活動トピックス

ミャンマー視察報告

2016-04-01
  • アウンサン・スーチー氏率いる民主政権が誕生した
ミャンマーを視察調査しました

 先月、民主政権の政権基盤と日本からの投資環境の現況等について調査するため、ミャンマーを訪問しました。

 本県は今、アジア国際戦略を掲げ、東南アジア諸国との関係を強化し、県内企業の海外進出、人手不足分野への技能研修者等の受け入れ、県産品の海外輸出、外国人観光客の来県促進等に力を入れています。

 こうしたことから、今後の政策展開について執行部の取り組みを促進する意味から、執行部の調査等に先駆けて、ベトナムに次ぐ関係強化国として考えられるミャンマーの関係機関等を訪問し、今後の積極的な展開に繋げたいと思っております。

 以下、入手した多くの資料等を省略し、訪問先でのレクチャーの概要を記します。

海外視察調査報告書


視察調査者   県民主役の会会派
          小林 克敏、髙比良 元

視察調査先   ミャンマー ヤンゴン

視察調査期間  平成28年3月21日~3月25日

調査目的    本県のアジア国際戦略の推進について

調査事項    ミャンマーの投資環境及び
         海外への人材派遣の状況等

訪問先
  1. 在ミャンマー日本大使館
           参事官   松尾 秀明
           二等書記官 西澤 聡

      在ミャンマー日本大使館 視察調査内容
     
  2. ジェトロ ヤンゴン
           所長    山岡 寛和

      ジェトロ ヤンゴン 視察調査内容
     
  3. ジャイカ ミャンマーオフイース
           所長    中澤 慶一郎

      ジャイカ ミャンマーオフィス 視察調査内容
     
  4. ミャンマー日本ティラワ開発会社
           社長     染井 崇史
           副社長秘書  尾野江 聡

      ミャンマー日本ティラワ開発会社 視察調査内容
     
  5. フォーバルミャンマー(県委託サポートデスク)
           シニアマネージャー 木本 直樹
           マネージャー    シェイン

      フォーバルミャンマー 視察調査内容
     
  6. ジェイサットコンサルティング(㏍)(人材育成・派遣会社)
           社長     西垣 充
           マネージャー 森川 晃

      ジェイサットコンサルティング 視察調査内容
     
  7. アウンサン・スーチー氏事務所

      アウンサン・スーチー氏事務所 視察調査内容

 

在ミャンマー日本大使館 視察調査内容

 
 
  • アウンサン・スーチー氏率いる国民民主連盟の選挙勝利により民主政権が誕生したことで、軍事政権下であったビザの発給他国際化の促進に関しての多くのハードルが大きく改善されていくことが期待される。
 
  •  日本はこれまでODAで一人勝ちだったが、新政権の誕生に助力した欧米が今後ミャンマーへの投資やグローバル企業の市場進出が積極的に行われることが十分予測される。日本企業はこれから欧米の企業との戦いになる。
 
  •  一方でミャンマーはインド・中国に対する国防の強化を余儀なくされているとともに、北部地域の反政府勢力への対応や、バングラデェシュからの移民が多数住みついたロヒンキャ問題等、国内治安の改善に取り組まざるを得ない状況にある。
 
  •  ミャンマーの労働人口の7割は農業従事者で、米、豆類、トウモロコシ、野菜等の生産が盛んで、かつて1000万トンの米をインドやタイに輸出していた実績がある。
     反面、工業化はまさにこれからで工業製品を自国でつくれない状況にある。
     現在1人当たりの国民総生産は1000ドル程度でしかないが、労働人口は多く、勤勉な国民性からして、経済政策がうまくいけば2020年にはGDPでベトナムを追い越すことも夢ではない。
 
  •  日本はいま2800億円の政府開発援助等を投入してティラワ経済特区の工業団地整備を行っているが、経済ミッションを派遣したり、農業の振興のために技術協力をしたり、あるいは労働者を受け入れたり、ミャンマーとの関係強化を図ることで相互の利益拡大につながってくる。都道府県単位では愛媛県がミカンの輸出に取り組んでいる。
 
  •  昨年12月の選挙後、かなりの日本企業が大使館との相談等を通じて進出の準備や会社設立の認可申請を行っている。 現在、日系企業は289社、在留邦人は常時3000人程度がいる。
     ミャンマー人の日本製品に対する信頼は絶大で、親日感情が非常に強い。日本語ができる人材も沢山いる。
 
  •  長崎大学はヤンゴン工科大学と講義の協定を結んでいるとともに、医学部では大学院に研修生を受け入れている。これは全国でも長崎大学と熊本大学だけ。
     長崎大学工学部では、元木教授を中心に技術協力をしており、研修生や留学生の受け入れは多田副学長を中心に積極的に行っている。

 

ジェトロ ヤンゴン 視察調査内容

 
  •  ミャンマーは「アセアンにとって重要な将来のパートナー国」「最も信頼できる国」で日本を最重要国として挙げている。
 
  •  ミャンマーは若年層が多く豊富な労働力があり、賃金が安く(ベトナムの7割、タイ・中国の3割強)かつ対日感情が良い、また消費市場が魅力であり大きなインフラ需要もある。2014年には日本ミャンマー投資協定が発効した。
 
