長崎創生のマニフェスト(案)

 
 “現在の市政”と髙比良元が目指す市政(”市政を変える”)とを端的に比較したパンフレットについては、
こちらからご覧ください。
(PDF:524KB)

目次  ※目次はクリックすると該当の箇所へ移動します

はじめに

かつて先人たちに磨かれた誇りあるまち長崎。
その長崎をもったいないままにしてはいけない。
いまこそ子孫につなぐふるさと長崎の再生を力強く始めます!
市民の皆様、あなたのために、長崎のために、
声を上げ、思いを結集してください!
時代の潮流の中で、長崎が持続的な発展と循環の仕組みを持つために
今後どうあるべきか、そしてどうしていくべきかの考え方と方策の一部を
このマニフェストでは記しています。
(より細かな個別事業の予算や実施計画は別に記しています)
 かつて私たちの郷土長崎は多彩な国際交流の歴史と、それによって培われた固有の文化をもちながら、
 先人たちの努力によって日本の近代化に大きな役割を果たしてきました。
 その功績はユネスコの世界遺産登録など世界から高い評価を受けています。
 そして戦後、平和な国際文化都市長崎を標傍し、復興・振興に取り組んできました。
 しかし今、その愛すべき長崎がさまざまな社会的・経済的な課題を抱えながら、地方の一都市として伸び悩んでいます。
 このまま座して待っていては、ますます長崎の将来が厳しくなると予測される一方で、優れた資産や資源を活かしパラダイム(基本的な枠組み、規範)を転換するくらいの気概をもって前に進めば、多くの発展の可能性を手にすることも可能です。
 現代に生きる私たちとして、いまこそ子孫につなぐ誇りあるまち長崎の再生に取り組んでいこうではありませんか。
 このパンフレットには、そのための方策をとりまとめた“夢”が持てる実現可能なマニフェストの一部を記しています。

こういう長崎にします! (私の掲げる成長戦略)

              そのために
 
           <Ⅱ> 長崎の活力(元気)を倍増する
           <Ⅲ> 訪れたいまち日本一の長崎にする
           <Ⅳ> 長崎モデルの都市政策を進める
           <Ⅵ> 自立発展する新しい自治をつくる 
              (計画全体を実現するための仕掛けづくり)
           <Ⅶ> 話題の施設建設にはこう取り組む
           <Ⅷ> 目標達成のためのベンチマーク(指標)
 

<Ⅰ> 市民の暮らしやすさの実現を徹底して追求する

   (ここにもっと力を入れる!!)



 市民の暮らしやすさを実現していくためには、所得の向上と合わせて職・住・遊・学がそろったまちづくりを進めるとともに、居住地周辺の住環境の整備、交通アクセスや移動のための時間・距離の改善、内面的な価値(豊かさ)を実感できる社会環境の整備等が不可欠である。
 よって、こうした基盤づくりとともに、特に人口減少に歯止めをかけるための子育て支援の拡充、教育の振興、高齢者福祉や障がい者福祉の増進等に、これまでの枠組みを超えて市独自の施策を講じる。
 そのために、先ずは、従来の「こども」、「高齢者」、「障がい者」のくくりでは、あるべき成果の発現に不十分であり、分野を越えた福祉課題や生活課題にどのように対応していくのかという視点が何より大切である。

目指すべきは「地域共生社会の実現」
 この、「地域共生社会の実現」のためには、住民主体により地域課題を解決するための解決力強化や体制づくり、行政(市)の主体的で包括的な相談支援体制の整備、地域福祉計画の充実や各種計画の総合化・包括化等が必要であり、このため、多機関の協働による包括的な支援体制の構築に全力で取り組んでいく。
 即ち、「我が事・丸ごとの地域共生社会の実現」を他に先駆けたキーワードとして所要の施策を積極的に推進することを前提として、ここでは「こども」、「高齢者」、「障がい者」、「医療」の各分野別に必ず実施すべき特色ある方策の一部を挙げる。
 次の施策および〈Ⅱ〉、〈Ⅳ〉に掲げる施策を推進することで、長崎市の現在の合計特殊出生率1.48を1.87以上にするとともに、若年層の転出超過数を0にする。

1.子育て支援の拡充

「のびのび子育て都市」長崎をはじめます

 子育て世帯で特に若い人達の所得がなかなか伸びないなか、子育てにかかる経済的負担を極力抑えるとともに、住宅の質的水準を向上させる。
 また、両親がともに仕事と家庭をうまく両立できる子育て支援の社会的な受け皿の拡充と雇用の場での労働条件の主体的な改善を積極的に促進する。
 これら両面からの関連施策を子育て支援の切り口から切れ目なく推進し、長崎を子育てしやすいまちに変える。

 このため…
 

① 生まれた子供の健やかな成長・発達と子育て家庭全体の生活を支援するため、妊娠から子育て期にわたる様々な家庭のニーズに対して、切れ目なくワンストップ(統轄した窓口)で総合的に相談支援を行う「子育て支援センター」を設置する。

 

② 子供の成長過程に応じた一貫した子育て支援策を他の自治体に率先して実施する。とくに最も費用がかかる大学の授業料などについて、企業の社会貢献活動をトータルに推進するための総合型基金を創設し、その活用により一定の要件のもとに給付型の奨学金制度を整備する。

 

③ 多様な保育需要に応える多様な保育機能と受け皿を拡充するとともに、待機児童をゼロにする。保育士の処遇改善については、国の制度改善に委ねるだけでなく、市単独の予算措置も講じるとともに、給付型の就学資金交付事業等を創設する。また、関係機関、大学等と一体となって、保育士の確保対策を推進する。

 

④ 幼児教育の無償化の早期実現を国に強く訴えるとともに、多子世帯や同時入所している子供の世帯について、市独自の保育料の減免措置を最大限に拡充する。
 併せて、国の新たな子育て支援策では賄われない0歳児から2歳児の住民税課税世帯の保育料を現行の2分の1(半額)にする。

0歳児~2歳児の保育料:住民税非課税世帯は無料、課税世帯は現行の半額
2歳~5歳児の保育料(幼稚園・保育所):無料

 

⑤ 市内すべての放課後児童クラブを小学校に併設するとともに、障害児の受け入れ加算や母子家庭等への保育 料の減免、ならびに指導員の処遇改善や研修のための市単独の予算措置を講じる。

 

⑥ 子育て世帯向けの公営住宅を大幅に拡充するとともに、企業の社宅設置を促進する。

 

⑦ 子育て世代を支援するため、子ども医療費については中学生までに拡大する。

 

⑧ 子育てスタイルに合わせた多様な働き方の実現や、ワークライフバランス(仕事と家庭の暮らしの調和)、産休・育休の確保のため、企業に必要な就業規則の改正や福利厚生の拡充を求め、そのために必要な一定の財政支援措置を講じる。
 併せて、いったん職を辞めた女性が希望に応じた働き方に再度チャレンジできる、女性の働き方に応じた就業や起業等を支援する。

 

⑨ 6世帯に1世帯といわれる必ずしもあるべきまたは望むべき発育環境にない子供への社会的な支援のシステムを、同問題に取り組むNPO法人等とともに確立する。

2.教育の振興

 かつて、長崎の発展を培ったのは、国内外から多様な人材が集まり、彼らを指導者として育まれた優秀な人材に他ならない。まさに人材県長崎である。
 まちづくりや国づくりは広い意味での文化づくりであり、それを担うのは人である。
 人物づくりを長崎はどうするか。その命題にかつての人材県長崎として積極果敢に取り組んでいかなければならない。

 そのために、教育の未来志向市を目指して、情緒と感性に富んだ性格に、科学的資質と論理的思考力を子どもの時から重点的に育成する教育プログラムを採用し、世界でリーダーシップを発揮しうる人材を創り出すことに注力する。
 市が所管する義務教育での人材育成プログラムは、高校教育や県内大学にも一貫して引き継がれ、一貫した理念・目的のもとに各機関の共同による人材育成が図れる仕組みづくりを促進する。
 また併せて、産業振興の一翼を担う各分野別に技術が判るインキュベーター(目利き)やエンジニア等の人材導入も含めた集団の組織化を図り(「長崎の活力(元気)を倍増する」参照)、教育の面にも活用するとともに、将来的には国際的なグローバル企業とグローバル大学のセットでの立地を目指す。
 こうした取り組みを行うことを前提として、以下、喫緊の課題への方策を揚げる。

