子
    〃       長崎県こども政策局長   永松 和人
 
・子育てについて 親に孤独感、不安感、負担感が三重苦になっている。親の不安感や負担感を解消し、安心、安全と信頼が持てる親子関係をつくることが大切。
 
・子どもの未来を見据えて、自己実現が図れる子どもの育ちに親や子育て支援機関がどう向きあっていくかが大事で、とりわけ幼児教育の重要性を認識した取り組みを拡充していく必要がある。
 
・デンマークも保育と幼児教育の拡充に長い歴史を通じて実践してきた。その点、日本はまだ子育て支援を充実させていくうえで途半ばという状況にある。日本の歩みを振り返ったときに、近年まで女性が声を上げられなかった、女性の声が社会に届かなかったという状況があった。
 
・子育ての不安を解消していくには、大人自身が意識改革をすること、地域の養育力を高めること、子どものライフステージに応じた切れ目の無い子育て支援策を行っていくこと等が大切。
 
・人口減少社会においてもっと国の子育て支援策を拡充する必要がある。大阪府の守口市は、この4月から就学前児童の保育料、教育費が親の所得制限無しに全て無料になる。中学卒業までの医療費も全て公費負担。未来へ投資するということと女性の社会進出の支援、定住の促進ということが考えのベースにある。長崎県でも同様の取り組みに向かっていくべきだ。
 
・子は親の心を実演する名優である。親の態度・行動・性格・愛情いかんが子の人格形成に大きく関わり、親子関係の良し悪しも決まってくる。
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