  •  国別の外国投資額では中国のシェアが26%、タイ・シンガポールが各18%に対し日本は現在0.9%の12位にとどまっている。 分野別の認可額では石油・ガス及び電力が34%と圧倒的に多く、次いで製造業10%、輸送・通信5.6%となっている。
 
  •  日本からの投資状況は1990年から2010年までは20件と低調であったが、2010年、2011年に縫製業で新規投資が行われている。
     現在、ミャンマー日本商工会の全員数は238社。
 
  •  ミャンマーの電化率は約3割、近年多くの水力発電所を建設するも多くを中国に輸出し、ミャンマー側への送電設備がない。電力需要に追いつかず例年停電が頻発している。2030年には電力需要は現在の5~8倍に拡大すると予測される。
     国産ガスが豊富にあるが大半はタイや中国への輸出向けとなっており石炭の火力発電が急務。
 
  •  小売、医療、教育、外食、生活インフラ等、流通・サービス業の多方面の分野で良質なサービスが不足しており、日本企業としては市場開拓の宝庫といえる。
     また、外資を含む商業施設建設が急激に進み受け皿は拡大している。

  •  アセアン最後のフロンティアと言われるミャンマーが他のアセアン諸国同様、外国投資を軸とした経済発展を目指すのであれば、新政権としていち早く外国投資歓迎をアピールするとともに投資環境整備に取り組むべきである。
 
  •  ミャンマーの投資環境改善は日本企業の海外展開の活発化と円滑化のために不可欠である。また、ミャンマー日本商工会等日本のビジネスコミュニティーは、新政権に協力しながら当面環境整備に取り組んでいくことが重要である。
 
  •  製造業においては、ティラワSEZ工業団地への企業誘致成功の要因を共有し、国全体に広めていくことが必要。 インフラ未整備を理由に立ち止まるのではなく、タイを中心とする製造業の工程の一部を担うこと等も含め物作りの実績をつくることが必要である。

ジャイカ ミャンマーオフィス 視察調査内容

  •  2013年にミャンマーに円借款510億円、無償資金・技術協力400億円を決定。
     2014年には約260億円の円借款3件の供与を決定。
 
 
  •  日本の対ミャンマー支援としては、農業機械支援や優良種子普及支援等の農業・農林開発、カレン・ラカイン州における総合開発計画策定支援等の少数民族地域への支援、中小企業金融強化や投資政策支援等の制度整備・運用能力向上、日・ミャンマー人材開発センターへの技術協力等の産業人材育成、留学生・研修員の受入等教育支援、ヤンゴン・マンダレー鉄道整備や基幹通信網改善等、交通・通信網の整備、基幹送変電設備整備やヤンゴン配電網改善等の電力・エネルギー支援等を行っている。
 
  •  最近10年内での名目GDPは4.6倍に増加。
     2008年の僧侶を中心とする民主化デモの弾圧により、経済成長率が減速するも、2011年からの民主化の動きに伴い成長率は6%を超える高い成長率を記録している。
     また、外国企業による投資が加速し、工業化が進展していることで農業のGDP構成比が年々減少している。
 
  •  年間輸出額はここ10年程で約3.7倍に増加。 主要な輸出先はタイ、インド、中国で日本は第4位。
     天然ガス・農作物が主な輸出品。2014年の天然ガスパイプラインの運用開始により今後対中国への輸出増加が見込まれる。
     年間輸入額はここ10年程度で約5.6倍に増加。主要な輸入先は中国とタイ、日本は第5位。主な輸入品は機械や石油製品等。
 
  •  GDPはタイの約18%、ベトナムの34%、日本の約2%、実質成長率はメコン諸国で1番の高さ。 
 
  •  ヤンゴン工科大学、マンダレー工科大学と長崎大学工学部は授業カリキュラムの改善や教授陣のトレーニング等の技術協定を結び、7人を受け入れて教授としての育成を行っている。
また、ヤンゴンの医科大学と長崎大学の医学部は同じく協定を結び修士課程に年間2名を受け入れている。 これらの経費はODAを活用している。
 
  •  技術の適合性調査、マーケティング調査、政府機関との協議、ビジネスパートナーの調査等、海外市場調査のための資金をJICAが提供しているので積極的に活用されたい。
     JICAのHPはこちら。 
 

 
 

ミャンマー日本ティラワ開発会社 視察調査内容

 
 
  •  ティラワ経済特別区(SEZ)(ヤンゴン市街地から約23km)において工業団地、商業施設等を総合的に開発するプロジェクト。
     開発面積2400ヘクタール、優先開発区域約400ヘクタール。
  •  2012年   日本・ミャンマー間でティラワSEZを協力して
             開発する旨の覚書を締結
     2013年   日本・ミャンマー共同事業体を設立し起工式を
             実施
     2014年   SEZ用地の販売開始、ティラワSEZ投資認可開始
     2015年   ティラワ投資認可件数41件
     2016年3月 63社入居予定、うち日本企業34社、第一期開発250ヘクタールの販売は順調。
             工場建設着工数24社、操業開始済企業数8社
     