 このため…
 

○ 子供たちに豊かな学びを保証するため、すべての小・中学校で30人学級を実現する。併せて、教育のICT化(高度情報化)とICT人材の育成教育を積極的に推進する。

 

★ 学校評議員制度や学社融合、子どもを守るネットワーク活動や福祉教育などを拡充し、地域の教育力・福祉力を高めるとともに、学校を核とした地域のコミュニティ活動の活性化を促進する。

 

★ 留学生や市内在住の外国人の協力を得て、幼児から社会人まで語学体験ができる多様な場を創設する。

 

○ 国・県・関係法人に働きかけ、工業系学科および売り手市場となっている職種の関係学科の増設や定員の拡充を促進する。

 

○ 総合型地域スポーツクラブの拡充やマリンスポーツを普及・拡充するとともに、将来のスポーツ界を担うことが期待される人材の育成に積極的に取り組む。

 

★ 廃校施設の跡地活用や保育所・小・中学校の統廃合問題については、関係する地区ごとにまちづくり協議会を設置し、具体策を提言してもらい、基本的に提言にそって対策を講じる。

 

★ 子どもたちが安全・安心に学ぶことができ、地域住民のニーズに対応した学校施設・設備の整備を推進する。

3.高齢者福祉の増進

「はつらつシニア都市」長崎をはじめます

 医療・福祉の担い手であるマンパワーの不足を早急に解消する(「長崎の活力(元気)を倍増する」参照)とともに、介護保険事業だけに頼らない福祉施策を推進する。
 また、財政支出の軽減にもつながる新たな地域共助の仕組みづくりを行い、高齢者にやさしい長崎にする。

 このため…
 

① 高齢社会が一層進展している中で、「不安」、「不満」、「不便」の解消に向けた高齢社会へのビジネスチャンスを活かす地場企業の起業化、新事業展開を重点的に支援するとともに、高齢者雇用に積極的に取り組む企業に一定の財政支援を行う。

 

② 介護保険事業会計だけでなく一般会計においても福祉マンパワーの確保や施設整備にかかわる補助・融資の制度を創設する。
 また、介護人材の確保のため、国の制度改善に委ねるのみでなく、市単独の予算措置を講じるなど、喫緊の課題として強力に推進する。

 

③ 高齢者の健康増進と、元気な高齢者の社会参画を促進し、地域の課題や生活支援を必要とする人たちの生活課題の解消につなげるための多様なビジランティア(ビジネス+ボランティアの造語)事業を促進する。
 併せて、各地区の社会福祉協議会にコミュニティワーカーを配置し、総合的な相談・支援体制を整備する。

 

④ 小学校区単位での高齢者の医療・福祉の地域包括ケアシステムを確立するとともに、介護支援(市主体の地域支援事業)や介護予防に対する取り組みを強化する。

 

⑤ 高齢者が持ち家や土地を担保に生活資金を借り入れられるリバースモーゲージ(新たな活用方策)の制度を創設する。

 

⑥ 地域包括ケアシステムの確立と併せて、地域の共助を基調とした新たな福祉サービスの仕組みを創設する。

国民健康保険料及び介護保険の保険料を確実に引き下げます
 

⑦ 長崎市は全国及び県内の他市町と比べて高額で、とりわけ高齢者には大きな負 担となっている国民健康保険料と介護保険の保険料を、一般会計からの繰り入れや 保険報酬の支払額を減らすことで、現行の1割減を目指して減額します。  

国民健康保険料と介護保険の保険料を確実に引き下げます
国民健康保険料
(被保険者全員の平均年額)
介護保険料
(65歳以上の1人当たり平均月額)
現行 改正案 現行 改正案
81,598円 73,438円 6,800円
(県内平均 6,258円)
6,120円

4.障がい者福祉の増進

 障がい者の生活・医療・教育・就労など、ライフステージごとに生涯を通じてその人らしく地域社会で暮らし ていける各種の支援制度を拡充し、障がい者にやさしい長崎にする。

 このため…
 

★ ノーマライゼーション(だれもが自由・平等な共生社会)の理念のもと、各種バリアーの積極的な排除など、障がいのある人もない人も共に暮らせる平和な長崎市づくりを県の取り組みとあわせて積極的に推進する。このため、必要な条例を独自に制定する。

 

○ 障がいの早期発見・治療体制の整備と併せて、子どもの発達段階に応じた生活支援・自立促進のために、各事業所や機関と連携したワンストップ(統轄した窓口)の児童発達支援センターを整備する。

 

□ 就労支援を拡充するとともに、特定目的子会社の設置や就労支援事業所A型を拡充する。併せて、各就業支援事業所で作られた製品を販売する公設の店舗を市内各地域ごとに設置するとともに、事業所間の共同受注を促進する等により、障がい者の工賃アップにつなげる。

 

□ 教職員住宅や市営住宅の空き室および民間の空き家をグループホームに活用する。

 

★ この他、施策や事業の組み立てを常に障がい者に配慮して行う。

5.医療の再編

 人口10万人以上当たりの医師数は全国が243人に対し、長崎市は456人(平成26年12月末現在)で、全国的にみてもトップクラスにある。
 この恵まれた資源を活かして長崎を医療の先進地・モデル都市に変える。

 このため…
 

○ 健康に不安を抱えている人にとっては、かかりつけ医が一番の頼りであることから、在宅訪問診療や往診を複数の医師が連携して行う「長崎在宅Dr.ネット」を、市内全域に普及するとともに、利用しやすいシステムの構築を支援し、会員数の増加を図る。

 

★ 健康から病気に変化する過程の「未病」を改善することに照準を合わせた医療政策を推進する。
 方法として、「食」、「運動習慣奨励」、「社会参加」のライフスタイルの見直しと、最先端医療・最新技術を融合させ、健康寿命を延ばす(一人ひとりの生活スタイルをビッグデータで把握しながら、日常生活の中でそれを重症化させない個別化医療)。
 併せて、筋力をつけるためのソフトなトレーニングを普及させる。

 

○ 市内を中心部、南部、北部に分け、各地域での救急医療体制を整備する。とりわけ、南部地域の拠点となる長崎みなとメディカルセンター市民病院でのER型救命救急センターを早急に開設する。

 

○ 市民の命にかかわる、がん、脳卒中、急性心筋梗塞の3大疾患について、長崎大学病院、長崎みなとメディカルセンター市民病院、長崎原爆病院、長崎県済生会病院および市内の主要な民間病院間での機能分担・集約を働きかけ、より高度な医療体制を構築する。

 

★ 看護師や薬剤師等の医療人材の確保については、新たに給付型の就学資金交付事業等の創設や、潜在看護師等の人材バンクを積極的に整備するとともに、関係機関・大学等と一体となって対策を推進する。

 

□ 難病患者を幅広く救済し、医療費の自己負担制度を改め、公費負担で実施するよう国に強く要請する。

6.その他

★ 被爆者が先頭に立った核廃絶の取り組みによって、歴史的な核兵器禁止条約が国連において122の国と地域の賛成で採択されたものの、わが国は条約の交渉に参加していないことから、政策を見直し、条約に参加することを強く求めていく。

 

★ 恒久平和活動を実践する高校生平和大使をはじめとするNGO(国際的な活動団体)等の活動を支援するとともに、核廃絶と恒久平和の実現に向けた自治体外交等を市として積極的に推進する。

 

□ 爆心地から半径12キロメートル圏内で被爆した被爆体験者を被爆者と認め、国の制度が改善されるまでは現行の被爆者と同様の医療費を助成する。また、医療受給者証の更新手続きは自動更新とする。

 
※ 住宅政策については「長崎モデルの都市政策を進める」参照。

<Ⅱ> 長崎の活力(元気)を倍増する

   (ここにもっと力を入れる!!)



