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たかひら元 『県政を語る Part 2』

 『県政を語る Part 1』で申し上げたことに続き、以下の基本的な10項目について、皆様方にお訴えし、また、お約束を申し上げる次第であります。

 先ず第一に、県政の発展に道筋をつけていくために、真の地方主権の確立と道州制による新しい連邦型の国家体制づくりに邁進していくということであります。
行政がひとり公共サービスを担うというこれまでの地域運営のあり方を踏襲する限りは、県民の大切な税金が県庁を維持するための内部管理経費にばかり充当され、その結果、いつまでも国の財源や政策に依存する、いわば国の下請け機関としてのままで、本県の課題解決に主体的な取組みができないばかりか、自分たちが地域の主役であるという県民の自治能力を高めることも、また、その力を引き出すこともできないのであります。
 従来からの枠組みや制度を前提とする限り、いくら長崎県のために頑張るといっても、また、誰が知事になっても、いずれ近い将来、財政は間違いなく破綻し、本県が背負っている命題に成果を導き出すことは、例えて言えばまさに百年河清を待つが如しであります。
 こうしたこれまでのあり方を大改革して、住民・企業・団体・行政のベストミックスによって自治体運営を行う「新しい公共のかたち」をつくる。そして、住民が公共サービスの受け手となるだけでなく、公共サービスの提供者・立案者といった自治の担い手として参画する真の意味での住民による自治社会を構築する。そして、地方主権を基本とする連邦型の道州制によるこの国の新しい形づくりについても地方から主体的に発信していく。こうしたことが、本県の将来の発展を導き出す原動力になり、こうした考え方に基づいた政策運営と政策判断を行なっていくことが、大切であると私は確信いたしております。

 第二に、「県民の生活が第一」の理念に基づき、県民のくらしを守るための新たなセーフティーネットづくりのために予算を重点配分し、そうした取組みを通じて県内の内発力を高め、本当の意味で長崎を元気にし、活力を生み出していくということであります。
福祉・医療・介護・子育て・教育・食の安全安心・将来のくらしに対する備え、これらのことに対して、これまでの制度の枠内に甘んじていた取組みから脱皮して、また、行政がその物差しでサービス内容を決めるというやり方を改めて、利用者・受益者のニーズに基づいて必要な施策や事業を実施することにおいて国の制度を活用するという、本県の実態に即した県民主体の予算編成やサービス提供を行なっていくということであります。

 第三に、現下の経済不況の大波の中、全力で、また、時を置かずに本県の経済対策・雇用対策に緊急の、そして中長期の抜本的な施策を講じていくことであります。
 県内の中小零細企業の経営を守り、真面目に働く人たちの雇用を確保し、県民の生活を防衛することは、政策の優先度における緊急ということではなく、生命にかかわる問題として本当の意味での緊急であります。
 今の県政の取り組み方は、基本的に国の臨時特例交付金の活用ということにとどまっており、失業者の救済のための雇用創出目標も、とても現実の深刻さに追いつかない状況に甘んじてしまっております。
 中小零細企業の経営安定化策や円滑な労働移動を助長するための職業訓練の支援、雇用の新たな受け皿として期待される職種に対する人件費の助成など、およそ考え得るあらゆる手段を講じて緊急の経済対策・雇用対策を打っていかなければなりません。
 そして、それと同時に、もう少し長いスパンになりますが、本県の産業構造、就業構造を持続的に発展する分野にシフトさせていくことに力を注ぐことが必要であります。

 第四に、只今申し上げました3点目のこととも関連しますが、エネルギー利用の現状を変革していくため、環境をキーワードとした技術開発や技術を活かした新たな環境共生型産業と、食料自給率を格段に高めていく農業・漁業の一次産業をターゲットにした、いわば、環境ニューディール政策、食料ニューディール政策ともいうべきものを、確かな成長戦略をもって総合政策として大胆に進めていくことであります。

 第五には、住んでいる場所や地域の違いによる生活負担の格差をなくすことであります。
 離島・半島の占める割合が大きく、過疎法の適用を受ける地域が多く存在する本県においては、これまでの離島振興事業などを漫然と続けるのではなく、先ずは、これらの地域にお住まいになっている人たちの生活コストを引き下げる。例えば、船賃をはじめとする交通費や島外から移入する商品価格の低廉化、あるいは福祉サービスを受けるための特別負担の解消や教育関係費の軽減などを実現することが必要であり、そうした取り組みと併せて、財政の所得再配分機能によって地域経済を維持するという従来の財政支出から、地域の特性を生かして、内発力を高めるための財政支出にシフトしていくことが大切であると考えております。