  •  ミャンマー政府+ミャンマー民間企業9社他によるミャンマー側出資51%
     ジャイカ+エム・エム・エス・ティラワ事業開発㈱設立による日本側出資49%
     (三菱商事・住友商事・丸紅、みずほ銀行他3銀行の共同出資会社)
     ミャンマー 日本 ティラワ開発会社の設立。社長は染井氏(住友商事)
     
  •  ミャンマー政府は2014年に新経済特別区法を制定し、ティラワSEZ内に外資系企業のティラワへの進出のため必要な国内手続きを一括して処理するワンストップサービスセンターを設置している。

       SEZ内への投資申請の受付と承認
       投資プロジェクトへの登記
       外国人へのワークパーミットの発給
       ビザ、居住許可の発行
       輸出入にかかる税関業務
       原産地証明の発行
       その他SEZ内の事業に関わるライセンス、許可の取扱い等
     
  •  ティラワSEZへの進出企業がミャンマーの今後の工業開発の中核的役割を果たすことになる。
     中小企業には土地を分割し、75年契約でリースすることになるが、進出には明確な企業戦略と語学に優れた社員(英語力)とパートナー企業が必要。
     
  •  長崎市出身の社員(みずほ銀行)が同社の職員として頑張っている。 

 
 

フォーバルミャンマー(県委託サポートデスク) 視察調査内容

 
  •  フォーバルミャンマーは、人材派遣、人材教育、起業のコンサルティング、ITサービス等を幅広く取り扱っており、日本企業の認可については定評がある。
 
  •  スタッフは日本語が堪能なミャンマー人の若い女性が多く、社内は活気がある。
 
  •  長崎県内企業からの問い合わせ等はまだ無い。
 
  •  企業の各種視察の手配、認可申請、人材確保等の手数料は5000ドル。
 マーケティング調査やオフィス確保、国内企業とのコンタクト等は年間10件程の実績で、1日1000ドルの手数料。
 
 
 

 
 

ジェイサットコンサルティング 視察調査内容

 
 
  •  同社は日本語教育を中心とした人材育成と人材の海外企業への派遣を幅広く行っており、現在特に日本の介護基礎技術を教え、外国人技能実習制度の法改正に備えて日本向け介護人材育成学校を設立し運営に力を入れている。
 
  •  日本の企業に正社員または技能実習生として紹介・派遣する場合、被派遣者の給与の3ヶ月分を訓練に要した経費や派遣手数料として受入れ企業から撤収する。(被派遣者が支払うか雇主が支払うかは双方の契約)
 
  •  社内は活気があり、フォーバルミャンマー同様、日本語に堪能なミャンマー人の若い女性社員が多い。
     
 
 

 
 

アウンサン・スーチー氏事務所 視察調査内容

 
  •  アウンサン・スーチー氏の歩み
     
    1948年 独立国家ビルマ連邦共和国成立。
    スーチー氏の父アウンサン将軍は建国の父
    1962年 少数民族武装勢力や共産党との武力闘争による国家分裂の危機を理由にネウィン将軍がクーデターで全権掌握。ビルマ社会主義計画党によるビルマ式社会主義国家に。
    1988年 全国規模の民主化運動(スーチー氏が主導)でネウィン政権崩壊。国軍がデモを鎮圧し、26年君臨したビルマ社会主義計画党(ネウィン体制)に代わり軍事政権が国家秩序 回復評議会を組織し全権を掌握(翌年、国名をミャンマー連邦共和国(通称ミャンマー)に変更)。
    以後22年間、スーチー氏自宅軟禁措置。
    2007年 僧侶主導の反政府デモ発生。治安当局による制圧で日本人を含む多数が死傷。
    2010年 3月、NLDが選挙ボイコットを決定。11月、総選挙で国軍設立の政党とも言えるUSDPが圧勝。11月、スーチー氏の自宅軟禁措置解除。
    2011年 1月、初議会召集。3月、民政移管、テインセイン大統領新政権発足。スーチー氏との対話、メディア規制の緩和、一部政治犯の釈放等を実施。
    2014年 9月、テインセイン大統領が国連総会に出席。スーチー氏も外遊を実施。1月、オバマ大統領が米大統領として初めてミャンマーを訪問。武器禁輸を除く制裁措置の一時停止、金融制裁の緩和等制裁措置の緩和を順次実施。ミャンマーがASEAN議長国に。
    2015年 11月、総選挙実施。スーチー氏率いる国民民主同盟(NLD)が勝利。
    2016年 3月、スーチー氏側近のティン・チョウ氏を大統領に選出。4月、新政権発足。
 
  •  スーチー氏は、ミャンマーの国会が始まり組閣中のため面会がかなわなかったが、同氏の事務所(NLD事務所)を訪れ、主人の留守を守る大勢の支援者と一時を過ごした。
     
  <スーチー氏(NLD)事務所にて>