 市民所得の向上と雇用の増大を目的として、その要素となる工業出荷額や年間商業販売額などを仲ばすための長崎市の産業政策は、これまで特に見るべきものがない。
 各分野毎に民間の先行する経済活動における喫緊の課題・問題に対しての対応はあるものの、都市経営の安定・発展を支える産業力の強化についての取り組みは、基礎的自治体としての事業所官庁にとどまっている。
 内外の事業環境や競争環境が変化する下で、座して待っていては、ますます厳しい状況になることが予想される一方で、行政もイニシアティブ(主導性)をとり、経済界・産業界と連携して自らリスクを負いながらも動くことでチャンスを捉えられる可能性があるとの認識をもち、すでに把握されている課題にたいして新たな知恵や発想の下に自力で切り拓いていく姿勢と覚悟を持つことが大切である。
 とくに基幹産業である三菱による造船・重機の操業・経営の拡大を目指す一方で、今後100年間、長崎を支えさらに発展させる造船・重機に比肩する産業をどうつくり出していくかといった視点から、時を置かず実効ある産業政策を推進していかなければならない。
 次の施策および〈Ⅰ〉、〈Ⅳ〉に掲げる施策を推進することで、長崎市の現在の合計特殊出生率1.48を1.87以上にするとともに、若年層の転出超過数を0にする。


 このため…
「たからの海開拓都市」長崎をはじめます
 

① 国の海洋再生可能エネルギー開発の取り組みとタイアップし、地元企業の技術開発や新事業展開を促進するとともに、漁業との調整を図りながら洋上風力発電・潮流発電施設と水産資源の増殖システムを組み合わせて漁業資源の回復をはかる。
 また、国の海洋技術安全研究所を誘致するとともに海洋産業研究センターを立ち上げ、海洋関連産業の拠点づくりを行う。
 現在、三菱重工も参画する長崎の関連企業によって「海洋産業クラスター形成推進協議会」が設置され、かつ、浮体式の洋上風力発電の実証フィールドが国のプロジェクトとして五島灘で展開されているなどの好条件を活かし、海洋構造物や大型海中タービン等の新たな技術開発や産業化の蓄積を重ね、造船・重機に比肩する基幹的産業に育成することに市の総力を挙げて取り組む。

「ものづくり都市」長崎をはじめます
 

① 工業系の大学の拡充を促進するとともに、各分野のインキュベーター(先駆的な開発者等)やエンジニア、研究所・機関のOBなど、物づくりを推進していくために必要な多様な人材を登用し、企業の新事業展開や新分野開発のための協力体制を構築する。
 また、三菱の研究所がこれまでに開発した技術や商品素材を地場企業で活用し製品化する仕組みをつくる。
 あわせて、フアンド(基金)を創設し、中堅企業の生産力を高めるために資金・技術・情報等を集中して投資するとともに、マーケット(市場)に追随しない長崎オリジナルの少量多品目の高付加価値型製品の開発・販売を促進する。

 

② オフィス系企業の立地・起業化のためにインテリジェントビル(情報発信機能を持つビル)の建設を促進するとともに企業のSOHO(Sma11 0ffice/Home Office : 小規模事務所・家庭内事務所)のために長崎の景観特性を味わえる空家を活用する。
 また、将来的にはグローバル企業とグローバル大学のセットでの立地をめざす。

 

③ 産学官で共同して実行策を協議している「長崎都市経営戦略推進プロジェクト」において、長崎市の役割と責任を高め、行政が自らリスクを負ってでも推進するプロジエクトを編成する。
 また現在、長崎都市経営戦略推進プロジェクトで取り上げられている基幹産業、観光産業、教育産業、食品加工産業の分野にとどまらず、地元資本による物づくりや長崎でのビジネス展開の受け皿づくり、市内企業の各種分野での多様なネットワークづくりやマッチング(組み合わせ)等についてもプロジェクトを編成する。
 さらに、長崎都市経営戦略推進プロジェクトに参加する経済団体、大学だけではなく、各種産業界、経済団体、工学系の大学、三菱長崎研究所など、長崎の総合力で産業振興に取り組むための常設機関を設置する。

「お金が回る都市」長崎をはじめます
 

① 市民所得を向上させるため、市外・県外への産品・サービス等の販路拡大と併せて、市民所得計算上の中間経費を新たな生産高として生み出すため、生産から最終消費に至る地域内経済循環の仕組みづくりを新たに強力に進める(広い意味での地産地消)。
 このため、企業・生産者の連携・マッチング(組み合わせ)や生産物の市内での販路拡大、企業の新事業展開・生産コストの軽減等を積極的にサポートし、また自ら開拓する専門家集団を組織する。

「もうかる一次産業都市」長崎をはじめます
 

① 水産のまち長崎を象徴し顕在化するものとして、各漁協などの直営による水産物の直売所、料理店等の集合体(フィッシャーマンズマーケット)を設置するとともに、漁協・漁業者と食品産業のマッチング(組み合わせ)をすすめる。また、水産の素材を体験型の観光資源として活用し、インバウンド(市外から市内への流入)のセールスポイントとする。

 

② ねり製品をはじめとする本市の特色ある水産加工品の国内および海外への販路開拓を強力に進めるため、業界代表やマーケティング(市場)専門家等によるプロジェクトチームを編成する。

 

③ 農業の振興については、協業・共同を基本とした企業的経営による農業生産方式・経営方式を推進するとともに、直売所を拠点とした販売や伝統野菜・伝統果実などの加工開発による農業の6次産業化、ならびに太陽光型複合環境制御施設やいちごの高設栽培施設などのリースによる高収益型農業の推進により生産者の手取り価格を増嵩する。
 また、CCRC(Continuing Care Retirement Community: 生涯活躍のまち)による担い手を確保するため、移住コンシェルジュ(よろず相談の引き受け者)の設置やお試し生活体験施設の整備、空き家バンクの設置などの他、地産地消振興公社で農業技術、加工技術、生産物の販売支援などを行う。さらに、農水産物において、生産量や品質水準で日本一と呼べる産品の開発やブランド化を進める。

 

④ 農業生産の人手不足対策として、後継者や新規参入者の育成・確保のために必要な諸課題に積極的に取り組むとともに、非農家等による集出荷隊や農作業支援隊等を編成する。併せて、海外からの技能実習制度を十分に活用できる仕組みを創設する。

 

⑤ 産業としての農業の振興はもとより、直売所の設置・運営等により、生業としての農業に付加価値をつける仕組みをつくり、所得の向上と耕作放棄地の解消を目指す。
 併せて、農地流動化を積極的に進める。

「地球がよろこぶ都市」長崎をはじめます
 

① 国の海洋再生可能エネルギー開発の取り組みとタイアップし、地元企業の技術開発や新事業展開を促進するとともに、漁業との調整を図りながら洋上風力発電・潮流発電施設と水産資源の増殖システムを組み合わせて漁業資源の回復をはかる。
 また、国の海洋技術安全研究所を誘致するとともに海洋産業研究センターを立ち上げ、海洋関連産業の拠点づくりを行う。また、地産地消の最大の取り組みとして、市と民間企業が出資する新たな企業体を設立し、再生可能エネルギーによる地域電力の供給システムを確立する。

 

○ 人手不足の分野、職種については、金融機関と協調した基金を創設し、従業員の処遇改善のための有利な資金を貸与するとともに、海外からの技能実習生の円滑な受け入れの仕組みをつくる。

 

□ 地域住民の理解を得て、廃校になった高校や小中学校の跡地、旧開拓地、一定の面積が確保できる遊休地等を活用して、長崎市がこれまで独自に手を付けてこなかった工業団地を整備し、高付加価値型製品を産出する企業の立地を促進する。

 

★ 韓国、中国、台湾、東南アジアとの海外物流を拡大するため、小ヶ倉埠頭の港湾機能を拡充するとともに、ジェトロや海外サポートデスク(支援機関)等と連携して地場企業の海外進出を積極的に支援する。

 
※ 観光産業の振興については、「訪れたいまち日本一の長崎にする」参照。
※ 商店街の振興については、「長崎モデルの都市改革を進める」参照。

<Ⅲ> 訪れたいまち日本一の長崎にする

   (ここにもっと力を入れる!!)
 

