┃長崎県大学等発ベンチャー創出事業に係るバイオラボ社の問題 |
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本県は平成15年度から17年度にかけて、大学等の研究成果をもとにした成長性が期待されるベンチャー企業の創出を目的として、投資等により資金支援や専門家による経営支援を行う長崎県大学等発ベンチャー創出事業1億円枠を実施し、各年度1社ずつを採択して投資を行ってきました。
その中で、平成16年度は製薬会社が新薬を開発する際に必要となる薬効薬理の実験研究の受託事業を行うバイオラボ株式会社に対し、資本金として6,000万円を投資し、補助金として4,000万円を交付しております。
同社は県立大学シーボルト校の教授を代表者として、平成15年10月17日に会社を設立し、資本金7億3,300万円をもとに中国浙江省嘉善県の開発区に研究所を建設するとともに、長崎市内に本社を設置し活動を行っておりましたが、過剰投資と経営陣の放漫経営とされる要因によって事業に行き詰まり、今年8月24日の取締役会において破産手続開始の申請をすることを決定し、現在、その手続きが進められております。約6億円を投資した中国の研究所も現在未稼動のままであり、経営見直しが立たない中で約5億6,500万円もかけて長崎本社ビルを設置するなど、ずさんな経営内容が新聞等で報じられているところであります。
県や県が出資する長崎県産業振興財団は、同社に対してこれまで1億円を投資する他、ベンチャーキャピタル等の紹介をはじめ中国での研究所の設置について、土地探しや許認可等のアドバイス、中国政府との仲立ちをするとともに企業経営にノウハウを持つ経営指導員の派遣や広報誌で同社と代表者を見開きで紹介するなど相当なテコ入れを行っております。
以上のような概要・経緯でありますが、同社が今月破産手続を開始するまでの間の県の対応について不自然と思われる点、並びに不明な点がいくつもあります。
第一に、県はバイオラボ社に対して資本金6,000万円の出資の他に、補助金として4,000万円を交付しておりますが、同社がその運営上の責により実質的に倒産したことに対して補助金の返還請求はしない方針ですが、これは通常の補助事業と比べて著しく均衡を欠くといわざるを得ません。
第二に、同社は、平成18年2月頃に県の指定金融機関となっている銀行が管理するある建設会社の建物を買収し長崎本社を設置しておりますが、これに投じた経費が約5億6,500万円と多額であり常識を覆すような取り組みであったため、取締役会において産業振興財団の経営指導員が強く反対の意を唱え、そのことを財団にも報告をしていたとのことでありますが、財団や県は何らの措置も講じなかったのは、何か特別な意図が隠されているように思われてなりません。
第三に、財団は、同社の中国の研究所が平成18年6月完成予定であったものの、期限を過ぎても未稼働であり、かつ、経営見通しが立たない中で先に述べた多額の投資による長崎本社の設置など放漫経営が明らかであることを承知し、また、県もそのことを承知していたであろうにもかかわらず、県は平成19年3月発行の広報誌で、同社を世界を舞台に事業を展開するベンチャー企業として見開きの2ページわたり大きく紹介し、結果として同社の社長は当該記事を材料として他に出資を求める活動を行っていますが、何故、県や財団は事実を隠ぺいしながらこのような広報をしたのか、不自然でなりません。
第四に、県は事業評価において、同社への取り組みを含む大学等発ベンチャー創出事業の効率性・有効性を高く評価しており、これは実態と大きくかい離しており不当な評価と言わざるをえませんが、何故、事実を曲げてこのような評価を行ったのか、これも不自然でなりません。
以上のような事実に対して、県の見解を質していきたいと思います。
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