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公共事業の適正執行の確保に関する法律の施行以来、本県においては1億円以上の発注工事については総合評価入札方式が採られています。
公共工事の品質向上をはじめ適正執行の確保と不当廉価での落札防止の目的で法が制定され、その理由をもって同方式が行われています。
入札指名を行った業者に対して施工計画書を提出させ、総合評価審査委員会で決定した評価項目や落札者決定基準に照らして配置予定技術者の能力や企業の施工能力を分析評価し、各入札業者それぞれに加算点なるものを事前に設定し、標準点を100点との合計値を入札による応札額で除し、この評価値が最も高い企業が落札するという仕組みです。
即ち、入札による落札額が最も低廉であったとしても加算点が低いために評価値が低く結果として落札できないという事例が多数生じるようになってきています。
換言すれば、最低制限価格以上での最低額を応札した業者であっても落札できないという状況が続いているわけです。言ってみれば、加算点の大きな企業がそこそこ低い価格で応札をすると殆んど高い確率で落札をすることができる。さらに言えば、入札前に発注者が決定する加算点の高い企業が落札する。「即ち、事業実績があり技術者をより多く配置できる企業=経営体質の優良な企業が大半を受注することにつながってしまう。」といっても過言ではありません。
実際、昨年度の長崎県の総合評価入札方式での契約実績はAランク企業の約7%の15社が全体の68%を受注し、逆に45%の企業が1件も受注できないといった状況です。受注企業の寡占化進められているような状況になっています。
他県の状況は解りませんが、本県ではこうした状況になっており、こうしたやり方に対して県内関係企業からは「実質的な意味で受注機会を奪うものであり、また、総合評価の方法が不透明で納得がいかない。このままでは多くの中小事業者が潰れてしまう。」という厳しい指摘がなされています。
確かに発注者側=自治体の理屈だけをもっては県内事業者はたまったものではないと思いますし、特に、緊急経済対策としての公共事業の執行であれば雇用対策や企業の経営安定化を主眼としなければなりません。基本的にそれぞれの企業ランクに応じた仕事量が発注され、結果的に各企業が一定の利益を確保しうるということが期待されなければならないと同時に、自分の努力によらない条件によって競争から排除されるということは避けなければならないと思います。
また、総合評価の方法や決定基準は発注者=自治体に委ねられていることから、形式的な理屈のみをもって発注するのではなく県内の実情を把握し、また、これまでの契約企業の状況を分析したうえで発注方式を検討するという、受注者の側、県民の側からみた作業と取り組みが求められていると考えます。
私が知事であれば、不都合なところが多い現行の総合評価落札方式は直ちに改善します。
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