 

「国際文化都市」長崎をはじめます

 長崎の最大の特徴は「人を呼んで栄えるまち」であり、多彩な国際交流の歴史とそれによって育まれた固有の文化を持ち、また我が国の近代化の発祥の地として、有形無形の多くの資産をもっている。
 現代の長崎に生きる我々は、いまこそこうした優れた歴史資産・文化資産に磨きをかけ、世界遺産を適切に保存するとともに新たな発展の素材として活用し、さらには、まち全体に磨きをかけながら、観光の目的地としての魅力を高めることはもとより、人が集い人が交わる交流拠点として新たな文化を発信する国際文化都市づくりに積極果敢に取り組んでいく。

 このため…
 

○ 南山手・東山手地区(蘭)、新地・籠町・館内地区(華)、中島川・寺町・丸山地区(和)をそれぞれの素材を活かし、暮らしの中に息づきながらも訪れる人の琴線に触れる営みが味わえ、体感できる特徴的な空間として創造し、いわば空気に金を落とさせるようなまち並みの再生と保存を積極的に推進する。
 あわせて伝統的建造物保存地区はもとより名勝・旧跡・観光施設などへの導線や周辺地区の景観対策を推進し、これらを横断的、縦断的につなぐ。
 また、碑の設置や文献などでの紹介にとどまっている歴史資産・文化資産を計画的に顕在化させ、生きた活用を図るとともに、文化財など優れた資源の高付加価値化と情報発信力を高める。
 さらに観光において売りとなる地区の都市計画を観光の切り口から新たに策定する。

 

□ 明治日本の産業革命遺産がなぜ世界遺産として評価されたかを教え、次の産業創造につなげることを考え得るような産業技術記念館的なものを整備するとともに、世界遺産の構成資産以外にも目本の近代化に貢献した文物を広くアピールしながらコンベンション(大会等による集客)などの誘致を推進する。
 あわせて平和祈念集会にとどまらず、長崎出身の有名なミュージシャン等が集う長崎音楽祭の定期開催や、マダムバタフライ国際大会、ドラゴンボートレース大会のような国内外に長崎が訴求力を持ち得る祭りやコンベンション(大会等による集客)を創造する。

 

□ 日本人はもとより訪日外国人の最大の目的である日本の料理を最も有効なツールとして把えて、長崎ならではのグルメ三昧をこしらえ、長崎の食文化と併せて国内外に徹底的に売り出す。
 また、水産のまち長崎を象徴するものとして各漁協などの直営による水産物の直売所・料理店などの集合体(フィッシャーマンズマーケット)を設置する。
 さらにハラール(イスラム法の要件を満たした食品)に対応する取り組みを促進する。

 

□ 長崎の特長である海を活かし、親水性のある広場・公園やプロムナードを整備するほか、長崎港内のクルーズや海上交通船を運行する。
 また、国際クルーズ船の2バース化を推進し、日本一の国際クルーズ都市をめざすとともに、オーバーナイトクルーズやクルーズ船の準母港化を実現し、旅客の市内での滞在や観光消費の拡大ならびに補給拠点化の推進を図る。

 

□ 長崎の文化を成熟させ、楽しさやゆとりなど心の豊かさを充足させるまちづくりを進めるとともに、旅館業法や建築基準法などの規制を緩和する特区指定を受け、長崎で住みやすく滞在しやすい多様な受け皿を整備する。
 さらに将来的には、グローバル企業とグローバル大学とのコラボ(連携)での立地をめざす。

 

★ 人を呼んで栄えるまち長崎の再生のためには、都市機能の充実や長崎ブランドの醸成、情報発信の多角化など総合的な取り組みが必要であることから、官民学が一体となって観光・交流の推進を一元的にマネジメント(統轄)する長崎市版DMO(Destination Marketing/Management Organization : 観光振興のために関係機関を結集した推進母体)を早急に立ち上げる。

 

○ 稲佐山山腹駐車場から山頂展望所までの新たなパークアンドライド(自家用車から公共交通への乗り換え)の仕組みをつくる。また、世界新三大夜景に付加価値を付けるため、観光施設や長崎港の護岸部のライトアップを行う。

 

□ 新たな目玉となる観光施設として、フランス政府の協力を得てニューヨークの自由の女神像の姉妹像としてほぼ等身大の「平和の女神像(仮称)」を国際観光船のランドマークとなるよう付帯施設と併せて伊王島に設置する計画を進める。設置運営主体は民間の賛同企業等で財団を設立して資金を確保し、行政は手続き等について後方支援する。

 

□ 医療、学校、飲食、就労等がビザなしでできる国際特区の設置を「21世紀の出島構想」として実現に向け取り組む。

 

★ キリスト教関連世界遺産のまちとしての長崎らしいクリスマスイベントや、ビール発祥の地としての長崎らしいオクトーバーフェスタ、大道芸等でにぎわうフィッシャーマンズマーケットや出島ワーフでのパフォーマンス、元船町や水辺の森での大型屋台村など、長崎港バザールの定期開催等、世代を超えて楽しめるイベントや場所を創造する。

 

★ 世界の観光都市として、世界基準から圧倒的に遅れている広域「Wi-Fi」に代表されるインターネット機能を整備する。また、民間ホテルのインテリジェントビル(情報の受発信機能持つビル)化を促進する。

 

○ 旅館・ホテルの経営改善への支援と新たな就業形態の仕組みづくり等を促進し、観光客等のニーズに合った設備投資を誘発するとともに、国際水準のホテルの誘致に取り組む。

 

★ 大黒町の現交通産業ビルを、県営バスターミナルの移転後改修し、オフィスやホテルと併せて郷土の伝統芸能を継承し発展させるための発信機能を有した新たな観光施設となる保存・展示館を設置する。

<Ⅳ> 長崎モデルの都市政策を進める

   (ここにもっと力を入れる!!)



 都市政策については、長崎のまちに磨きをかけることが自分たちの生活にどうプラスになるかを説明しながら、人と方策を明確にして実施すべきプログラムを編成する。
 長崎の都市再整備は、これまでいろいろ構想は描かれたものの、なかなか実現しないことが閉寒感を招いているとの反省に立ち、行政も一定のリスクを負うとともに、全体の財源をどう生み出すか切り口を考えながら、いわば市民力を結集する形で積極的に槙進する。
 また、専門委員制度の創設など、地域や地区の特性を分析し評価する姿勢を強化し、残すべきもの、変えるべきもの、空間の高質化を図るべきもの等を区分けしながら長崎モデルの都市政策をすすめ、バリアフリーの住みたいまち、住み続けたいまち長崎にする。
 次の施策および〈Ⅰ〉、〈Ⅱ〉に掲げる施策を推進することで、長崎市の現在の合計特殊出生率1.48を1.87以上にするとともに、若年層の転出超過数を0にする。


 このため…
 

○ 南山手・東山手地区、新地・籠町・館内地区、中島川・寺町・丸山地区など、日常的な生活にとけ込んでいる観光地については、それぞれの素材を活かしながら、訪れる人の琴線に触れる営みが味わえ、体感できる特徴的な空間として創造し、いわば空気に金を落とさせるようなまち並みづくりを行う(「訪れたいまち日本一の長崎にする」参照)。
 また、唐人屋敷顕在化事業を積極的に推進し、市場跡地の公園化をはじめ、歴史を活かしたまちづくりを早期に実現する。

 

○ 長崎の特徴を示すキーワードは歴史と港であることから、伝統的建造物保存地区はもとより、名所旧跡などの高付加価値化とともに、碑の設置や文献などでの紹介にとどまっている歴史資産・文化資産を計画的に顕在化させる。
 また、ウオーターフロント(水辺)広場や親水性のあるモール(歩行者空間)などを整備するとともに、個々の素材をつなげる(ステッチング)歩いて楽しい動線を整備する。

 

□ 中心市街地や幹線道路沿いの商業地域・住居地域ならびに主要な商店街については可能なかぎり市街地再開発事業などを実施し(新大工町再開発事業、浜町地区再開発事業に加え、新たな再開発事業により拠点整備を図る)、土地利用の高度化とオープンスペースの創出をはかる。
 長崎駅前の交通産業ビルの一角は九州新幹線西九州ルートの開業に合わせて再開発を行う。
 また、松ケ枝の観光船埠頭の2バース化を推進し、小曽根・浪の平地区の臨港部を浪の平小学校の跡地活用も含めて市民が集う親水性のある公共空間として整備する。
 さらに主要幹線道路において慢性的な交通渋滞のボトルネック(原因となっている)箇所については、国・県の道路改良を積極的に促進する。

 
 斜面地の住宅地は、生活がしづらい・不便という状況を個々的に改善していくという姿勢よりは、歩きながら楽しめる居住地であり、長崎の個性と特長を最も発揮するフィールドであるとのより能動的な基本認識のもとに、空間都市、立体都市として全国の先駆けともなる斜面地の積極的な活用を図る。
 

□ 新たな発想による規格での多様な車道の整備とあわせて、1ヘクタール程度の複数の敷地をまとめて活用する特長的な面整備を新たなコミュニティの場の創造ということも含めて計画的に推進する。
 これらの新たな居住地を市内にエリアを分けてモデル事業として整備し、その普及拡大につなげる。

 

○ 斜面地の居住環境に合わせて、外国に見られるコストの安い水平トンネルと地中(垂直)エレベーターの設置をモデル事業として実施する。

 

★ 車みちなどタテの車道整備と併せて新たな歩道整備手法による横道と駐車場を整備する。

 

