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税など特定財源の問題と暫定税率の取り扱いについて

【平成20年2月2日街頭演説】

 皆さん こんにちは。
 ご案内のとおり、暫定税率を現行どおりとして今後10年間継続するのか、そうではなくて、燃油価格も高騰を続ける中、今こそ引き下げるべきか、与野党間の対立が鮮明になっております。
 そしてこの問題は、ガソリン価格引下げるのか、それとも道路の建設財源を確保し、道路整備を進めるのかという図式をもって、どちらが賢明かというようにマスコミでは報じられております。

 しかし皆さん、そもそもガソリン税などの暫定税率を引き下げることが、そのことによって直ちに道路の建設財源が無くなり、あるいは縮減して、国民生活に必要な道路整備が頓挫してしまうのか、そしてまた、併せて、国民生活に必要な道路とは何か、誰がそれを決めるのかということも、特にいろいろな課題を持つ地方に住む私どもにおいては冷静に考える必要があります。
 いま、政府や与党がおっしゃっている暫定税率を引き下げると、道路特定財源が確保されないという主張は、現行の予算編成の仕組みや財政制度を前提にした話であります。
 その予算編成や財政制度の中で進められたことのひとつとして、国から地方への予算の流れが、この3ヵ年で合計6兆8,000億円も縮減し、長崎県も約400億円が削られてしまいました。このままでは地方の自主的な努力だけでは、行財政運営が成り立たないといった状況にまで陥ろうとしております。
 その一方で、独立行政法人や特殊法人への予算の垂れ流しがいつまでも改善されない、あるいは官僚の天下りや内部管理経費の縮減がいつまでも手つかずの状況になっています。
 あるいは、年金・医療・福祉といった社会保障関係経費が受益者にばかり、つまり国民にばかり負担を求められています。
 こうした不都合なことが山積している、いわば、もはや制度疲労に陥っている現行の予算編成や財政制度の枠内において、もっともなように道路特定財源の主張がなされているわけであります。

 最も肝心なことは、現行の予算編成や財政制度のあり方の根っこを変えなければならないということであります。
 社会保障関係経費も、教育関係経費も、産業振興のための経費も一般財源の中で手当てをされているのに、何故、道路だけが特定財源として守らなければならないのでしょうか。
 どうして霞ヶ関の国土交通省の道路局の予算だけが、特別扱いされなければならないのかということであります。
 暫定税率を廃止すれば、国全体で2兆6,000億円、長崎県では295億円が削減されるといわれています。
 しかし、その295億円の中身は、県や市町が直接事業主体として実施する分の、削減額は95億円で、大半の200億円は国が事業主体となって実施する分、あるいは国庫補助事業として国が予算を配分する金額であるわけであります。
 つまり、国が地方の道路整備についてもコントロールしていく、国土交通省が地方道路の、長崎県の、道路整備のあり方について主導性を確保していかんがために、道路特定財源の堅持ということを殊更に言っているのであります。
 本来、道路が必要かどうか、どの道路から整備していくかということは、実際の利用者である地域の総意として、地方の自治体の主体的な選択権に委ねられるべきでありますが、それとは逆に、現実は大半のことを国が決めてしまう、国の裁量によって地方が動かされてしまうという制度となっているのであります。

 地方の時代といい、地方分権型社会づくりを進めようという政府の基本方針の中で、それとは逆に、地方の裁量を奪ってしまうような制度の存続に、殊更に固執するという主張は明らかに矛盾するものであります。
 真に地方の発展を考えるなら、地方の自己決定・自己責任の原則を進めようとするなら、ガソリン税等について道路特定財源という取り扱いは廃止し、まさに一般財源化し、その財源を地方に振り分け、地方の実情と裁量において、道路整備費用に充てたり、あるいは、福祉や教育や医療の公共サービスの利用に充てたり、政策の優先度に応じた予算編成が可能な仕組みに改めるべきであります。
 そのことが、地方自治の発展のための新たな予算編成の仕組みづくりや、財政制度の改革につながっていくのであります。

 そして、その新たな予算編成の仕組みづくりや財政制度の改革を断行していく中で、例えば、先ほど申し上げた独立行政法人や特殊法人への予算の垂れ流しを廃止する、あるいは、官僚の天下りや内部管理経費を削減するといった無駄な経費をしっかりと見直すことで、大幅に確保される財源との兼ね合いにおいて、国民にとって負担が軽くなる暫定税率の廃止の問題を検討するということが行わなければなりません。
 今回の道路特定財源の問題、暫定税率の取り扱いの問題は、結局、国民の側、地方の側からみるか、そうではなく、国家主導の側、既得権益の側からみるかによって、全く評価が異なってくるのであります。
 

 これまで自民党の長期政権のもとに、いろいろな構造改革が進められてきました。
 しかし、その結果、地方と都市との格差、働く者の間での所得の格差、必要な医療の格差といった格差社会が生まれ、かつ社会的・経済的な弱者への公的負担は、益々増大するばかりになったではありませんか。
 大企業の国際競争力を回復させるために、市場原理に基づいた税制や、規制緩和の政策で、この国の資源を企業部門に重点的に配分した結果、市場メカニズムによって勝者と敗者に二分されました。
 そして、その負の部分を軽んじてきた政治姿勢が、この国の富を大企業や豊な者がより多く住む大都市に集中させたが故に、格差社会が広がってしまったのであります。
 皆さん、こうした自民党政府の過ちを、これ以上繰り返させることがあってはなりません。
 どうかご自身の生活のため、長崎県の発展のため、現行の制度を改善していくことに一層のご理解とご支持を賜りますようお願い申し上げる次第であります。

平成平成20年2月2日


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