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環境問題を最大のテーマとする洞爺湖サミットが開催されましたが、日本は議長国であり、また、多額の経費を掛けたにもかかわらず見るべき成果がないままに終わりました。
喫緊の課題である地球温暖化防止対策について、短期、中期、長期に分けた具体的な戦略を示せず、2050年の長 期目標についても各国の利害が対立し、具体的な数値目標を盛り込めなかったからです。
発展途上国も含め、各国の調整がつかないのは各国別に二酸化炭素排出量の総量規制を前提に議論をするからだと思います。
そうではなくて、私は、世界の共通目標として、国民一人当たりの二酸化炭素排出量を一定規模に設定することが最も公平であり、その基準設定に向けた合意形成を図るべきだと思います。
例えば、現在の全世界の一人当たりの二酸化炭素排出量の平均は年間4トンですから、2050年にはこれを半減し年間2トンにするという共通目標を立てれば、アメリカは現在国民一人当たりの排出量が20トンですから、これを1/10にする。わが国は国民一人当たり10トンですから、これを1/5にする。中国は4トンですから1/2.インドは現在1.8トンですから極力これを抑えて、アッパーで2トンまでとする。
こうしたことを各国別に設定していくことを期待したいと思います。
さて、その場合、わが国において一定の経済規模と国民の生活水準を維持しつつ、一人当たりの二酸化炭素排出量を1/5にすることは到底容易なことではありません。
わが国の産業活動の状況において、本県での削減幅と大都市の削減幅が同じと言うことはありえませんから、本県でも1/5にまでしなければならないということにはなりませんが、それでも各国が二酸化炭素の排出抑制に本気で取り組むような枠組みができたとき――そうした枠組みを早くつくり出さなければなりませんが――本県も相当な実効ある対策を講じていかなければなりません。
そこで、現在、本県においては、かつての京都議定書に基づき二酸化炭素の排出量を基準年である平成2年の835万トンを平成21年までに6%削減し785万トンにする計画を立てています。
しかしながら、直近の集計値である平成17年度は、基準年の数値を逆に55万トンも上回っています。そのため、来年度までの削減必要量は105万トンに上っています。
その対策として、森林吸収減量を76万トンとし、控除後の29万トンを民生業務部門や民生家庭部門、運輸部門等で削減し積み上げるとしています。
しかし、そもそも森林吸収減量を76万トンも見込む科学的根拠に乏しく、森林の拡充や改良が進まない現状においては実効性が担保されていないと言わざるを得ません。
問題は、人間の経済活動、社会活動において、より積極的な排出を削減する取り組みを多角的に実践していかなければならないということですが、これまでのように率先実行についての呼びかけを繰り返すばかりでは、遅々として実効が上がっていかないと思います。
例えば、多くの環境団体や環境研究機関がこうした取り組みをすれば二酸化炭素の削減量がいくらになるといった提言を採り入れた対策や、エネルギー問題はもとより各種の生産インフラを変えていくための取り組み、産業に結びつく環境保全技術の開発、イニシャルコストがいくらか高くても環境保全を優先する民間の取り組みを助長する支援策、そうした具体的な対策と環境保全を優先する構造的なシステムづくりに国・県あげて本腰を入れることが今こそ求められています。
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