★ 空き家バンクを創設し、貸し借りの中間管理を通じて市内の転居者や他都市からの移住者の住居に活用するとともに、シェアハウス(共用利用の借家等)や長期間の民泊施設にも活用できる新たな枠組をつくり、観光都市づくりにもつなげる。
 また、使われる可能性が高く、残せる空き家については残して活用するため、空き家をはしめとする低活用不動産の問題を解決するための窓口を官民連携で設置し、地域内で不動産を活用する仕組みを創設する(相談を受けた空き家、または空き家になる前の家屋について、一定の機関で適正な処方箋を作成し、所有者の意思決定を支援すると同時に、必要に応じて専門家に繋ぐという仕組みをつくる)。

 

□ 乗り合いタクシーやコミュニティバス(地区内の乗り合いバス)の積極的な推進と、デマンド交通(自由に乗降できるシステム)の総合的な導入を図るとともに、車道や他の交通補助手段の整備が困難な区域の住家については、他の事業と組み合わせて、一定の要件のもとに居住に便利な市街地への移転を促進する新たなPFI(Private Finance Initiative: 民間主導による公共事業の実施形態)のシステムを創設する。

 

★ この他、危険家屋などについて空き家特措法を積極的に活用するとともに、自勤手すりを各所に設置する。

「使えるお金が増える都市」長崎をはじめます

 公営住宅などの整備・活用については、従来型の一般世帯向けを中心とする整備は景気動向やニーズを踏まえ、必要性を吟味しながら進めることとし、特に雇用の促進や多様な社会的課題に奉仕することを目的とする住宅供給の視点から新たな手法や仕組みを構築しながら推進する。
 

① 企業と連携して当該社員を優先人居させる新たな公営住宅を整備するとともに、企業の社宅建設にインセンティブ(実利を伴ううまみ)をあたえ、雇用の促進をはかる。

 

② 子育て世帯向け、高齢者世帯向け、障害者向け、独身者向けなど多様なニーズに対応する公営住宅をこれまでの数倍規模で整備する。
 特に子育て世帯向けには、標準3DK、家賃3万円以下の住宅を毎年500戸ずつ整備、供給することで、住宅費の負担を軽減し、可処分所得を向上させることで市内への定住を促進する。

 

③ 郊外の現行公営住宅の空き部屋については、民泊施設や企業の従業員宿舎、企業の一括管理によるサービス付高齢者専用住宅などとして活用する。

 

○ 三菱幸町工場跡地や下水処理場の廃止後の土地利用については、民間資本を活用し、ラグビー、サッカー、バスケットボール等のスタジアムやアリーナ等を、他の集客施設や居住施設等と合わせて建設し、新たな賑わいと交流の拠点を創出する。

 

○ 長崎駅と長崎港(大波止)をつなぐ旧鉄道通りを、歩いて楽しい高質な賑わいのあるウォーターフロント(水辺)通りとして整備する。

 

□ 長崎市全体のまちづくりの起点は長崎港であることから、戦後、長崎県に引き受けてもらった長崎港の管理権限を市に戻し、まちづくり事業の抜本的なビジョンを策定し、市の一貫した考え方で国・県の協力を得ながら、計画的、長期的に進める。

 

★ 生活の安全・安心を守るため、急傾斜地崩壊防止対策事業や砂防事業等の公共事業を、これまでにも増して 推進するとともに、防災まちづくりに力を注ぐ。

<Ⅴ> 市内各地区毎に住んで良しのまちづくりを加速する

   (ここにもっと力を入れる!!)

 
市民総幸福量指標を向上させます

 住んで良しのまちづくりは、そこに暮らす人たちが自ら地区の課題や問題を整理し、その解決に向けて自ら取り組んでいくこと、行政や関係機関と連携して取り組んでいくこと、行政や関係機関の主体的な取り組みを促進すること等にその手法を分類しながら前進することが基本になる。
 また、地域での暮らしの楽しさやふれあいなどの内面的な価値の充実を図ることや、地域の暮らしの安全・安心を確保していくための支え合いは、地域の共助、コミュニティの力を高めていくことが必要である。
 そうした観点から、市の施策の推進にあたっては住民と行政との協働を基本としたうえで、住民の内発力を高めつつ、より快適な居住地周辺環境の主要な整備を中心にこれまでにも増してスピードを上げ取り組んでいく。
 また、市の周辺部に位置する合併地区は、人口減少社会において安定した居住が継続できる方策を講ずべきは急務である。
 このため、合併地区については、合併時の市町村建設計画の実現度を検証するとともに、歴史文化やシーズ(振興の芽や種)を分析し、人・物・ことの資源を再生産するための仕組みづくりを行いつつ、都市部にはない生活の豊かさを実感・体験できる暮らしの実現を目指して所要の事業を実施する。
 これらのことを前提として、ここではこれまでの県・市の取り組みを踏まえながら、住んで良しのまちづくりを加速するための方策の一部を掲げる。

 このため…
 

① 成熟社会、人口減少社会にある我が国はかつての高度成長は見込めないことから、未だ長崎に不足しているGDP(国民総生産)を基調とした産業力の強化を進めながらも、一方で、GNH(国民総幸福量指標)社会をつくることを念頭に置いて、教育、健康、医療、コミュニティ、余暇活動等の生活環境の整備を市民の総合力で取り組む市政運営を行う。
 

② 市内各連合自治会ごとに住民主体で10年後を見据えた「めざせわがまちの10年計画」を策定してもらい、当該計画をベースに市として実施すること、支援することを着実に取り組む。
 また、住民の発意によるコミュニティ活動等については、毎年モデル事業を採択して実施のために必要な経費を助成する。

 

③ 自治会等が毎年要望している居住地周辺の身近な環境整備については、予算を特別枠として増分し、これまで以上に量的な整備を計画的に実施する。

 

④ 地域の福祉力、教育力、防災・防犯力等を高め、これまで行政が主導してきた地域運営のあり方に代わる新しい公共の形づくり(Ⅵ「自立発展する新しい自治をつくる」参照)の実現に向けた所要の方策を実施する。
 また、特に周辺部においては、地域住民の支え合いと活性化のための取り組みを牽引する小さな拠点づくりを推進する。

 
 市内を中央部地区、東部地区、西部地区、南部地区、北部地区にゾーニング(区分け)し、それぞれの立地条件に合わせて必要なインフラ(基盤)整備やこれまでの課題解決を図るとともに、新たに住み良さに資する便益度を 向上させる事業を実施する。

<中央部地区では例えば>

○ 南山手・東山手地区、新地・籠町・館内地区、中島川・寺町・丸山地区等で長崎のまちと歴史文化に磨きをかけるまち並み整備事業を重点的に実施する(Ⅲ「訪れたいまち日本一の長崎にする」参照)。
 

□ 中心市街地や幹線道路沿いの商業地域・住居地域、並びに主要な商店街については、可能なかぎり市街地再開発事業を実施する(Ⅳ「長崎モデルの都市政策を進める」参照)。
 

□ 斜面地については、空間都市、立体都市として全国の先駆けともなる多様な方策を講じ、斜面地の有効活用を図る(Ⅳ「長崎モデルの都市政策を進める」参照)。
 

★ その他
 

・ 銅座川プロムナードの整備に伴う歩道の利活用については地域住民の意見を反映させるとともに、雨水対策について計画的に施工する。
 

・ 大井手川について環境と景観に配慮した改修を実施する。
 

・ 新地町稲田町線他、市道の幹線道路整備にスピードをあげる。
 

<東部地区では例えば>

★ 東長崎土地区画整理事業をスピードを上げ、東長崎縦貫線の完成年度を前倒しする。
 

★ 新幹線や高速道路の建設に伴う工事用道路を市道に引き継いで供用するとともに、国道34号の拡幅改良を国に強く要請する。
 

○ 茂木地区において、市内中心部への複数の幹線道路整備を県に強く要請するとともに、道の駅、市営住宅、中央公園等を整備する。
 

□ 東長崎地区に子どもたちのクラブ活動や各種大会が開催できる体育館を整備する。
 

★ 主要地方道野母崎宿線の一刻も早い全線改良を県に強く要請する。そのために必要な市の国土調査事業を前倒しで実施する。
 

<西部地区では例えば>

★ 国道202号福田・大浜間の歩道改良の早期実現と福田バイパスを計画路線としてオーソライズ(確立)するよう、県に強く要請する。
 

○ 県立式見高校の跡地を市営住宅として整備するとともに、市道相川町四杖町1号線を早期に完成させる。
 

□ 斜面地については、空間都市、立体都市として全国の先駆けともなる多様な方策を講じ、斜面地の有効活用を図る(再掲)。
 

<南部地区では例えば>

★ 長崎外環状線の早期完成を促進するとともに、国道499号小ヶ倉交差点の立体交差化を県に強く要請する。
 

★ 市内中心部への複数の幹線道路整備として、市道土井首町磯道線の改良を急ぐ他、県道深堀三和線の残区間の整備を県に強く要請するとともに、市も一体となって進める。
 また、戸町2丁目、上戸町間の一方通行道路の解消を図る。

