長崎県被爆者手帳友の会の今年度の総会が、多くの会員の皆様ご列席の中で盛会裡に開催されますことを、先ずもって心からお喜び申し上げます。
また、本日の総会を通じて、会員皆様相互の連携強化と、友の会の益々の拡充が図られますことを衷心より祈念申し上げる次第であります。
さて、今日、原爆症認定基準について国の誤りを糺す原爆症認定訴訟や、被爆者はどこにいても被爆者という原則を訴える在外被爆者訴訟において、国の敗訴が続き、その結果、被爆者援護の関係法令等が改正されたことは、既にご案内のとおりであります。
被爆者に対する援護対策を制限していこうとする、あるいは、社会的弱者を切り捨てていこうとするこれまでの国の取り組みが、厳正な法に照らしていかに間違いであったかが明らかにされたのであります。
今こそ国は、原爆による精神的苦痛に加え、数多くの身体疾患をかかえ、日常生活の中で多くのハンディを背負っている被爆者の立場に立って、これまでの不公平で不公正な対応を改め、一刻も早く原爆症の認定のあり方や被爆者手帳申請に係る手続き等を抜本的に改善すべきであります。
加えて、爆心地から半径十二キロメートル以内で被爆したにもかかわらず、不合理で差別的な取り扱いがなされている被爆体験者の問題も早急に解決されなければなりません。
被爆者はどこにいても被爆者であるように、爆心地から半径十二キロメートル以内で被爆した人は、どこで被爆しても被爆者であります。
現在、被爆体験者の皆さんは、精神的、経済的な負担を負いながらも同じく被爆者としての認定を求める集団訴訟を起こしておりますが、皆様方におかれましても、同じ境遇を体験するお仲間として、こうした取り組みに暖かいご配慮を賜れば誠に幸いであります。
また、被爆二世の皆さんのこれまでの訴えが、制度改善につながるよう、更なる運動の拡充に力を合わせて取り組んでいかなければなりません。
被爆二世の皆さんも年齢を重ね、健康不安が増大する中、健康診断にがん検診を追加し、特定の疾患が生じた場合、現在の被爆者に準じた取り扱いがなされるよう対策が確立されなければなりません。
さらには、被爆者検診や被爆医療の充実、被爆者に対する福祉水準の向上、諸手当の申請手続きや更新手続きの改善等、不合理な施策を不合理な弥縫(びほう)策で乗り切ろうとする国の姿勢を、抜本的に改善するための取り組みも加速させなければなりません。
しかしながら、道は険しくとも、皆様方のひたむきで真摯な活動が継続されていく限り、それが原動力となって必ずや、更なる世論喚起のもとに国を動かし、諸般の改善が図られるものと確信をいたしております。
核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現のため、政府が断固たる決意を持って国際的役割をこれまでにも増して高めていくことを、被爆地長崎の総意と総力をもって後押ししていくとともに、各般の被爆者援護対策の拡充を図るべく、お一人おひとりがその持てる力を持ち寄ることこそが大切であると思います。
井原東洋一会長のリーダーシップのもとで、私も皆様方とともに全力で努力してまいることをお誓い申し上げる次第であります。
最後になりましたが、長崎県被爆者手帳友の会の益々のご発展と会員の皆様お一人おひとりのご健勝ご多幸を心から祈念申し上げ、そしてまた、公務のため、本日の重要な総会に出席がかなわなかったことをお詫び申し上げまして、私のメッセージとさせていただきます。
長崎県議会議員
比良 元