┃オリエンタル・エアブリッジ(ORC)の経営再建について |
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離島と本土部を結ぶ離島航空路線は、離島航路とともに本県の離島住民の足として昭和36年の長崎航空株式会社発足以来、今日まで続いています。
オリエンタル・エアブリッジ株式会社(ORC)は、平成13年以降、長崎航空鰍引き継ぐ形で新たに中型機を購入し、長崎空港から福江・壱岐・対馬の離島航空路とそれを補完するための鹿児島・宮崎線を運航しています。
しかしながら、ORCは、離島人口の減少や高齢化の進展、市町村合併や公共事業の削減、加えて海上交通の充実等による利用者の減少により徐々に経営が難しくなっており、特に近年、燃油費の異常な高騰で遂に本年度末には債務超過に陥ることも懸念される事態となっています。現在の同社の経営状況や財務体質の弱さは危機的な状況にあるといっても過言ではありません。
このため県は、関係市やORC、専門家等による長崎県離島航空路線再生協議会を設置し、(1)収益改善・収益事業展開、(2)合理化・経費削減、(3)県・関係市の支援、(4)資本増強・資金力強化の4項目について、再生のための協議を行っております。
この中で、現時点の骨子は、
(1) 路線ダイヤを見直し、長崎〜福江間の現行3便を2便に減便するとともに、福岡〜福江間に新たに2便を運航
する。これに関して福岡〜福江間のANAの運航ダイヤを見直し1便減便する。
(2) ANAの予約販売システムを活用し、ANA便として運航する。
(3) 各就航路線の利用率が一定水準を下回る場合は、県と関係市(五島市・壱岐市・対馬市)で財政支援する。
等であります。
しかしこれに対しては、上記(1)について五島市が福岡からの入込客数が減少することを懸念して反対であり、上記(3)について対馬市が現在でも長崎〜対馬間が黒字であることから新たな財政負担に反対をしています。
さらには県の財政負担も毎年度2億円以上にのぼり、更なる県民の負担が強いられることになります。このままでは経営再建のための具体的な着地点を見出すことができません。
このため、12月定例県議会本会議の関連質問で県の考え方を質しましたが、私の基本的な考え方の概要を次に記したいと思います。
先ず、どこに軸足を置いてORCの再生を考えるかという基本的な視点において、県と私では違いがあるように思います。
私は、ORCは本県の特に離島住民にとっての空の足であり、そのツールのひとつだと考えておりますので、会社独自の経営の視点よりは離島住民の生活の便益性を確保する、あるいは移動のインフラを確保する、そのために住民ニーズと将来展望からみてORCの運航はどうあるべきかということを考えているわけであります。
ですから、そういう観点からすれば、いま県が進めようとしている路線変更でANAの運航ダイヤとのやりとりで収益を上げていこうという計画や、現状で特に問題のない路線の関係市から新たな財政負担を求めるという計画はもっと検討を要すると言わざるを得ません。
そうではなくて、例えば、福岡発着のANAのダイヤはそのままにして、いわばその隙間にいくらか運賃を安くして参入するとか、カーゴ(貨物)の機能をもっと高めるとか、長崎発着のダイヤも変えるとか、また、離島の中でも航空路の利用ニーズがそれ程でもない所はこの際思い切って便数を見直すとか、路線変更についてはそうした視点からも考えてみる。
また、いろんなシミュレーションをやっても結局は、管理経費、運営経費が高くついて大きな財政負担が常に強いられるというのであれば、財政の見地からして、この際、ANAの子会社化の実現可能性についても選択肢のひとつとしてより綿密にANAと協議する、あるいは、もっと他に収益を上げ得る団体等との企業合併も考えてみる、
こうしたことも視野に入れて検討することが必要であると訴えています。
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