○ 国道499号沿いの土地の利活用を促進し、店舗、病院等、生活便益施設を誘導する。
 

<北部地区では例えば>

★ 長崎南北幹線道路の早期実現を国・県に対し強く要請するとともに、大橋・道の尾交差点間の交通渋滞を緩和するための新たな方策を積極的に検討する。
 

★ 虹ヶ丘西町1号線他、市道の幹線道路整備にスピードを上げる。
 

□ 地域バランスを考慮しながら、ふれあいセンターや三世代が交流する場を創設する。
 

<合併地区では例えば>

★ 琴海地区において、地域高規格道路西彼杵道路の建設を促進するとともに、県道神浦港長浦線の改良を県に強く要請する。
 また、琴海形上海浜公園の整備計画を早急に具現化するとともに、高潮対策事業の実施を促進する。
 

★ 外海地区において、世界遺産登録地の受け入れ環境の整備とともに、外海の優れた景観を創り出している営みを支援し、その付加価値を高める。
 また、市内中心部と結ぶバスの最終運行時刻を繰り下げる。
 

○ 三和地区において、国道499号および野母崎宿線の改良を早期に完成させるとともに、為石浄水場の用途廃止後の土地利用について、南部地域の活性化と広域利用に資する施設整備を行う。
 

○ 香焼地区において、新たに市営住宅を整備するとともに、中央部の幹線道路の改良と雨水対策を実施する。また、落矢ダム水源の小ヶ倉ダムへの送水事業を早期に完成させる。
 

★ 伊王島、高島地区において、大波止-伊王島-高島航路を存続させるとともに、伊王島のコミュニティバスを香焼の安保まで延伸する。
 あわせて、地元の資源等を活かした交流による新たな賑わいの場を整備する。
 

★ 野母崎地区において、田の子および脇岬の更なる活用計画を早急に策定し、交流による新たな賑わいの場を整備する。
 あわせて、廃校となった野母崎高校や小学校の跡地を地域振興や定住の促進に資する場として再整備する。
 

<Ⅵ> 自立発展する新しい自治をつくる(計画全体を実現するための仕掛けづくり)

   (計画全体を実現するための仕掛けづくり!!)
 
新しい自治体運営の仕組みをつくります

 行政がひとり公共サービスを担うこれまでの自治体運営の仕組みを根本から改革し、住民・企業・団体・行政のベストミックス(最良の組み合わせ)によって自治体運営を行う「新しい公共」のかたちをつくるとともに、住民が公共サービスの受け手となるだけでなく、公共的サービスの立案者、提供者といった自治の担い手として参画する、真の意昧での住民による自治社会の実現をめざす。
 こうした「新しい公共」のかたちづくりを通じて、急激な少子社会の進展や国の財政状況に左右されない自立発展する長崎を確立する。

 このため…

1.市民ファーストの目線で市役所を大改革する(長崎からの大改革)

★ チープガバンメント(小さな政府)の観点から市内各部署の定員・定数を含めた組織体制と仕事の仕方等を総点検し、徹底した効率化と少ない人数でもリスク(危険への負担)と覚悟をもって、市民のために成果を生み出す仕事の仕方に変える。
 

★ 補助金と人件費を含めた内部管理経費をゼロベースで見直し、市民に対する税金の所得配分機能を最大化するとともに、見える市政、開かれた市政としての説明責任を果たす。また、これらを通じて政策投資予算の総枠を拡充する。
 

★ 各ポストの役割と責任分担を明確にし、内部の意思決定等のためのいわば仕事のための仕事を無くすとともに、政策官庁としての機能を高める。
 

★ 国の特区制度を活用して規制緩和を進め、民間の自由な発想による経済活動や市民活動を助長するとともに、補助金の確定や請負業務に関する監督事務等を省力化する。
 

★ 出先の支所と行政センターを、一部の窓口業務だけしか対応能力のない地域センターと、専門業務を一定所管する総合事務所に再編することは、とりわけ合併地区への行政サービス機能を相対的に低下させるとともに、全体数としての職員数の削減が目的化しており、これらのことで住民の理解が得られていないことから、再度仕切り直しをする。
 

○ 市民の各種申請・相談等に対応する窓口はワンストップ(一箇所に集約)化し、かつ、守秘義務の確保等への対応に配慮しながら順次外部へアウトソース(委託発注)し、人件費を削減する。
 

★ 全般的な窓口業務や予算執行権限を高める政策予算の市内各支所への再配当と所要の人員の配置など、支所機能を拡充することにより、本庁舎での業務量と人員を削減するとともに、人口減少社会や新たな公共の仕組みづくりを進めることを念頭に置き、新市庁舎は最小限の規模にとどめ、経費を大幅に削減する。

2.新しい公共の形をつくる

□ 各施策分野ごとに関係する公益的団体の政策立案機能を高めるとともに、一定の財源配分により自主的な公益的サービスや事業の実施を促進する。
 あわせて、市職員を当該公益団体に出向させるとともに、計画的に割愛人事に移行する。
 

★ 行政が仕組みをつくり、民間が仕掛けをつくるという方策を普及させ、民間主導による行政との協働事業を推進する。
 あわせて、地域のコミュニティを一層活性化し、地域課題への住民の主体的な取り組みを促進する。
 

□ 指定管理制度で管理者を選定し委託費を支払い運営している多くの施設について、民間の企業や団体に移譲する。
 

□ 子育て支援や高齢者福祉、介護、暮らしの安心・安全の確保等において、共助を基本として時代に適応した、かつ財政支出を軽減する新しい仕組みを構築する。
 

上記1,2を通じて、また後述の大型施設の建設計画の見直しを通じて、このマニフェストに掲げる新たな事業や方策の財源を捻出し、計画的かつ着実に実施する。

<Ⅶ> 話題の施設建設にはこう取り組む

 田上市長の主導で、市の膨大な財政支出を伴う市丸抱えのMICEの建設に向けた取り組みや、公会堂の即時 解体及び跡地への市庁舎建設の取り組みが進められており、現時点において私として如何ともし難い状況です が、参考までに私の考えと主張を以下に述べる次第です。