 第六には、公共事業について、これまでのような大型の公共事業の単発的な実施はやめ、県民が納得のいく総合的な計画のもとに、県民の日常生活に身近なものを優先して行なうことであります。
これまでのように、いくら単発的な大型事業をやっても、かけた経費の大半は県外資本に吸い取られ、地域経済の浮揚にはつながらないばかりか、県全体の政策投資予算が圧迫され、地場産業の振興や雇用対策、まちづくりといった県内の内発力を高めていくための取組みや、医療・福祉・介護・子育て・教育などのくらしのセーフティーネットを確かにしていくための取組みが不十分なままに終わってしまいます。
その結果、県民の受益は少なくなるのに反し負担は増える。そうした状況の中で若者は益々県外に流出し、県全体としての将来への活力も失われてしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのであります。
 したがって、大型の公共事業の単発的な実施はやめて、県民が納得のいく総合的な計画のもとに実施するとともに、日常生活に活かされる身近なインフラ整備、即ち、日常生活の便益度を増すための公共事業を中心に進めることが必要であります。

 第七には、国に依存する、あるいは、国が決めた制度メニューの枠内だけで事業を執行するような行財政運営のあり方を改めて、県政の課題に責任を持って主体的に取り組んでいく自立ある県政を運営することであります。
 国のメニューだけでは、県民への事業成果が十分でない課題に対して、県単独での上乗せ・横出しの施策や事業を実施する。
 また、国の補助事業がなくても県民のために必要な公共サービスは、県の単独事業として実施をしていく。そしてそのために、県庁が霞ヶ関を見るのではなくて、常に、県民に視線を当て県民サービスのために、政策形成能力をもっと高めていくということに、首長は指導力を発揮していくということも大切であります。


 第八には、県内各地の振興課題に対して、計画的に着実に応えていくということであります。
県内各地域の地域特性と振興のための課題は、もう十分解っているのであります。しかし、それらの課題に対して総花的な取組みをしているから、あるいはまた、事業をやったということに留まっているから、いつまでも課題が解消されないまま、現在に至っているのであります。
 したがって、こうしたやり方を改めて、実施事業の優先順位と計画的な執行について地元の市町と十分協議し連携することはもとよりですが、具体的な工程表と住民の立場からのアウトカム指標、つまり、何をしたかではなく、どのような成果をもたらしたかという指標を設定のうえ事業を行なう、という仕組みをつくっていかなければなりません。

 第九には、被爆県長崎として、恒久平和の実現のため国際社会への訴求力を高めていくことであります。
 これまで本県は、長崎市と比べて核兵器の廃絶と恒久平和の実現のための国際社会への訴えが弱いと言われてきました。核拡散防止条約や包括的核実験禁止条約の確保などについて、被爆県として種々の分野においてより積極的に関与していくことが求められていると思います。


 最後に第十には、「県民の、県民による、県民のための政治」を実践していくことであります。
行政が自らの尺度で、だれのためにどういったサービスを行うか一方的に決めるやり方を改め、政策形成や予算の編成過程で、各種の関係団体や県民の参画を求め、県民に見える状態にし、結果についても、十分な説明責任を行 なう。併せて、一党一派に組しないそうした公平で公正な開かれた県政にしていくことが大切であります。
こうした県民の側に立った政策を重点的に実施することが、県内の内発力を高め、本当の意味で長崎を元気にし、活力を生み出すのであり、その取組みこそが優先されなければなりません。


 以上、県政の力点と進め方についての基本的な10項目の概略を述べさせていただきました。

 本県の未来を切り拓いていくための成長戦略や、県民の利益のための改革と前進の仕方について、お訴え申し上げたいことが、まだ多くありますが時間の都合で更に申し上げることが出来ません。
 しかしここで、皆様にどうかご信頼を賜りたいことは、私は県庁での長い行政経験と併せて、首長も県議も努めさせていただいた政治経験、これらを通じて県民のために本当に成果の上がる県政運営をいかにやるべきか、将来を見通して本県の自治体運営をいかに行っていくべきかということについては、もう随分学ばせていただいたということであります。

 皆さん、県民のくらしを守り、長崎を元気にするためには、いまの県政のあり様を変えなければなりません。このままでは、本県の課題はいつまでも解消されないばかりか、物事が動かなくなってしまいます。
 いまの県政のあり方を、県民の立場から変えていかなければなりません。
行政が行なう事業は、県民との協議を通じて県民に最も成果の上がる事業執行の仕組みに変えることであります。

 さらには、組織の活力、職員のやる気が段々と失われてきている県庁の現状を、もっと気概をもって総合力が発揮できるような体制に変えていくことも必要であります。

 そして、県民の総合力による県政を進めるという観点から、知事の任期を信任を得ても2期8年を限度とする制度もつくっていかなければならないと思います。

 長崎県の主人公である県民の皆さん、「みんなで変えよう、ふるさと長崎。」その掛け声のもとに心をひとつにしていただきますことを、どうか心からお願い申し上げます。

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