1.MICE問題

MICE計画を凍結し新しい対策を講じます

 MICE(Meeting Incentive Trave1 Convention Exhibition/Event:大規模なイベント施設)の建設にあたっては、単に交流人口の拡大を目指す都市の標準装備と考えるのではなく、施設の建設・運用において総合的な経済効果をどう作り出すか、生み出すかを考え、そのための受け皿や仕組みを構築することが先決であるが、肝心なこのことについて市の議論がない。加えて、市長が考えているMICE施設の建設は巨額投資であり、維持補修費、誘致活動費など多額の運営費を要し、市は赤字財政に転落する(長崎市自体の推計)。ましてや建物建設に係る多額の借入金の毎年の返済額(元利償還金)や建物の減価償却費が全く計上されていないのは、市民への説明責任として問題である。
 また、人的交流を産業・振興などのシーズ(芽や種)にすることが大切であり、集客目的だけでは一過性に終わるが、かかる観点からMICEを有用とするための議論もない。
 さらに、現在、市長や市の幹部が考えているようなメッセ(展示場)を中心とするフラット型の施設は、長崎のマーケットカから見て嫁動率を上げることは困難であると思う。
 他方、欧米の都市においては第一級の観光資源を揚げてコンベンション(会議、大会等)を誘致し、まち中にフラッグなどを揚げ、多様な既存施設をうまく活用し、いわば、まち中全体がコンベンションの舞台としての仕掛けによってコンベンションの意義を表現し、賑わいと経済効果をつくり出しており、決して囲い込み型の一大施設だけに限定されるものではない。
 そうした観点からは、長崎市内には大学、県立体育館(カブトガニアリーナ)、ホテル、水辺の森公園、ブリックホール、市民会館、原爆資料館など集客可能な施設が多数存在することから、これら既存施設をうまく連携し活用することで一定国際規模のコンベンションも開催することが可能であり、既存の施設をブラッシュアップ(磨き上げ)し、長崎の産業や特性を素材として交流人口の拡大を目指すことが有用である。
 また、こうしたやり方が、地元の多くの人たちが直接運営に携わることにもなり、人を呼んで栄えるまち長崎の再生の原動力ともなり、本来的な経済効果を生み出すものである。
 MICE施設という箱物をつくり、集客や運営をよその人に任せようとする考え方は地元の振興にはつながらない。
 以上の観点から、稼働率や採算性の低さが強く指摘される中、市が直接市民の税金により巨費を投じて建設し、運営を他都市の業者に委ね、そこに利益を吸い取られるようなやり方は見直すべきである。
 高度経済成長期以降、地方自治体がこぞって要望し建設が進められてきた地方空港の二の舞にしてはならない。
 ただし、長崎駅前の土地区画整理事業用地内に民間のホテルを誘致し、当該ホテルがコンベンション施設を設けることに市としても一定の可能な補助メニューで助成し促進することは防げない。
 MICE問題については、観光客増の延長線上の発想ではなく、外部からの知恵やノウハウや高度技術等が集まり、革新的な産業振興の拠点とする視点こそが重要である。
 私としては、こうした観点から現計画を凍結して次のことを提案し、市勢の発展のために全力でその実現を目指したい。
 第一に、隣接して建設される予定の民間ホテル内に設けられる会議場、展示場との競合や、近く決定される場合に圧倒的な規模で国際水準の会議場、展示場を有することになる佐世保市(ハウステンボス)のIR施設(統合型リゾート施設)との競合の中で、どれだけの稼働率を上げ得るか判らない。また、単に交流人口の一部上乗せの意味しか持ちえない会議場、展示場をつくることに長崎市民の税金を約200億円以上もつぎ込むような市民の負担を顧りみない計画を、根本から改め、長崎市の発展に資することはもとより、わが国全体としても産業の振興につながる特別の意義を持った施設整備を国の事業(国立)として実施する。そうすることで、県の参画も得、市の財政負担を格段に減少させる。
 第二に、当該施設は長崎のポテンシャル(潜在資源)を活かした「アジアに開かれた科学技術の殿堂」としての意義を持つような「国立科学技術館(仮称)」または「国立科学ミュージアム(仮称)」とする。
 科学技術館は、「医療」、「海洋」、「造船」の3つのテーマによって構成し、それぞれの近代史や現代の先端技術、将来に向けたパイオニア的な取り組み等を一堂に紹介するとともに、実際に専門家の研究開発の場とする。
 こうした枠組みの中で、国際会議の開催や、児童・生徒・学生の研修、専門家や関係者の研鑚の場として活用する。専門家や関係者は国内だけでなく海外、特にアジア各国からの来訪も引き寄せる。
 現行のMICE計画からこうした発展的な計画に衣替えし、その実現に市民の理解と国・県の協力を得て実現に全力で取り組む。

 現行計画の変更はまだ間に合う!
    (平成30年9月現在)

2.公会堂問題

 長崎市が交流人口を拡大するためのコンベンション都市づくりを目指すとしながら、コンベンション施設である公会堂をつぶすというのは全く矛盾している。
 また、代替施設の建設の目途も立っていない中でクローズ(閉館)し、市民の利用を遮断したことは、仮に今後代替施設が建設されたとしても、その間の市民の逸失利益は金額に換算して相当な損失額(マイナス額)となる(例えば10年後に代替施設がオープンするとしてもその間約50億円を捨てることになる)。
 また、公会堂は市民会館とセットで活用できるメリットや、近い将来重要建造物としての評価を得ることができる長崎の戦後復興のメモリアルホール(記念施設)としての価値ももっていた。
 長崎の都市経営のあり方について新たなビジョンを持ち得ていない今日、国際文化都市長崎の建設という従来のビジョンに立ち返り、長崎の新たな再生を図ることが大切であり、そうした意味からもメモリアルホールとしての公会堂は一定修復しながら直ちに活用を再開すべきであった。
 また、かかる市の重要施設の取り扱いについてはエビデンス(実態把握)をしっかり確めたうえでオープンな議論をし、市民の合意形成をはかるべきである。
 にもかかわらず、市長は市民の賛否を問うことができる住民投票条例の制定に反対し、市議会も否決し、さらには用途を変更して公会堂の解体予算を計上し、新市庁舎の建設に向けて踏み出したことは、将来に大きな禍根を残すばかりか、市民目線において行政運営の手続きが間違っている。

3.市役所新庁舎問題

現行の市庁舎計画は中止し未来へ向け意義のある代案を示します

 まず公会堂を解体し、その跡地に都市計画を自ら変更してでも市庁舎を建設するという考えは捨て去るべきである。
 そのうえで具体的には、県の理解と協力のもとに県の一定の財産活用を行うことを前提として、県庁舎跡地に出島とつなぐ公共スペースや県民・市民が利用できるホールなどと複合して市庁舎を建設することを県市で協議すべきである。
 なぜなら、県庁が移転した跡には本館だけでなく、別館、新別館、県警本部棟、その他の県有施設や民間借上げビルが残り、一体が空洞化することを防止する意味からは市がこれらを活用することが望ましく、そうした意味からは、市の新庁舎は県庁の本館跡地だけに限定せず、新別館と県警本部をつなぐ一帯のエリアを候補地 として検討することも一考できたのである。
 にもかかわらず、県庁跡地への市庁舎の建設について、市民の賛否を問う住民投票条例の制定に反対し、市議会もこれを否決したことは、公会堂問題と同様長崎市の将来に禍根を残すのみならず、市民参加の市政運営を 否定したものとして許されない。
 私としては、県庁跡地はこれまでの長崎市のまちの成り立ちに特別の歴史的意義を持っており、これからも長崎市のランドマーク(目印)的な場所としての意味合いを持たせるためには、市民の公共用財と公用財の両機能を併有する施設整備を行うことが土地活用あり方として最も望ましいと考えている。
 即ち、長崎市の新市庁舎と県庁舎跡地活用懇話会の提言にあるホール機能を旧公会堂の代替施設としての市民文化ホールとして位置づけ、両者を合築することである。
 先ず、県有地である土地の取得は県・市の連携・協調により市有地との交換、あるいは県からの借り上げ(参考:県立体育館(カブトガニアリーナ)の土地は市有地)により賄い、日生ビルと近い将来の旧県警本部跡地も同様の手法による活用を考える。
 そのうえで、「市民ファーストの目線で市役所を大改革する」の項で述べたとおり、人口減少社会や新たな公共の形づくりを念頭に置くとともに、市の機構を再構築することで新市庁舎は最小限の規模にとどめ、建設コストを現在の計画より大幅に削減する。
 新市庁舎のつくりをこうしたスキーム(枠組み)で行い、江戸町公園の敷地も取り込んで市民文化ホールをこれに連続させ(合築し)、新庁舎と文化ホールの建物の仕様・意匠を出島の景観とマッチさせ、外観を日本の伝統的な建築様式とする。
 現在すでに公会堂跡地での新市庁舎建設の基本設計作業が進んでいるが、長崎のまちづくりの百年の大計として市民の理解と協力を得て現計画を改め、県庁舎跡地での整備を目指したい。

 現行計画の変更はまだ間に合う!
  (平成30年9月現在)

4.BSL4(最も危険な病原体を扱う研究施設)問題

 長崎大学坂本キャンパスにエボラ出血熱ウィルスなど最も危険な病原体を扱うバイオセーフティーレベル4(BSL4)施設を設置する計画が進んでいる。
 しかし、多くの市民は理解も同意もしていないことは明白であり、BSL4施設を住宅地に設置することは次の理由により基本的には反対の立場である。
 第一に、国は万一の事故が起こったらすぐ職員を派遣するとしているが、それでは住民の健康被害は間に合わない。そのため、長崎は常に不安と背中合わせして生活する街となり、市民の精神的不安は24時間連続し、市民のやすらぎは守れない。
 第二に、世界最高水準の安全施設にするとしているが、実験室のHEPAフィルター(高効率粒子含有空気濾過膜)では排気中のウィルスを完全に防ぐことはできず、大気中に拡散し、市民に伝染する危険が高いと専門家が指摘しているが、この施設でエボラの治療はできない。
 第三に、国内非存在の最高度に危険なウィルスを人為的に(故意に)輸入し保存する必要はなく、BSL4施設は国際協力のもとに、流行地に施設を建設し、病原体を国際的(WHO)管理下に置くべきである。 
 第四に、現在、東京都の武蔵村山市にある国立感染症研究所のBSL4施設が稼働中であり、エボラ出血熱などの診断法も確定している。
 第五に、日本の富山化学工業が開発した新薬ファビラビルがエボラウィルス病に有効である可能性が示唆されており、既に西アフリカで臨床試験が進行中である他、東京大学やアメリカ、カナダの研究所等で数種の有効なエボラワクチンが開発され、それぞれ臨床試験が進行中であり、実用化が期待されていることなどから、これらの施設以外に最高度に危険な病原体の国内拡散と生物災害を発生する危険性を冒してまで、あえて長崎大学でこの種の病原体を取り扱うことが必要不可欠とはならない。
 第六に、住民の基礎自治体として、安全義務協定やバイオ施設規制条例の制定、環境アセスメント、ハザードマップ(危険地区を示した地図)の作成、事故による健康被害への市民への補償制度等、何もしないまま国の関与に委ね、施設設置を認めることは、政治や行政の果たすべき役割からして無責任である。

 しかしながら大学は、住民の理解の醸成に努め本年12月には施設建設に着工し、2021年度の稼働を目指すとしていることから、仮に施設建設が進む場合は上述した市として担うべき責務を住民の立場から積極的に果たしていく。
 (平成30年4月現在)

5.九州新幹線西九州ルート問題

 九州新幹線西九州ルートの建設にあたって整備スキームとしたフリーゲージトレイン(FGT)によるフル規格の線路と在来線の線路を併用する案が揺れている。
 FGTの耐久走行試験が途中段階で車軸等の摩耗が発見され、改良のやり直しと新たに検証走行試験が実施されたが、国の軌間可変技術評価委員会はこのままでは実用化までの次のステップには移れないと公表した。その結果、長崎・武雄温泉間のFGTの先行車と、武雄温泉での在来特急の車両をつなぐリレー方式を平成34年度に暫定開業するというこれまでの方針が大幅に崩れてしまった。
 こうした事態に対し、県や市は国の取り組みを注視するとの域を出ていないが、本市の百年の大計を考え、また新幹線建設の意義を最大限に発揮するため、本市として県とともに西九州ルートの整備スキーム(枠組み)を見直し、全線フル規格での建設に変更するよう積極的に国に強く要請すべきである。
 
 なぜなら・・・
 
 第一に、FGTの安全な技術の確立は、これまでの国の取り組み方から見て、現在の予測よりさらに先に延びる可能性があり、新幹線建設の意義を発揮できず、市民・県民に逆に負担を強いるリレー方式での運用が長期化する恐れがある。
 第二に、技術が確立できても、FGTの導入・運行経費の経済性(通常の新幹線車両の1.9倍から2.3倍)の問題がクリアーできなければ、運行主体であるJR九州は導入できないことを明確に述べているものの、そもそもFGTは新たな装置が多く、経費削減の見通しは現実的に困難である。
 第三に、JR九州が仮に運行しても、本来目指している新大阪までの直行運転については、FGTの速度が遅いため、JR西日本は開設が難しいと主張している。仮にダイヤが編成されてもいわば鈍行のため利用者のニーズが発生しない。結局、現実的には乗り換えになる。
 第四に、武雄温泉・肥前山口間は新幹線建設スキーム(枠組み)として複線化を行うとされているが、平面での複線化には地元住民の反対が強く、整備が大幅に後ろ倒しになる可能性が高い。
 また、武雄温泉と新鳥栖のアプローチ線(切り替えの導入レール)の建設についてもFGTの開発遅れにより見通しが不透明であり、これが建設されない限りFGTの運行は不可能である。すなわち、リレー方式での運行の長期化が見込まれる。
 こうしたことから、FGTの開発は断念し、フル規格での建設に切り替えるよう、国に強く主張することが必要である。新たに国や佐賀県の財政措置が必要となるが、今回の経緯を踏まえて整備新幹線の財源のスキームを見直すとともに、佐賀県の支出については本県も一定の負担をするなど、現行制度にとらわれず検討すべきである。
 (平成30年4月現在)

6.小中学校の統合問題

 長崎市教育委員会は、市内の小学校36校、中学校25校に及ぶ大規模な小中学校再編計画を発表した。このうち、少なくとも小学校16校、中学校11校の廃止が検討されている。今後、地区ごとの住民説明会をつうじて協議が整い次第、速やかに進めるとしている。
 しかし、小規模校には一長一短があり、ひとだび廃校にするとその地域に子どもを通わせることができなくなり、子育て世代が流出して長期的に見るとその地域は衰退に拍車がかかる恐れがある半面、学校があれば子育て世代が戻ってくる可能性もある。また、学校は地域のコミュニティを活性化する役割も担っている。
 さらに、小規模校でも学科によっては例えばスクールバスで児童を集め、大人数で授業をする機会をつくることや、情報通信技術で各学校の授業をつなぐといった方法もある。
 安易な数字合わせによる、また、財政の効率化を優先する学校の統廃合は対処療法的で、人口増加にはつながらない。
 いきなりこうした計画を発表するのではなく、他の選択肢も含め、多様な問題について地元との丁寧な協議を重ねる中で整理すべきであり、拙速な取り組みは厳に避けるべきである。

<Ⅷ> 目標達成のためのベンチマーク(指標)

合計特殊出生率 H28        H31          H38
1.47  ⇒  1.56   ⇒   1.87
市総合戦略の数値を基にH38は
県のH31の目標値をさらに延伸する
若年層の転出超過数 H28                      H38
1,247人  ⇒       ⇒   0人
県の目標値を置換するとともに
新たな施策の推進により0人とする
大学新卒者の市内就職率 H26         H31         H36
41%  ⇒   51%   ⇒  61%
市総合戦略の数値
(5年間で10%増)を延伸
高校新卒者の市内就職率 H26         H31         H36
61.6% ⇒  70%  ⇒  75%
市総合戦略の数値を基にH32からは
年1%の増で延伸
市内への移住者件数(累計) H26         H31          H36
3件   ⇒    56件   ⇒   132件
市総合戦略の数値を基にH32からは
県の数値に置換
(1件を2人で計算)
誘致企業による雇用計画数(累計) H26        H31           H36
772人 ⇒ 2410人   ⇒ 4867人
市総合戦略の数値を基にH32からは
その1.5倍増
創業件数(累計) H26        H31           H36
108件 ⇒ 150件  ⇒   750件
市総合戦略の数値を基にH32からは
県総合戦略の数値目標年120件を
延伸
従業員4人以上200人未満の
事業所の製造品出荷額
H25          H31         H36
1020億 ⇒ 1020億 ⇒ 1099億
市総合戦略の数値を基にH32からは
毎年1.5%の伸びを目標とする
1戸あたりの農産物販売額 H26           H31             H36
3824千円⇒ 4033千円 ⇒ 4451千円
市総合戦略の数値を基にH32からは
5年間の増加額を倍増する
沿岸漁業者1人あたりの
漁業生産額
H26            H31           H36
6599千円⇒ 7589千円 ⇒ 8797千円
市総合戦略の数値を基にH32からは
その基礎数値年3%増を延伸
観光客延べ数 H26           H32           H37
631万人 ⇒ 710万人 ⇒  800万人
市総合戦略の数値を基に
H33からは県総合戦略の数値の伸びに
置換し目標
観光消費額(総額) H26          H32         H37
1246億 ⇒ 1600億 ⇒ 1900億
市総合戦略の数値を基に
H33からは県総合戦略の
数値の伸びに置換し目標
国内外のクルーズ客船の
市への入港数
H26        H32           H37
68隻  ⇒  200隻   ⇒  250隻
市総合戦略の数値を基にH33からは
更に50隻増を目標とする
ワークライフバランスに
取り組んでいる企業の割合
H26         H31           H36
60.6% ⇒  69.3%  ⇒  80%
県総合戦略の数値
(H32から毎年2%増)
を市にあてはめ更に延伸
住みやすいと思う市民の割合 H26        H31           H36
77.6% ⇒ 80.7% ⇒  85.7%
市総合戦略の数値を基に
H32からは5年間で5%増を
目標とする
地域包括ケアシステムの
構築割合
H26        H32           H36
1%   ⇒   60%   ⇒   100%
県総合戦略の数値を市に適用
市営住宅への子育て世帯の
優先入居戸数(累計)
H27        H31           H36
100戸 ⇒ 152戸   ⇒   282戸
市総合計画の
H21.1O⇒H27.1O(目標値)を
ベースに、H31まではその増加ベース
とし、その後は増加割合を
年間2倍にする